先進国向けパンデミック保険が必要~コロナウイルス禍は次も起こりうる~
政府による観光業救済は今回を限りとすべき~パンデミック保険でカバーすべき
世界中で新型コロナウイルスの感染が広がっています。
新興国だけでなく、先進国も漏れなく感染しまくっています。
先進国はこれまで、経済の軸足を製造業からサービス産業中心にシフトさせてきました。
第二次産業から第三次産業へ。
外需から内需へ。
さらには、観光などインバウンド需要を取り込む方向へ。
これが成熟した消費と定義されて、多くの国がこの成功モデルに倣って産業を「高度化」させていきました。
しかし、今回のパンデミックでこれが仇になっています。
第三次産業に依存し過ぎた経済の弱点が、新型コロナウイルスのパンデミックでみえました。
欧米各主要都市が事実上の封鎖状態に陥っています。
観光業や飲食業は、このままだと半数以上が廃業の危機とも言われます。
失業率は30%台に乗るのではないかと言われています。
あまりに経済に対して甚大な影響が及ぶので、
「事業者に対して公的資金による救済が必要だ」
などという議論も湧き上がっています。
でもよく考えてみましょう。
今回の件は、果たして今後おきないのでしょうか?
新型コロナウイルスレベルのパンデミックは一世紀に2回以上おきている
ここでパンデミックの歴史をふりかえってみましょう。
とりあえず、今回のコロナウイルスのパンデミックの以前にも、ちょくちょくパンデミックは起きていました。
(2009年の新型インフルエンザは外します。)
数十万人規模のパンデミックでいうと、1968年の香港風邪、1957年のアジア風邪、1918年のスペイン風邪が20世紀に起きています。
また、19世紀にはペストやコレラが大流行しました。
つまりどんなに医療技術が進歩しても、感染症の爆発的流行は起きると言うことです。
そして、そのたびに経済活動が麻痺するわけです。
そのたびに政府に支援を要請するというのは、どうしたものでしょうか。
個人的には、リスク管理ができていない事業者は潰れたらいいと思っていますが、そんなことをいうと多分非難轟轟でしょう。
とりあえず、今回はしゃーなしで救ってやるにしても、今後についてはいくつか考えておくべき課題があると思います。
その一つがパンデミック保険です。
一定規模以上の観光業・飲食業事業者にはパンデミック保険への加入を義務付けるべきでは?
世の中には、パンデミック債というものがあります。
世銀が発展途上国での感染症拡大のために用意しているものですが、これと似たようなシステムを先進国でも利用したらいいんじゃないかと思います。
そして、平時から保険コストを事業者に負担させたらいいんです。
全事業者では厳しいというのであれば、一定規模以上の観光業・飲食業を行う事業者にパンデミック保険への加入を義務付けたらいい。
保険加入してもなお美味しいビジネスだと思えば、観光業をやったらいいんです。
逆に、保険加入したら儲からないというのであれば、そもそも観光立国だとかインバウンド消費依存などと言うもの自体が幻想だったということです。
(これと同じことが原発にも言えます。原発事業者は大規模災害時や廃棄コスト負担に向けて全額カバーされる保険をかけたらいいんです。その保険コストを負担しても発電事業が成り立つのならやればいい。成り立たないならやめればいいんです。多分、無限責任を負うようなものの引き受け手はいないでしょうし、原発事業が成り立たないことが明るみになると思います。)
とにかく、何かあれば政府に頼ろうというアマッたれた姿勢は正す必要があります。
パンデミック保険市場の拡充に向け、世界的に議論していったら良いと思います。
以上。