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志葉玲さんがラオスのダム崩壊事故について語っていることはESG的観点からは正論だが・・・

志葉玲さんがラオスのダム崩壊事故について日本の責任を叫ぶのは、ESGやSRI(社会的責任投資)の観点からは正論だが、やはり違和感がある・・・という話

 

 

 

志葉玲さんという、一部界隈で有名な「ジャーナリスト」の方がいらっしゃいます。

Wikipediaによりますと、1997年に帝京大学を卒業後、番組制作会社につとめ、その後はジャーナリストや市民活動家として活動を行ってらっしゃるそうです。

その言動の中身から、一部で「日本嫌い」として有名な志葉玲さん。

この志葉玲さんが、最近またずいぶんと可燃性の高い燃料を投下したもようで、多方面から集中砲火を浴びて炎上しています。

とりあえず、彼が何を書いたのかみてみましょう。

「投資しているだけ」は無責任――ラオスのダム決壊事故と日本の関係、国際社会の視点から問う

うん、まぁ、炎上するのは志葉玲さんの狙い通りでしょう・・・PV稼ぎが目的のようです。


 

とりあえず、まずは背景となるセーピアン・セーナムノイ・ダム決壊事件についてみていきましょう。

 

セピアン・セナムノイ・ダムはラオス南部チャムパサック県パクソン郡に作られていたダムです。

ホアイマクチャン川、セーピアン川、セーナムノイ川をせき止めて作られたこのセピアン・セナムノイ・ダムですが、2018年7月23日に補助ダムのひとつが決壊するという大事故を起こしてしまいました。

セピアン・セナムノイ・ダムの決壊による濁流は下流域の13村2528世帯11,805人を襲い、家屋1370戸、死者・行方不明者数百人を出す悲惨な結果となりました。


 

なお、このラオスのセーピアン・セーナムノイ・ダムを建設していたのは、韓国SK建設と韓国電力公社傘下の韓国西部発電です。

また、このプロジェクトの利益を得る予定だったセピアン・セナムノイ・パワー社(PNPC社)には、韓国、タイ、ラオスの企業が出資していたのですが、このPNPC社に協調融資するタイのクルンシィ・アユタヤ銀行は三菱UFJ銀行の傘下にあり、またクルンタイ銀行へはGPIFが出資、GPIFは他にも、PNPC社へ出資するラオス国営企業に融資している韓国輸出入銀行の債権も保有している・・・

・・・だから日本も責任があるはず、と「志葉玲」という人が言っているわけです。

 

いやいやいや、さすがにそれは離れすぎていると思います。

言いたいことはわかります、ESG投資とかSRI(社会的責任投資)とかいう話を拡大させていくと、たぶんこういう結論に至ると思います。

この志葉玲さんの発言に対して、

「日本は被害者だ」

「出資した側が非難されるのはおかしい」

「融資しただけで悪者にされるのは変」

と言っている人たちがいます。

その気持ちはわかります。自分も同感です。

でも、そういう人たちは最近の流行に疎いと思うんですよね・・・至極まっとうな感覚なんですけど。

 

 

 

 

実際、融資した側、出資した側も道義的責任を負うとされる事案は多々あります。

たとえば石炭関連企業への投融資をしない企業、ファンドなどが最近増えていますが、そういうのも道義的責任を避けるためにやっているわけです。ESG投資とかいう名前をつけて。

 

また、人権問題や女性問題を理由にして投融資をしないのもよくある話です。これも同様にESG投資とか言われます。

コンゴ民主共和国の例を志葉玲さんはあげていますが、そんな例だけでなくとも、たとえば女性取締役が少ない企業には投資しない、などというファンドも出てきたりしています。

そういう意味で、ESG的な観点、SRI(社会的責任投資)という観点からみれば、志葉玲さんの主張は筋が通っているわけです。

筋が通っているというより、極端にした感じでしょうか。

 

 

ESGの文脈的には論理的には間違っていないんですよ。

だからこそ、この志葉玲さんの言ってることは困るんです。

志葉玲さんの言ってることは、文脈的にはズレてないけど、極端に推し進めすぎるとこうなる、という見本なんです。

 

 

ESG投資を推し進めようとしている人たちは、どこまでを社会的責任と捉えるのか、その責任の取り方はどうあるべきか、などまで含めて、詰めておいた方が良いと思います。

そうでないとプロ市民に良いように利用されてしまいますからね。

 

 

なお、こういったESGの主張を突き詰めていくと、株式による出資が有限責任であるという大前提まで崩れてしまうことになります。だから自分は、ESGってもんが大嫌いです。このESG教の危険性には多くの人が気づいてほしいと思います。

以上です。