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JT(日本たばこ産業)の2018年第1四半期決算はネガティブ

JT(日本たばこ産業)の2018年Q1決算はネガティブ

日本たばこ産業(JT)は、海外事業の買収により辛うじて微減益に留まっていますが、買収効果などを除けば実質的には大幅な減益です

 

増配を徐々に繰り返すことで株主を飼い馴らすつもりのようですが、果たしていつまでそれが通用するでしょうか?

 

とりあえず日本たばこ産業(JT)のホームページにある決算説明会資料を見ていきましょう。

 

まずは以下の資料

GFB好調・・・などと書かれている部分に着目してはいけません。

下段「買収および流通在庫調整の影響を除けば、総販売数量は2.2%減」

 

・・・つまりなんのことはない。期中にどこかの会社を買収することで前年割れを隠しているだけで、日本たばこ産業(JT)の海外事業は実質的にはマイナス成長ということだと思います。

期中にフィリピン、インドネシア、エチオピアで買収を繰り返さなければ総販売数量は減少していたはずです。(オーガニックはマイナス20億本。買収及び流通在庫調整の影響を除けば、総販売数量は2.2%減です。)

ほとんど自転車操業だと思います。エチオピアなどのようなカントリーリスクがよくわからない国にまで手を伸ばさなければならない状況、いつまで続けられるでしょうか?

 

つぎに、日本たばこ産業(JT)国内事業の業績をみてみましょう。

 

・・・こちらはさらに酷いですね。

日本たばこ産業(JT)の業績でいうと、紙巻きたばこだけのオーガニックな成長でみると、約30%もの減益ということになります。電子タバコPloom TECHなどによる効果と、販管費、製造コストの減などにより94億円の増益要因を持ってきていますが、それでもなお14.4%のマイナスとなっています。
日本国内のタバコ喫煙者の年齢はどんどん高齢化が進んでいます。人口も減っています。所得水準も頭打ちでタバコを吸う余裕も以前ほどありません。こうしたなか、タバコの販売数は漸減傾向・・・というかかなり急激な減少傾向をたどっています。
早晩、日本たばこ産業(JT)のタバコ事業は利益を生まない事業になるのではないでしょうか。そのときのリストラコストまで含めて考えなければ、投資する側としてはいけない気がします。

ほかの可能性としては価格引き上げで利益率を確保する方法がありますが、どのみち生産設備や生産農家との関係は切らなければならなくなるでしょう。財務省の許認可案件ですから、どのように撤退できるかもわかりません。それなりにリスキーな事業だと思います。

個人的に、ESG投資というのは気に喰いませんが、ことタバコ産業と石炭産業についていえば、ESGとかごちゃごちゃ考えなくても未来がないことはわかりきってます。とりあえず、将来のコストに備えた投資が今から必要だと思います。

 


 

日本たばこ産業(JT)の決算短信もみていきましょう。

日本たばこ産業(JT)のセグメント損益をみればわかるとおり、全体の営業利益のうち1/3程度が国内事業です。

さきほども書きましたが、国内の喫煙平均年齢は高齢化が進んできており、喫煙率はかなりハイスピードな漸減傾向を示しています。

日本たばこ産業(JT)の業績のうち、全体の2/3を占める海外事業は買収でかろうじて利益成長を維持している状態であることが、数字でも確認できます。

 


 

日本たばこ産業(JT)はWinston、Camel、MEVIUS、LD の 4ブランドをGFB(Global Flagship Brands/世界旗艦ブランド)と定義しているようですが、明らかに嗜好する年齢層が高そうなこの4つのブランド、いつまで販売を維持できるかは定かではありません。

いまは健康意識の低い発展途上国に売りさばいてカネを稼いでいますが、世界的には人々はタバコを吸わない方向に向かっています。利益の漸減傾向を覆すためには、なにかしらの抜本的対策が必要だと思われます。

 

 

日本たばこ産業(JT)の株価チャートもみてみよう

ESG投資を意識した機関投資家たちからの売りがJT株に出ているらしいが、それに対して配当狙いの個人投資家は買い向かっています。

個人的にはESG投資なんてクソッタレと思うが、かといって利益が漸減傾向にあるJT株を配当目当てで買うのは・・・べつにするなとは言わないけれど、少なくとも今の配当利回りでは、それは損なディールだと思います。

 

とりあえず、今回の日本たばこ産業(JT)の決算から受ける印象はネガティブです。

 


 

日本たばこ産業(JT)は、いまだに海外のたばこ事業買収にカネをつぎ込んでいます。そうやって扱い本数を減らさないように経営しています。

しかし個人的には、いま日本たばこ産業(JT)に必要なことは、タバコ事業の拡張ではないと思っています。タバコで稼いだ資金をどれだけタバコ以外の事業に回していけるか。別に畑違いの食品や医薬品事業に回せというわけではなくて、たとえばニコチンやその他有害物質を排除したタバコ類似物を販売したらいいのではないか、と思います。電子タバコのなかには、そういった商品を発売しているところもあるそうです。

某アメリカ資本の飲料メーカーだって、昔は麻薬であるコカの成分を入れた飲料を販売していましたが、今ではそういった倫理観の劣る商品は扱っていません。茶飲料やミネラルウォーターのような健康的な商品も扱っています。同様に、電子的に加熱して蒸気は吸うけれども、なにも有害なものが入っていない。少なくとも大人だったら健康上問題がないようなもの・・・そういう商品を開発できたら、最高だと思いますがどうでしょうか。

以上はあくまでも個人的な感想ですが、たばこの概念を変換することから始めないと、日本たばこ産業(JT)の未来はどんどん暗くなっていくように思います。

日本は「人生百年時代」だそうです。日本たばこ産業(JT)に新卒で採用されて就職する人が、将来退職して年金を受け取って最後死ぬまで、80年くらいの年月があるわけです。その間にたばこ産業はどうなっているでしょうか?そう考えて経営する責任が、経営者にはあると思います。。。

 


 

なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たっては自己責任・自己判断でお願いいたします。