全固体電池 各社の動向

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全固体電池 各社の動向~TDK、村田製作所、太陽誘電、サムスンSDI、LG化学、CATL~

 

電解液を使用しないためリチウムイオン二次電池に比べ安全性が高いとされる全固体電池ですが、ここにきてMLCC技術を用いた酸化物型の小型低容量の製品においては実用化のめどが立ってきました。

今回は注目を浴びる固体電池について、各社の動向をまとめてみます。

 

 

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まず最初に:酸化物型全固体電池と硫化物型全固体電池

全固体電池と一言で言っても、大まかに酸化物型と硫化物型の違いがあります。

酸化物型はおもにMLCCで培った技術を利用して「混ぜる・固める・焼く」で作る全固体電池です。容量は小さいですが、安全性が高く、すでに量産技術もある程度確立しており、あと数年後には多くのデバイスで利用されていると思われます。

対して硫化物型はいろいろと難点があり(空気中の水分と反応して硫化水素を発生させる可能性、製造工程に水分が含まれる可能性、イオンの移動しにくさなどなど)、まだ当分先の技術となると思われますが、大容量の製品が作りやすいことからEV向けなどに開発が行われています。

今回はこれらを踏まえて、各社の全固体電池の開発状況と方針をみていきましょう。

 

 

 

TDKの全固体電池、CeraCharge(セラチャージ)

まず、酸化物型の全固体電池で先頭を走るTDKからみていきます。

TDKの全固体電池はCeraCharge(セラチャージ)の名称で子会社エプコスにより開発

すでに量産化のめどは立っており、以下がスペックとなっています。(定格電圧は1.6との情報もあり)

EIA 1812パッケージ(4.5×3.2×1.1mm)

はんだリフローで表面実装

-20 °C~80 °Cの幅広い温度

定格電圧は1.4V、容量は100μAh

充放電サイクルは1000回程度

MLCC(積層セラミックコンデンサ)の技術を応用

電解質と内部電極にリチウムベースの酸化物系セラミックを採用

銅の薄膜技術に優れるオーストリア工場が量産へ。

ビーコンなどを扱う通信メーカーへ供給予定。

 

 

村田製作所の全固体電池

村田製作所の全固体電池も、まずはウェアラブル向けに2019年中の投入を目指す構え。

開発中のものは酸化物型でEV向けなどには非力です。

自動車向けなどには、ソニーから買収した既存技術のリチウムイオン二次電池を当面販売していくとのこと。

「競合他社よりもエネルギー密度の高いものになる」とのこと。(日刊工業 17年12月29日)

 

 

太陽誘電の全固体電池

太陽誘電の全固体電池は酸化物を利用したMLCC型。こちらもウェアラブルなどを対象にしています。

太陽誘電は電極材料であるコバルトを電解質側にも加えて電極と共に焼結する技術を確立、劣化を抑えることに成功。

2017 と2018のCEATEC JAPANでこれらの技術を利用したMLCC型の全固体電池を発表。

2017年は8.0 x 8.0mmの製品だったが、今回は32 x 24㎜と1.0×0.5mmの全固体電池を展開し、使用用途に合わせて供給する体制を組む方針。

2019年中の販売を目指しています。

 

 

 

トヨタ自動車の全固体電池

東京工業大学の菅野了次教授などと、EV向けに硫化物型全固体電池を開発中。

トヨタは硫化物系の全固体電池技術においては特許数が世界トップレベルとのこと。

硫化物系全固体電池は急速充電性能、容量には優れるが、製造時の品質安定性に難点があること、イオンの動きにくさ(界面抵抗の大きさ)が課題となっている。

なお、旭化成とパナソニックはトヨタに協力する形で全固体電池の開発を進めているとのこと。

トヨタは2020年までの開発を目指すが、多くの研究者は早くても2030年ではないかと指摘している。

(研究者ではありませんが、テスラのイーロン・マスクなどは「全固体電池はアンドロメダ星雲へのワープとおなじ」と皮肉を言っています。)

 

 

 

その他、以下の企業も全固体電池の研究を行っている報道されています。

VWの全固体電池

出資先クアンタムスケープの全電子電池AEBを利用した技術を推進していたが、上手く行っていないのでは、と言われている。

 

ルノー・日産の全固体電池

米アイオニック・マテリアルズ社に出資し技術開発を急ぐ

同社が開発した固体電解質向けドライポリマーが非常に有力とのこと。

 

 

三井金属の全固体電池事業

全固体電池向けに電解質を開発中

アルジロダイト型硫化物系固体電解質を開発

 

日立造船の全固体電池

自動車用のプレス技術、真空技術を利用して、粉末状・液状の素材を押し固めて固体にする製造方法を確立。

 

出光の全固体電池

固体電解質の合成に必要な硫化水素のノウハウ蓄積のためリチウム電子材料室を新設

 

オハラの全固体型電池

無機固体電解質を開発、正極に添加することで能力が増強

 

三菱瓦斯化学の全固体型電池

錯体水素化合物を利用した全固体電池の製造技術を開発中

 

 

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中国CATLの全固体電池

他にも、中国のCATLの開発担当トップがこの分野の権威であることから、たぶん全固体電池を開発中だろうとは思われますが、今のところ大きな発表がないことが不気味ではあります。

 

以上。