デカップリング論はまやかしだった!結局リカップリングした!では現在の逆デカップリングは継続可能なのか?・・・という話
むかしむかし、10年以上むかしの話しになります。
当時世界経済はアメリカの住宅市場、消費市場主導で上昇していました。
しかしどうも先行きが怪しい・・・アメリカ経済はそのうち天井を打つんじゃないか?と多くの人が語り出しました。
そのとき、証券会社が顧客に株を買わせるために盛んに使った言葉があります。
デカップリング論
というものです。
これはどういうものかというと、ようするに、
「世界経済はアメリカ経済にカップリングしないよ」
というものです。
世界は新興国経済中心に発展していくから、アメリカ経済が落ち込んでも大丈夫。ちゃんとデカップリングして世界の株価は上がっていく。
みたいな煽り文句だったと思います。
まぁ、とりあえず、その後どうなったかをみてみましょう。
下のグラフ、ピンクの濃いやつがS&P500に連動するETFのSPDR SPYで、グリーンの濃いやつがMSCI世界株指数から米国株を除いた指数に連動するSPDR CWIです。
SPDR CWIが設定されたのはサブプライムローンまっさかりの2007年ですが、そこから現在に至るまで、ほぼ横ばいだったことがわかります。
デカップリングしてないじゃん!\(^o^)/
さらにみてみましょう。
S&P500に連動するSPDR SPYのほうは2009年の最安値から4倍になっていますが、SPDR CWIの方は二倍程度にしかなっていません。
2011年から始まる中国による50兆円レベルの大規模インフラ開発投資ですが、これで世界経済はかなり助かりました。
ただ少なくとも株価だけをみるならば、世界全体(SPDR CWI)というより、米国だけ(SPDR SPY)が大きく上昇していることがわかります。
こちらはチャイナショック後、直近の景気回復局面をうつしたものです。
この時期だけをみると、昨年~今年初めくらいまでは新興国経済中心で上昇していたこともあり、世界株指数であるSPDR CWIのほうが若干SPDR SPYを主導するような動きになっています。
さて、こちらは2018年年始からのSPDR SPYとSPDR CWIのチャートを比較したものです。
やや時間軸を伸ばして表示させているため、上記のものとは見え方がかわりますが、どうでしょう・・・
完全に米国と米国外で逆デカップリングが起きている
ことがわかると思います。
これと似た逆デカップリングな光景は、直近では2014年から2016年にかけても起きています。
当時、世界株価指数であるSPDR CWIは落ちている一方、米国株を代表するSPDR SPYは、終盤に一回ダレる展開はあったものの、期間中ほぼ横ばい推移でした。
これと同じことが起きるのでしょうか?
個人的には、ちょっと懐疑的にみています。やや悲観的です。
いまのSPDR SPYの上昇は、たぶんその2014年から2016年にかけて逆デカップリングした経験を反映しているだけにすぎないのではないか、とみています。
「アメリカ株だけ買ってりゃいいさ、他の株は売っておこう」
「個別株買うのは面倒臭いから、ETFだけかっとけばいいや。IVVやVOO、SPYとか有名どころ買っておけばいいさ。」
そんな感じで、ETFばかり買うズボラな投資家もどきが跋扈しているのが今の相場なんじゃないか、と感じます。
たしかにアメリカ経済は強いです。
しかし世界経済はシクリカル的には下向きになっています。
世界の株価も、下向きになっています。
アメリカの株価だけが強い・・・そんな逆デカップリングが続くでしょうか。
かりに世界経済が急激に落ち込まないにせよ、いずれかの時点で米国株の割高感は解消される時がくるのではないか、と感じています。
それがいつになるかはわかりませんが。
以上です。