米政府によるグアテマラ人を利用した梅毒・淋病の人体実験で、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、ジョンズ・ホプキンス大、ロックフェラー財団に巨額賠償請求発生の可能性
1940年代に米国政府が主導したグアテマラにおける梅毒・淋病等の性病の人体実験で、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、ジョンズ・ホプキンス大、ロックフェラー財団に巨額賠償金発生の可能性
1940年代、アメリカ政府はグアテマラ人を利用して梅毒の人体実験を行っていました。
これは当時新薬として有望視されていたペニシリンの効果を確かめるためのもの。
この件で、当時梅毒を感染させられた被害者と、その家族・親族444人が、ブリストル・マイヤーズ・スクイブとジョンズ・ホプキンス大、ロックフェラー財団を訴えていました。
被告側はこの件に関し、国外での人権侵害なので外国企業は訴えの対象にならない、棄却すべきと主張していました。
が、今回、メリーランド州連邦地裁判事は、棄却を求める被告の訴えを却下しました。
Johns Hopkins, Bristol-Myers must face $1 bln syphilis infections suit
グアテマラにおける梅毒スピロヘータおよび淋病の人体実験の内容
1940年代、米政府は新薬のペニシリンの性病への有効性を確かめるため、グアテマラ政府に人体実験に同意するよう迫りました。
当時、中南米はアメリカの裏庭と言われるほど米国の影響が強く、逆らえなかったグアテマラ政府はこれに同意。
少なくとも1160人に対して梅毒スピロヘータ、淋菌の接種が行われましたが、この対象者のなかには売春婦も多くいたとされ、その売春婦から感染した患者も多数に上ったと言われています。
また、被験者にはこの実験の意味などを意図的に伝えていなかったため、家族などへの性交渉などによる感染も起き、深刻な事態に至ったとのことです。
また、ペニシリンの実験といいながら、実際には感染者全員にペニシリンを投与するだけの予算はなく、多くのグアテマラ人が鼻がもげるなどの梅毒末期症状を呈しなくなっていったとの証言もあるとのこと。
1951年までに少なくとも69人が亡くなったとのことです。(Wikipedia)
なぜ米国はグアテマラで梅毒・淋菌など性病の人体実験をしたのか?
なぜ米国はグアテマラで梅毒・淋菌などの性病を人体実験したのでしょうか。
それは、当時米国男性の1割が梅毒、6割が淋病に感染していて、深刻な社会問題になっていたことが挙げられるとのことです。毎日新聞2012年1月21日
米国政府によるグアテマラでの梅毒・淋病など性病の人体実験を暴露したのはウェルズリー大学歴史学者スーザン・リバビー教授
ピッツバーグ大学公文書館でウェルズリー大学スーザン・リバビー教授がグアテマラ人体実験の記録を発見し2010年5月に学会発表したのが、この事件が発覚したきっかけです。
それまで、関係した企業や財団、医師、大学などはダンマリを続けてきました。
ロックフェラー財団、ジョンズホプキンス大学という世界的権威がこのような悪辣な行為に手を染めていた・・・との報道は非常にショッキングに受け取られ、当時のオバマ大統領はグアテマラ大統領に謝罪の電話をしました。
米国政府による人体実験はグアテマラ性病実験に限った話ではない
なお、米国政府による人体実験はグアテマラにおける性病実験に限ったものではありません。
たとえば、ソ連のスパイに対して行われたとされるMKウルトラ。
LSDなど薬物を用いた自白強要、マインドコントロール、超音波装置による記憶消去など、まるでオウム真理教かと思うようなことを平然とやっていたとのこと。
リチャード・ヘルムズCIA元長官が証拠隠滅を指示するも、別に保管されていた文書が数枚発覚。1975年に連邦議会で公開されました。
また、マンハッタン計画やシンシナティ大学による放射能実験なども広い意味で人体実験といえるでしょう。
アメリカは他国の人権をとやかくいいますが、実際には色々とやらかしてくれてます。
とりあえず、今回の件で思うことは、ここまで証拠が残っていてシラを切れないような状況になっていても
「訴追権がないんだから賠償する責任がないはずだ」
と主張できるツラの皮の厚さです・・・
よくもそんな、人でなしな発言ができたものだと感心します。
企業統治の観点からみれば、訴えに対してしっかり反論することは好ましいのでしょうが(安易な妥協は株主価値を損ねるとの判断)、果たしてそれが企業として(企業イメージも含めて)利益になるのかどうか。
いろいろと悩ましいものがあります。
以上。