職業別有効求人倍率からみた人手不足問題~背景にあるのはアマッたれた意識

職業別有効求人倍率からみた人手不足問題~背景にあるのはアマッたれた意識

 

質問箱で以下のような質問をいただきました。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1105744820952129538

電気自動車の登場で、(モジュール化などが進み)そこで働く人員が減るなら、日本の人手不足の問題も解消されるか?

 

というご質問です。

いつも質問箱のご利用ありがとうございます。




 

先に書いておきますと、回答にも書きましたとおり、

日本の人手不足問題は解決しない

と思います。

 

いま起きている日本の雇用問題というのは、単純に言ってミスマッチです。それは、職業別の有効求人倍率をみてみれば一目瞭然です。

 

 

職業別の有効求人倍率

建設躯体工事の職業 11.17
保安の職業 8.47
建築・土木・測量技術者 6.82
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 5.96
建設・採掘の職業 5.49
建設の職業 5.44
土木の職業 5.33
外勤事務の職業 5.28
採掘の職業 4.58
生活衛生サービスの職業 4.56
機械整備・修理の職業 3.96
電気工事の職業 3.73
運輸・郵便事務の職業 3.64
介護関係職種(※) 3.64
介護サービスの職業 3.61
販売類似の職業 3.56
社会福祉の専門的職業 3.51
金属材料製造、金属加工、金属溶接・溶断の職業 3.32
医療技術者 3.26
自動車運転の職業 3.23
保健医療サービスの職業 3.17
サービスの職業 3.1
飲食物調理の職業 3.09
包装の職業 3
接客・給仕の職業 2.96
保健師、助産師、看護師 2.76
輸送・機械運転の職業 2.74
開発技術者 2.68
情報処理・通信技術者 2.65
製品検査の職業
(金属除く)
2.53
その他の技術者 2.52
専門的・技術的職業 2.43
商品販売の職業 2.3
製品検査の職業
(金属)
2.3
機械検査の職業 2.23
その他の保健医療の職業 2.19
販売の職業 2.16
定置・建設機械運転の職業 2.06
生産設備制御・監視の職業
(金属除く)
2.05
営業の職業 1.99
生産関連事務の職業 1.91
生産工程の職業 1.9
管理的職業 1.82
製品製造・加工処理の職業
(金属除く)
1.74
家庭生活支援サービスの職業 1.67
生産設備制御・監視の職業
(金属)
1.67
運搬の職業 1.5
その他のサービスの職業 1.39
生産関連・生産類似の職業 1.37
農林漁業の職業 1.32
清掃の職業 1.28
その他の輸送の職業 1.22
生産設備制御・監視の職業(機械組立) 1.11
営業・販売関連事務の職業 0.91
その他の専門的職業 0.89
居住施設・ビル等の管理の職業 0.89
機械組立の職業 0.87
会計事務の職業 0.78
製造技術者 0.76
鉄道運転の職業 0.76
運搬・清掃・包装等の職業 0.63
事務用機器操作の職業 0.52
船舶・航空機運転の職業 0.51
事務的職業 0.49
美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者 0.46
一般事務の職業 0.38
その他の運搬・清掃・包装等の職業 0.22
分類不能の職業 0

 

上記は2019年1月の有効求人倍率(常用・除くパート)のデータです。

ごらんのように、有効求人倍率が高い(人手不足)とはいってもその中身はこんなにバラけています。

建設躯体工事などは11.17倍と非常に高い水準ですし、

土木、建設など全般的に5倍6倍台となっています。

介護関連だって3倍台です。

そういった、キツイ、キタナイ、キケンないわゆる3K職場は非常に高い有効求人倍率(人手不足)なのです。

 

 

有効求人倍率が低い職業にはキラキラしたもの、快適そうな職場が並ぶ

一方で有効求人倍率が低い職業にはキラキラしたものや、快適な職場で働けそうな事務職が並んでいます。

美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者

事務的職業、一般事務、事務用機器操作、会計事務

これらは有効求人倍率が1倍を大きく下回っています。

ようするに、こういったものにはなりたい人がたくさんいて、十分足りているということ。

 

 

 

有効求人倍率からみえるのは、日本人のアマッたれた意識

有効求人倍率から言えることは、日本人が甘ったれているということだと思います。

キツイ、キタナイ、キケンな仕事はしたくない。

他人より惨めな仕事はしたくない。

キラキラしていたい。

そんな労働者たちの意識が有効求人倍率の数字からは滲み出ています。

 

農業部門の有効求人倍率推移からみる、産業界・政府の甘え

有効求人倍率からは、労働者のアマったれた感覚が滲み出ています。

・・・と同時に、キツイ、キタナイ、キケンな仕事でも低賃金しかオファーしない産業界と、それを後押しする政府の方針も労働市場を歪にしています。

さきほどの表をみて、農業の有効求人倍率が結構ひくいことに気づきませんか?

これには、個人的な意見になりますが、外国人研修制度、および外国人技能実習制度の影響があるとみています。

1993年から導入されたこの制度により、一時的にではありますが、農業関係の有効求人倍率は低下傾向をたどりました。

以下は農林漁業の有効求人倍率です。

農林漁業の実態にあわせ、常用的パートタイムでみていますが、常用 除くパートなどでみても同じような傾向です。

農林漁業の有効求人倍率は大きく低下してきました。

国勢調査によると、平成7年(1995年)に農業に従事する外国人は約2800人でしたが、2015年には21000人にまで増加しています。

個人的には、これが影響しているとみています。

ただ、お気づきのとおり、なにやら平成21年ころを境に徐々に有効求人倍率が上昇してきています。

外国人の農業従事者も、実はこの期間に伸びが落ちているんです。

産業界・農業団体、日本政府は安くて言うことを聞く労働力として、半ば奴隷のような意識でアジアの外国人を呼び寄せようとしています。

しかし、個人的にはその感覚もまた、アマッタレた意識だと思います。

世の中そんな上手いこといかないでしょう。

彼らはどんどん豊かになっていますし、日本になんて出稼ぎしたくない、と思うようになるはずです。

 

思うに、この国はアマッタレが多すぎます。

自分には特殊な能力があって、他人よりも良い生活ができると思い込んでいる人

日本には特殊な魅力があって外国人はどんどん来てくれると思っている政府・や産業界・業界団体

いろんなアマッタレた見通しのせいで、対応が後手後手に回っている・・・そんな風に感じます。

 

とりあえず、自分たちの食糧は自分達で作り、自分達の建物は自分達で作り、自分たちの国は自分達で守る意識を持たなければ、きっといつか手痛い目に合うと思います。

労働者は自分の能力を見極め、クリエイティブな仕事に向いていないならキツイ・キタナイ・キケンな仕事をしたらいいんです。

産業界の連中も、安易に他国から安い労働力を呼ぶのではなく、ちゃんとキツイ・キタナイ・キケンな仕事にはたくさんの賃金を払ったらいいんです。

そうしたら、きっと上手いこと回ると思いますよ。

 

とりあえず、偉そうに語るブログらしくなりました。

以上です。