統計:2018年8月 中国小売売上高
中国の2018年8月小売売上高は前年同月比9.0%上昇、前月比0.65%上昇となりました。
総小売売上高は前年比で9.0%増加の31542億元
インフレ調整後の実質ベースで6.6%上昇
都市部消費財売上高は8月が前年比8.8%増の2兆7169億元
農村部は前年比で10.2%増の4373億元
1月から8月のオンライン小売売上高は4兆1993億元
モノ、食品、衣料品のオンライン小売売上高はそれぞれ42.7%、23.4%、29.0%増加。
これらは店舗販売の伸びがそれぞれ一桁台であり、ネット販売の方が店舗販売の伸びを優に上回っています。
(よって個人的には、アリババやテンセントが実店舗販売に注力する理由がわかりません。資本の無駄遣いじゃないのかと。)
ケータリングサービスは1-8月ベースで9.8%増、8月単月で9.7%増であり、ネット販売全体の伸びとは比較にならないくらい低い伸び。
市場では美団点評(メイチュアン・ディアンピン)を持て囃す声が多いし、テンセントもアリババもこの分野を狙っているようだけれど、成長率からしたら実店舗小売と大差ないのではないかと思ます。
なお、当月は化粧品の売上が非常に落ちてきています。
化粧品1-8月の売上が12.6%増だったのに対し、8月は7.8%増。
十分高い伸びではあるが、日本の化粧品メーカーも含めて、動向には要注意ではないかと思います。
もし中国が景気後退に陥り、それが日本の90年代の経験と共通するのなら、化粧品は高額品から中・低価格品、プチプラなものに移行していくはず。
なお、衣料品も年始8.9%増→8月単月7.0%に鈍化しています。
他に、家電製品およびAV機器も1-8月が8.5%増、8月単月4.8%増と伸びが鈍化。
通信機器も9.9%増→6.4%増と鈍化してきています。
自動車に至っては、1.3増→3.2%減と反転してきています。
燃料価格上昇の影響から、石油、関連製品は13.7%増→19.6%増と上昇しており、これらが選択的支出を手控えさせる要因になっている可能性があります。
とりあえず、統計全体でみると然程落ち込んでいないようにみえる中国の8月小売統計ですが、実態はかなり悪化しているように感じられます。
とくに自動車のマイナス転換をはじめ、家電など耐久消費財やスマホなどが落ちてきていることはネガティブではないだろうか。
なお、この中国小売統計は以前より粉飾の疑いが濃く、信頼性には乏しいです。
粉飾しているにも関わらず指数が悪化していっている・・・というのは、やはり数字以上に実態が悪化していっているということではないかと思います。
気を付けたほうが良いと思います。