アダニ主導のカーマイケル炭鉱開発許可おりず、豪の鉱山開発許認可制度への疑念広がる
インドのアダニによるカーマイケル炭鉱開発、地元クイーンズランド州政府の妨害で進まず
世界最大規模の炭鉱である豪クイーンズランド州のカーマイケル炭鉱。
2017年、インドの複合企業アダニグループはこのカーマイケル炭鉱に多額の投資を行いました。
アダニによるカーマイケル炭鉱への投資の背景
この背景には、インド国内で高まるエネルギー需要を満たすため、どうしても発電用石炭が必要なことがありました。
また、インドとの経済的な結びつきを強めたいオーストラリア政府も当時は乗り気でありました。
クイーンズランド州政府としても、労働党が支配している州であり、炭鉱労働者が1万人規模で必要にあることから支持者にもウケのいい政策として好感されていたようです。
クイーンズランド州政府、アダニによるカーマイケル炭鉱開発に難色示す
しかしその後、州政府は手のひらを返したようにプロジェクトに難癖をつけ始めました。
背景には、環境意識の高い都市部有権者による大規模な反対行動があったとのことです。
India And Australia Vote With A Coal Clash Possible After The Twin …
Adani urges govt to give ‘fair go’ for Australian coal mine ..
また、実際に17年11月に行われた州議会選挙では「緑の党」が躍進。
これを受けて労働党としても環境意識を強めざるをえず、あれこれとプロジェクトに細かい条件を示し始めているそうです。
アダニのカーマイケル炭鉱開発に対するクイーンズランド州政府の対応はアンフェアではないのか
クイーンズランド州政府としては、現在は野鳥保護を理由にアダニによるカーマイケルへの投資評価をストップしているとのこと。
ちなみに、環境保護団体などは豪州全体における排出権の問題や、鉱山開発に伴う排気ガスの問題なども取り上げているもよう。
問題は、これらは他の鉱山開発でもおきるような環境破壊であるのに、なぜカーマイケル炭鉱だけがプロジェクト停止状態に追い込まれているのか、という問題です。
つまるところ、アンフェアだろうと。
アダニのカーマイケル炭鉱開発は、国内事業者が撤退したあとの石炭開発のプレイヤー変化を映す・・・
じつはここもと、豪州の鉱山会社は国内の石炭資源から投資を撤収していました。
たとえばリオティント、BHPビリトン、ウェスファーマーズなどがそれです。
これら企業は2010年代を通じて、徐々に徐々に石炭権益を売っていきました。
最後に売却したのはウェスファーマーズで2018年12月です。
環境保護の流れから石炭開発の難しさを察知していたこれら企業は、豪州の石炭開発プロジェクトからは手を引いたのです。
そして、それを買ったのが、インドのアダニグループや、中国のヤンコール(エン州煤業)、そして三井物産と住友商事・・・です。
アフリカや南米と異なり、豪州は法治国家であり、法の下に平等な扱いがされるという安心感が今まではありました。
ちゃんと契約が守られるから投資が集まっていました。
先進国の権益投資というのは新興国投資に比べてはるかに高い価格がつくのですが、それは開発しやすさのあらわれでした。
しかしです、今回のようなアンフェアな事態が起きると、その評判も悪化します。
豪州の資産価値は落ちることになります。
投資も集まりにくくなるでしょう。
鉱山は労働力を大量に利用しますから、経済にも影響します。
こうしたことから、ここもとのクイーンズランド州政府による態度にたいしては、国内からも懸念する声が出ています。
まぁあれですね。
国内の事業者が一斉に手を引くような事案は、かなり危ないということです。
とりあえず、三井物産と住友商事、頑張って乗り切ってください。
最近になってNew Hopeあたりが三井物産から権益を買収したりしていますので、もしかしたらまた風向きが変わるかもしれません。
以上です。