労働基準監督官は司法警察員としての責務を果たすべき~LDHやマッドハウスの過重労働問題を考える
LDHに引き続き、マッドハウスでも過重労働問題発覚~問われる労働基準監督官の役割
EXILEなどが所属する芸能事務所、LDHで月500時間労働が行われていたと報じられたのは、つい2週間前の4月14日。
⇒EXILEのマネージャーは月500時間労働!?~アミューズ、吉本興業、LDHなど大手芸能事務所に労働是正勧告
その報道にひきつづき、今回「時をかける少女」、「サマーウォーズ」などの制作で知られるアニメ制作会社マッドハウスでも、月393時間労働が行われていたことが発覚しました。
これは文春オンラインが告発したものです。
外部サイト(文春)⇒アニメ制作会社「マッドハウス」社員は月393時間働き、帰宅途中に倒れた
なお、マッドハウスは1972年設立のアニメ制作会社で、現在は日本テレビが95%の株式を保有する親会社とのこと。
労働基準監督官が司法警察員としての役目を果たしていない・・・
LDH、マッドハウスともに、異様な長時間労働といえます。
国の定める過労死ラインは月に240時間程度ですので、393時間というとかなりのものです。
非常に危険な労働環境といえます。
本来であればこういった劣悪な労働環境は労働基準監督官が徹底的に捜査し、虱潰しにしていくべきものです。
労働基準監督官にはそのための強力な権限が与えられているのであり、強制的に臨検を行ったり、司法警察官として逮捕、送検する権限もあるのです。
しかし、現実にはそういった権限が使われることは多くありません。
司法警察員が警察と同等の権限を与えられていると言っても、それがフルに活用されることはほとんどない。
本来であれば告発先としても機能するはずの労働基準監督署ですが、多くの場合、被害届程度でおしまいにさせようとするはずです。
労働基準監督官が不足しているのか、意識が低いのかはわかりませんが、
とりあえず、こうした労働基準監督署の機能不全が現在の劣悪な労働環境を作り出しているのであり、これはどうにかすべき問題です。
国民は、労働基準監督官に警察と同等の権限があることをしらない?
たぶん、多くの国民は、労働基準監督官に警察と同じだけの権限があることを知らないんじゃないかと思います。
だから、労働問題に関してどこに被害を訴えたらいいのか、わからないんじゃないでしょうか。
多くの人はユニオンなどを通そうとします。
もちろんそれも良いことですが、本当は行政側が用意したシステムもあるのです。
泥棒されたら警察に通報するのと同様に、
労働問題で被害にあったなら、労働基準監督署に通報すればいいのです。
労働基準監督官はしっかり捜査することが当然、期待されています。
労働基準監督官がマジメに司法警察員として働かなければ、労働者は殺される
思い出してください。
桶川ストーカー事件を。
あの時、被害女性はストーカー被害を訴えていたのに、警察はろくに捜査をしませんでした。
警察は告訴状の告訴を「届出」に改竄して、告訴自体がなかったことにしようとしました。
のちに纏められた報告書によれば、警察職員たちは「職務が増えると困る」とか、「被害解決の点数が落ちるのが嫌だった」とか、いろいろと理由があったと言われています。
しかしそういった行政側の怠慢で、人がひとり殺されてしまった。
LDHやマッドハウスの労働問題からは、同様の問題点がみえてきます。
労働基準監督官がちゃんと仕事をしていなければ、いずれ労務災害で人が死ぬことになります。
というか、既にたぶん多くの労働者が人知れず死んでいます。
問題は既に現在進行形で起きているはずです。
労働基準監督官はしっかりと仕事をすべき、と思います。
以上です。