【BREXIT】メイ首相によるEU離脱協定案は実質的に何も変化なしにも関わらず、約5兆円の手切れ金が必要【ブレグジット】
メイ首相とEU側によるブレグジット(BREXIT)協議が暫定合意しました。
英国によるEUからの離脱問題ブレグジット(BREXIT)がいよいよタイムリミットに近づいてきました。
そんななか、イギリスのメイ首相は欧州連合EU側とようやく暫定的な合意案にこぎつけ、どうにかこうにか政権内で閣議決定も通過。
ですが、このEU離脱合意案、よくよくみると「ほとんどなにも変化していない」ことに気づきます。
たとえば、こんな感じです。
メイ首相とEU側が暫定合意したブレグジット(BREXIT)協議・超重要なポイント
- 2019年3月から20年12月31日まで、現行のEUルールが英国でも適用される。EUの監督・司法制度が英国で運用される。
- 20年末までに北アイルランド問題が解決しないときは、英国は英国全土をEU関税同盟のまま残すバックストップ(安全策)か、移行期間の延長をするかを選べる。延長の可否は英EUの共同委員会で判断する。
- 英国で暮らすEU市民と在EUの英国市民に対しては、20年末までの移行期間終了後も離脱前と同等の権利を保障する。
英政府が承認した離脱協定案の要旨 日経新聞
つまり、アイルランド国境問題を理由にして、ブレグジット(BREXIT)交渉は実質的に先送り・・・
上記を見てわかるとおり、アイルランド国境問題の解決がまったくなされず、問題の先送りをしています。
そして、アイルランド国境問題が解決しないからブレグジット(BREXIT)も先送り・・・というのがこの暫定合意案の本筋です。
名ばかりブレグジット、とでもいいましょうか、これでは実質的にEUからの縛りを受け続けることになるわけで、なんのためにブレグジット(BREXIT)をするのか、まったくわからない状態になってしまいます。
(唯一の利点は独自に貿易交渉などができるようになる点でしょうか。それ以外はまったく変化なしです。)
暫定ブレグジット(BREXIT)協議案に透ける欺瞞
そしてもうひとつ不信感を抱かせるのは、もし上記の合意に従うなら、アイルランド問題を延々と長引かせることで、イギリス側はEUの関税同盟枠にずっとい続け、EUの縛りを受け続ける可能性が残る・・・ということです。
しかも、「ほとんどなにも変化していない」にも関わらず、EU側には手切れ金(精算金)として約5兆円くらいの費用(350億~390億)を支払う必要があります。
これにたいしてEU離脱派、残留派、どちらからも反対が沸き上がっています。
暫定ブレグジット(BREXIT)協議案は閣議決定を通過したが・・・閣僚は相次いで辞任・政権離脱
こうした欺瞞にみちたブレグジット(BREXIT)暫定合意案をうけ、ドミニク・ラーブEU離脱担当相(Dominic Raab)が真っ先に辞任表明。
エスター・マクベイ雇用・年金相(Esther McVey)などあわせて7人の閣僚が辞任しています。
国民投票で決められたことに反する合意は受け入れられないという立場のようです。
メイ首相に対して不信任案を提出する動きもあるとのことで、これを受けてポンドドルが荒っぽく動いています。
EU残留を強く望む人々ですら、決定プロセスへの疑問を投げかけるメイ首相EU離脱暫定合意案。
このまますんなり決まるはずもなく、まだまだひと悶着ありそうです。
個人的にはハードブレグジット期待なのですが、どうなるでしょうか。
楽しみですね。
以上。