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リチウム生産大手SQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ)は天斉リ業に買収されるのか?

リチウム生産大手SQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ)~ピノチェト将軍の遺した資源会社は天斉リチウム(天斉リ業)に買収されるのか?

チリの化学メーカーソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM/Sociedad Química y Minera de Chile)はアタカマ塩湖でリチウムを生産するリチウム生産の大手です。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)を長らく支配してきたのは、チリの独裁者ピノチェト将軍の息子フリオ・ポンセです。

民営化後一貫して、40年近くリチウムの帝王としてフリオ・ポンセ氏は君臨してきました。

フリオ・ポンセは、息のかかった地元投資家グループと日本の興和の保有株を利用し、SQM経営陣の地位を維持してきました。

しかし、高まるリチウム価格を背景に本格的にチリの投資家グループが一枚岩ではなくなってきました。

多くの投資家が価格上昇を受け、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)株を手放し、そのSQM株を買い集めた投資家同士の綱引きが始まっています。

そして2017年、ミゲル・フアン・セバスティアン・ピニェラ・エチェニケ氏が大統領選挙に勝利し復帰。

ピニェラ大統領の下、チリ政府機関のはソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)に対してアタカマ塩湖での営業権の更新を条件にフリオ・ポンセ氏の同社からの撤退を要求したと噂されています。

フリオ・ポンセはもはや一線を退くことを決定したようです。

この前後を経て、同社株は非常に特徴的な二社に株式が集約されました。

多くの既存の投資家が、チリの投資グループ(パンパグループ)とカナダの資源企業(ニュートリエン)にソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)株式を売却していったのです。

結果として、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)株式は、32%を握るPampa Calichera(Pampa Group/パンパグループ/パンパ・カリシェラ)と、24%を握るカナダの肥料会社Nutrien(ニュートリエン)の綱引きという形になりました。

 

そして、ここにきて新しいプレーヤーが表れています。

24%しか玉集めできなかったカナダのニュートリエンは、諦めて第三者に株式を譲ることに決めました。

ニュートリエンがSQM株式を譲る先が、中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium/天斉リ業)だったことにチリ産業開発公社Corfoなどは反発しています。

 

 

 

が、そこは単純な中国への嫌悪というよりも、そもそものリチウム生産が多くなりすぎることへの恐怖感があるかもしれない、と個人的には思っています。

目下のところ、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)はアメリカのアルベマール(Albemarle)を超える、世界一のリチウム生産量を目指しています。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)が主力として捉えているのは、チリのアタカマ塩湖における生産です。かん水型のリチウム生産としては生産効率が非常に高く、低コストで開発できることが強みです。

 

Albemarle社 Investor Day資料47ページめ

 

 

 

しかしこれに対抗する動きが世界で広がっています。

おもに豪州と米州を中心として、生産量の急拡大がみえてきています。

天斉リチウム(天斉リ業)はソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ(SQM)への買収を目指す一方で、豪州のペグマタイト鉱床の開発によるリチウム生産も目指しています。

たとえば、世界有数のペグマタイト系リチウム鉱床であるGreenbushes鉱山の権益を握るTalison Lithium社は中国天斉リチウム(天斉リ業)が51%、米国アルベマールが49%を握っています。

 

Albemarle社 Investor Day資料48ページめ

 

 

 

豪州、北米などで新規の開発が進んでいます。

リチウム生産の大手であるアルベマールやSQM、FMCや天斉リチウムだけでなく、Galaxy Resourcesなど中堅クラス、そしてその他の細かい会社が一気にリチウム市場になだれ込んでいます。

どうもこれと似た動きはシェールオイル・ガスの時にもみたように思います。

また、2000年代の銅鉱山開発も似たような状況だったように思います。

とにかく、今はそういった熱気があるわけですが・・・

 

どうも最近リチウム価格がおかしい。

 

 


source: tradingeconomics.com

 

あれほどイケイケどんどんだったリチウム価格が天井から3割下落してきています。

チャート的には初押しにみえます。

しかし、それにしては調整が長引いています。

これを押し目と捉えるべきかどうかは微妙なところです。

 

 

 

ぶっちゃけた話、中国全体からみれば、天斉リチウム(天斉リ業)はリチウム権益を確保するための先兵に過ぎないのだと思います。

SQMに対しては、天斉リチウムが参画する前にもGSRキャピタル(中国の投資ファンド)が買収するかもしれないと噂は流れていました。

この二つのユニットの背後には別の資金があるとみていいと思っています。

中国は、あくまでもこれら資源で稼ごうなどとは思っていない可能性がある。

資源開発をガシガシ進めて価格を安くして、中国の国内でEVなどの生産が滞りなくできればそれでよし・・・そんなふうに考えているんじゃないか、という気がします。

もしそうだとするなら、リチウムのマーケットはレッドオーシャン化します。

だからチリ産業開発公社CorfoがSQM株の玉渡しに反対するのではないか?

個人的にはそんな気がしています。

(そもそもにおいて、中国国営・準国営企業が2000年代からこれまでに手に入れてきた海外権益って果たして爆益を出していますか?むしろ赤字を出しているところも多いんじゃないですか?国益で投資規律が緩んでいる可能性があります。)

とりあえず、リチウムはそろそろ微妙・・・そんな感じで見ています。

間違っているかもしれませんが、そもそもにおいてリチウムってそんなに珍しい代物でもありませんし、増産しやすいものでもあります。

当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが・・・一応かいておきました。以上です。

 

なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であって、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たっては自己責任でお願いいたします。