中国のスマートフォン販売台数、過去最大の落ち込み
Chinese smartphone sales suffer biggest decline ever(英文元記事 こっちの方がやや詳しい)
2018年1~3月期の中国でのスマホ出荷台数が前年同月比21%減の9100万台と、過去最大の落ち込みを記録したそうです。(調査会社カナリス)
出荷台数9100万台は13年10~12月期以来の低水準とのこと。
とりあえず要点を纏めます。
- 中国でのスマホ出荷台数が前年同月比21%減の9100万台
- 中国は世界最大のスマホ市場
- 出荷台数9100万台は13年10~12月期以来の低水準
- サムスン電子の製品出荷台数は、前年同期で50%減の200万台
- Apple製品はシェア順位を1つ下げて5位に後退
- 中国市場で売上トップのHuaweiは販売台数2%増。
- 昨年に販売を減らしたシャオミ(小米科技/Xiaomi)は37%増と回復。
- Huawei,Oppo,Vivo,Xiaomi,Appleの順
- OppoとVivoの新機種投入により今後3か月は回復するとカナリスは予測
- 昨年の中国スマホ販売は4%減の4億5900万台
個人的見解
中国スマホ市場 2017年出荷台数 初の2ケタ減 (2018年1月10日)
この記事と比較してみます。要点は以下
- 2017年の中国スマホ出荷台数は前年比11.6%減の4億6100万台
- 中国は世界のスマホ販売の3割を占める市場
- 中国のスマホ販売が減少するのは景気減速の影響を受けた14年のみ。13年比で8%減。
- 直近17年12月の落ち込みは深刻。出荷台数が4036万台と前年同月比33.2%減
- 世界市場全体では17年は1桁台前半の伸びを確保
「販売」と「出荷」の統計がまぜこぜになっていてわかりにくいですが、とりあえず言えることは
- 昨年から中国のスマホ出荷は11.6%も落ちていた
- 昨年12月の落ち込みは33.2%減と最悪水準
- 今年1~3月期も昨年末の流れを引き継いで21%減
つまり、過去最悪は2017年12月~2018年1月あたりのところ。今は若干戻し気味・・・みたいなところだと思います。(予想です)
記事にある通り、今後3か月は回復傾向なのでしょう。
ただ、最悪の時期を過ぎたからと言って大丈夫、というわけではないと思います。
この水準の下落は、過去にパソコン市場で飽和が確認された時よりも激しいです。
以下の記事に日本国内のパソコン出荷台数推移が出ていますが、
http://tech.nikkeibp.co.jp/it/pc/article/basic/20131028/1110104/
いまスマホ市場で起きているのは、このグラフの2001~2002年の頃に似ていると思います。
・・・といっても、その頃は2年で2割程度の減少ですから、現在のスマホ市場の方がシュリンク具合からみたら、より激しいです。
よくスマホ需要はパソコン需要と同じように衰える・・・という人がいますが、いま起きていることをみると
スマホ需要はパソコン需要の比ではない速さで崩壊する
というふうにみえます。
さらにいうと、過去にこの水準の販売減が起きた時は、技術的な停滞というよりも経済状況全体が悪くなった時です。
たとえば上記のグラフで見ると、ITバブル崩壊後の2001年2002年と、ベアスターンズショック後の2007年2008年に大幅減になっています。
ところが今回は、経済環境にはまったく問題がなく、むしろ好景気であったはずの2017年に下落し始めています。
これは今までの状況とは大きく異なります。
いま起きていることはスマホ市場の飽和が主因であり、経済環境の悪化は含まれていません。
もしも経済環境の悪化がこれに加われば、ここからさらに2割程度の下落がある可能性があります。
すでにスマホ関連企業には大きく株価下落している企業が増えていますが、トップラインの2割減が2年以上続くことまでは想定していないようにみえます。過去にこのレベルの下落があったときには、ボトムが赤字転落する企業だらけになりました。用心してみていく必要があると思われます。