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マルチ・スズキ・インディア(MRTI)の株価が急落している件

インド自動車最大手マルチ・スズキ・インディア(MRTI)の株価が急落中

 

スズキの子会社で、インドおよび南アジア圏最大の自動車メーカーであるマルチ・スズキ・インディアの株価が急落中

 

 

 

マルチ・スズキ・インディア MRTI 週足

 

マルチ・スズキ・インディア MRTI 日足

 

マルチ・スズキ・インディアはかなり大きく下がったように感じるでしょうが、

チャートパターン的にはまだ一波の下げの途中であり、

・とりあえず何かキナ臭いから手放しておこうか

・ちょっと高値から下げちゃったけど、利食いしておこう

という売りが出ているだけにすぎません。

 

 

このマルチ・スズキのチャート、よく見ていただければわかりますが、

・じみにヘッド&ショルダー(H&S)な形となっており、

・ネックを切ってきているため、

相場の教科書的にみれば、典型的な弱気相場入りとみるのがフツーです。

 

 

もちろん、これはあくまでも教科書的な見方であり、必ずしも常に当てはまるものではありません。

しかし、機械的に売買する癖のある人であれば、これで投げない理由はない

むしろ、切らねばルール違反・・・という感じの動きであるのも事実です。

 

 

 

なお、個人的な直感で言わせていただくと

(あくまでもチャートを見ただけでファンダメンタルズを一切考慮しない、という前提で)

このチャートの下値は、最悪1500~2500あたりかな、という風に見えます。

つまり、マルチ・スズキ・インディアの株価が今の水準から1/3まで暴落するかも?

ということです。

 

もし、マルチ・スズキ・インディアが高値から1/3暴落するならば、そのときは何が原因でしょうか?

 

多くの人はファンダメンタルズから物事を眺めようとしますが、自分はどちらかというと、チャートから雰囲気を察して、その後に理由を考えます。

今回も同様に、ちょっと考えていこうと思います。

 

 


 

とりあえず、ざっくりとマルチ・スズキ・インディアについて紹介しましょう。

マルチ・スズキ・インディアは名前の通り、スズキの系列会社です。

マルチ・スズキ・インディア株式の56.21%は親会社のスズキが保有しており、スズキの生産および売上において、4輪、2輪ともに大きなウェイトを占めています。

 

マルチ・スズキ・インディアはインド四輪車市場の約4割超を占める最大手となっており、同社の業績はまさにインドの高額消費の動向をうつす鏡となっています。

 

 

 

ごらんのとおり、スズキは完全にアジア一本足打法

なかんずく、インド市場への入れ込み具合が非常に強い。

このスズキの優秀な親孝行息子、マルチ・スズキ・インディアがなんだかトラブルに巻き込まれているかもしれない・・・

そんな雰囲気が、チャートからは読み取れます。

 

 


 

インドではここ数日、いろいろと経済的に重要なできごとが相次いでいます。

 

インド政府、IL&FS経営陣を総入れ替え 10月3日

インド株指数が急落中~BSE SENSEX指数、NSE指数~背景にIL&FSやDHFLを中心としたノンバンクNBFC問題か? 9月26日

インドが不良債権処理のため国営銀行3行の統合を発表~バローダ銀行、ビジャヤ銀行、ディーナ銀行~ 9月21日

 

インドは金融機関の8割くらいが国有・公有によるものなんですが、一昔前の日本の農協とおなじような情実融資が全国で行われており、不良債権が莫大な額に上っているそうなんですね。

それの処理をしようとしていた矢先、ノンバンク(NBFC)大手のIL&FSってところが債務不履行/デフォルトを起こしました。

これが他のノンバンク系にも飛び火、関連する金融機関や保険事業者などにも延焼が広がりそうな状況になってきたため、急いで政府が火消しに走った、という状況なわけです。

しかし問題は、これがIL&FSに限った問題ではないという点です。

全インド的な問題である可能性が高いという問題です。


 

ここで、もう一度さきほどのマルチ・スズキ・インディアの株価チャートをごらんください。

 

うーん・・・どうみても汚らしい・・・ふたたび高値を買いあがるようなチャートには、到底見えません。

すくなくとも、一年くらいは無理そうな・・・

なお、先日プレジデントオンラインに成瀬伸弥 岡三証券 アナリストが寄稿した文章によると、

 

  • インド市場は2030年に向けて1000万台市場に突入する
  • スズキが現状のシェア50%を維持するなら、インド一か国で500万台を売り上げることになる
  • 壮大な話ではあるが、夢物語ではないと思っている。
  • 販売員を4万人から12万人に増やすと鈴木修会長は語っているが、その戦略の方向性は正しい

 

とのことですが・・・

どうもそういう夢物語が真顔で語られ出すと、非常に危険性を感じるのが自分の悪い癖です。

嫌な予感がします。

 

 

 


ここで、インドの為替と金利を見てみましょう。

 

インド十年債利回り 長期

 

インド十年債利回り 約一年

 

インド2年債利回り 約一年

 

米ドル/インドルピー 約一年 日足

 

米ドル/インドルピー 1976~2018年

 

 

インドのインフレ率は、歴史的に見て低い水準にあります。
source: tradingeconomics.com

ただし、インドは原油価格や食料価格に大きく物価が揺さぶられやすい構造にあります。

現在はまさにその状況にある可能性があり、この低い金利状態が続くようには、個人的には思えません。

 

 

インドの貿易収支は恒常的に赤字体質です。
source: tradingeconomics.com

 

 

インドの経常収支も、恒常的に赤字体質です。
source: tradingeconomics.com

 

 

 

どうでしょう?

マルチ・スズキ・インディアが暴落するとしたならば、そのいくつかの口実というか、シナリオがみえてきませんか?

 

その一番ありえそうなシナリオは、通貨ルピー安を起点としたインフレ圧力と金利上昇による自動車販売の落ち込み、じゃないかと個人的にはみています。

 

どうでしょう、反対意見、賛成意見、いろいろ聞いてみたいところです。

もしよろしければ、コメントおねがいたします。

 

 

最後にスズキの株価ものせておきます。

 

もしもマルチ・スズキ・インディアの業績が悪化したなら、親会社のスズキの業績も無傷ではいられないと思われます。

現状のバリュエーションはマルチ・スズキ・インディアも、その親会社のスズキも他の自動車セクターの株式よりもやや割高に取引されている状況にあります。

 

 

とりあえず、以上です。