コラム

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)元イスラエル軍参謀総長について～中道結集でネタニヤフ首相に挑むが・・・

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)元イスラエル軍参謀総長について

 

ベニー・ガンツ氏、イスラエル総選挙に出馬、ネタニヤフ首相に挑む

イスラエルでは4月に総選挙が行われます。

イスラエルのネタニヤフ首相および彼の率いる与党リクードには、ここもと汚職の疑いが多数あがっており、国民の支持を失ってきていると言われています。

そうした状況を受けて、空挺部隊出身の元参謀総長で、国民的な人気を集めるベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏が出馬を表明しました。




 

 

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏、政党「強靭なイスラエル / Israel Resilience Party  / Hosen LeYisrael」を結成

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏はこれまでも政界入りを嘱望されてきましたが、政治とは距離を置いてきました。

それが昨年後半あたりからいよいよ政治の舞台に乗り込むことが予想されるようになり、どこの政党に属すのか？と話題になっていました。

そうしたなか、ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏は既存政党には属さず、自身を代表とする「強靭なイスラエル / Israel Resilience Party  / Hosen LeYisrael 」を結成し出馬を表明。

その後に、中道系の政党を結集して野党連合「青と白」をつくり、与党リクードに対抗しようとしています。

 

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏の経歴

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏とはどのような人物でしょうか。

Israel Ministry of Foreign Affairsで経歴をみてみますと以下のように書かれています。

1959年生まれ

1977年　空挺部隊旅団(パラシュート部隊)に所属

1979年　IDF(イスラエル防衛軍)の幹部養成学校卒業、中隊の指揮官になり、その後、空挺旅団の小隊司令官に抜擢

その後もレバノン、サマリアなどの管区を歴任後、2007年には米国におけるイスラエル軍代表を経験、イスラエル軍副司令官になり、2011年からは第20代イスラエル防衛軍参謀総長に就任

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏はCommand and Staff CollegeとNational Security Collegeを卒業後、歴史学でテルアビブ大学の学位を取得。ハイファ大学でPolitical Scienceの修士号を取得、management of national resourcesの修士号をアメリカのNDU大学で取得しているとのことです。

結婚しており4人の父親とのこと。

 

 

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏の主張

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏の演説の内容などからすると

  • ゴラン高原からは撤退しない
  • パレスチナとの共存を望む
  • パレスチナ国家の樹立を認める
  • ヨルダン渓谷を国境に
  • フェンスのこちら側をパレスチナが攻撃することは認めない
  • 対イラン強硬姿勢

といったものになっているもよう。

ぶっちゃけ、右左両派からどっちつかずといった反応を受けているようですが、とりあえず既存政党(リクード)に嫌気がさしている国民のウケは得られているようで、総選挙になれば第二党になるのではないかとみられています。

 

 

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏にふりかかる40年前のセックススキャンダル

世界的なMeToo運動のさなか、ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏もまた、その標的となっているようです。

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏にわいせつな行為をされたと訴えている女性の話によると、ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏は当時14歳だった被害者女性とその妹7歳の前で性器を露出したりしたとのこと。

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏はこうした訴えを当初「記憶にない」と否定とも肯定ともとれない表現で済ませていたようですが、

ここにきて政治的な致命傷となるのを避けるためか、強く否定。

女性側を相手に名誉棄損で訴える動きに出ています。

Gantz Sues Woman, Who Claims He Exposed Himself to Her When They Were Schoolmates, for $140,000

 

 

ベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏は政治経験ゼロ、果たして首相職が務まるのか？

これは個人的な見解になるのですが、はっきりいって、政治経験ゼロでイスラエルの政治のトップが務まるとは到底思えません。

ご存知の通り、イスラエルは周囲をイスラム教の国々に囲まれ、アラブ系とペルシャ系、スンニ派とシーア派、そしてキリスト教諸派とユダヤ教徒が、狭い地域でごちゃまぜに主義主張をしている状況です。

このような地域の統治を政治経験ゼロな人物が担えるのか。

⇒ベンヤミン・ネタニヤフ首相を収賄・詐欺・背任の疑いで起訴～イスラエル検察

もし仮にネタニヤフが失脚したり、首相職から降りたとしても、いろいろと混乱した状況になるんじゃないかと思います。

 

そうしたわけで、今回の総選挙でベニー・ガンツ(Benny Gantz)氏が率いる政党にどれだけ支持が集まるか、は非常に重要です。

周辺諸国の反応も含め、注視していく価値があると思います。

以上。