アップルショックはまだ続く?
本日、質問箱に以下のような質問がありました。
「アップルショックはまだ続くか?」
というものです。
https://twitter.com/chu_sotu/status/1062154977295032320
いつも質問ありがとうございます。
回答として
「アップルショックは続く」
と書きましたが、twitterでは書ききれないことが多いので、こちらに追記して書いておきたいと思います。
まず、アップルショックとはなんぞや?という点から話したいと思います。
アップルショックとはなに?
アップルショックというのは、具体的にはこれといったものが定まっているわけではないと思います。
ひとそれぞれ、定義は異なるかもしれません。
そのうえで、個人的な定義を語らせていただけるとするならば
「アップルショック = アップル株が下落することで、他の銘柄を道連れにする流れ」
だと思っています。
この定義でいくならば、アップルショックはまだ序の口の可能性があります。
背景にあるのは、アップルの主力商品、iPhoneが売れなくなっていることです。
- 10月中旬・・・「アップルの新型iPhoneXS、iPhone XS Max、iPhoneXR」がどうやら売れてないのではないか?と噂が流れる
- 10月下旬・・・アップル決算。台数の伸びが対前年でフラット。台数発表を今決算を最後に取りやめると発表。警戒広がる。
- 11月初旬・・・大手ファウンドリ(ペガトロン)のライン増設をアップルが中止するよう要請した
- 11月初旬・・・無線通信部品をアップルに納入しているスカイワークス・ソリューションズが10~12月期の売上減少を予想した
- 11月中旬・・・3D顔認証に必要な部品を供給するルメンタム・ホールディングスが、大口顧客のひとつ(たぶんアップル)が調達を絞っているので業績を下方修正した。
こんな感じの流れだと思います。
関連記事:アップル(Apple)が売上台数の開示をしないと表明~「台数に意味はない」とルカ・マエストリCFOは言うが、それを判断するのは投資家だ~
アップルの端末は明らか売れていないことが明らかになりつつあります。
その背景に、スマホ市場の衰退を疑う声があります・・・が、個人的にそれは違うと思います。
実際、この期間に売れている端末メーカーもあるのです。
Huaweiなどです。
Huaweiの販売したP20 liteは3万円前後と手の届く価格帯ながら、
- CPU Kirin 659 オクタコア
- OS Android 8.0 Oreo / EMUI 8.0
- ディスプレイ 5.84インチ FHD+ TFT、2280×1080ピクセル
- メモリ RAM 4GB / ROM 32GB
- メインカメラ(ダブルレンズ) 1600万画素 約200万画素 像面位相差AF+コントラスト AF
- インカメラ 1600万画素 FF
- バッテリー容量:3000mAh
という十分なスペックで爆発的に売れています。
Huawei 5.84インチ P20 lite SIMフリー
このほか、鴻海に買収されたシャープが発売した商品などもよく売れています。
つまるところアップルショックの原因は、iPhoneはスペックがイマイチなのに割高すぎることに人々が気づいてしまったことにある・・・
のではないかと、個人的には思っています。
Huaweiは全社営業利益率が14%程度ですが、Appleは22.45%もあるのです。
割高な賃金の従業員を抱えておきながら※1、それでいてHuaweiよりも利益率が高いのです。どれだけボッタクリなのかがわかろうものです。
※1・・・一人当たり賃金データがないので不明ですが、中国企業のHuaweiよりAppleの方が賃金は高いと思われます。
いままでは、それでも消費者側が諦めてアップル製品を使っていました。
Appleには大量のデータがあり、電話帳やら何やらを移動させる手間を考えると、他の端末に移動するのは躊躇われました。
しかし、ここまでiPhoneの価格が高くなり、他の泥スマホの価格が安くなると、さすがに多くの人たちはウーン?と考えてしまうと思います。
実際、自分も次はandroid端末でいいかなって思っています。
現在のアップルの商売は、むかしNECがやっていたPC98商法と似ています。
互換性がないことに胡坐をかいて、割高な商品をコストから逆算して消費者に提供するやりかたです。
そういうやり方をしていたら、消費者はいずれウンザリして他に乗り換えます。
事実、今皆さんが使っているパソコンは、PC/AT互換機の流れをくむ製品であり、PC98独自に使われていたアーキテクチャなんて微塵も入っていないはずです。
とりあえず、アップルショックの話に戻します。
とりあえず、Appleの利益率はボッタクリです。
Appleの従業員の賃金もボッタクリであり、
そういうわけで、Appleの端末価格もボッタクリです。
そしてさらにいうと、Appleの株価もボッタクリ・・・だと思います。
利益成長率が落ちている銘柄なのに、PERが16倍くらいついています。
というか、ここまで価格差が大きくなってくると、既存ユーザーの離反も起きそうな気がします。
それらを含めて考えると、Appleは株価が130くらいまで行ってもおかしくない、と思います。
とりあえず、水色のA1が目先のサポートになりえますが、ここを強く下抜いてくるようですと、Apple株の次の下値めどはA2になります。
この中間、黄色く塗ったあたりが居心地のいい水準となります。
アップルショックの勢い次第ではありますが(自社株買いもあるためなかなか予想が難しいところはありますが)、強く下抜いてくる可能性も十分に考慮しておく必要があります。
アップルショックが本格化したなら?
とりあえず、アップルショックが本格化したらなら、まずは全体相場に波及するはずです。
Appleは時価総額が大きいので、関連銘柄だけでなく、まったく無関係な銘柄も道連れにするでしょう。
しかし、そのあとには非常に美味しい拾い場がやってくるはず。
スマホ市場は端境期に入っていますが、必ず次の時代がやってきます。
自動車の電装化、産業の高度化などあらゆる面で無線関連の電子デバイスは使われます。
もしそういった銘柄がアップルショックで大きく売り込まれるなら、自分は買いだと思います。
しっかりと準備して、おいしいところを拾っていく。
見逃さないようにしたいところです。
以上です。
2018年11月15日追記
アップルショックはまだまだおわらない可能性!
ごらんのとおり、アップルショック後の株価の推移(15分足)は底割れを繰り返しつつ下落トレンド。
Appleは自社株買いで対応しているのでしょうが、現状、焼け石に水のようにみえます。
アップルショックの意味というのは、全体的なスマホ市場の鈍化傾向のなかで、同社独自の問題も発生していることが原因です。
ティム・クックCEOの経営は焼き畑農業的~アップルショックは起こるべくしておきている
2011年8月にスティーブ・ジョブズ前CEOのあとをついでティム・クックCEOが就任、その後、同社の株価は大きく上昇しますが、
実際には、その高株価はスマートフォンの可能性にかけたジョブズのおかげだと思います。
アップル社のその後の収益改善はティムクックの経営センスによるものではありますが、高い価格で信者に買わせる手法は焼き畑農業的であり、新たなワクワク感を提供しない、つまらない商品をひたすら出し続ける同社がいずれアップルショックに見舞われることは必然だったと思います。
たぶん、ジョブズのあとにだれが統治したとしても、ふつうにトレンドラインに従って、右端の黄色の楕円あたりに到達したと思います。
つまり、ティムクックが有能か無能かを示すには、ここの楕円よりも上であるかどうか、それが最低限のラインでしょう。
個人的には、ティム・クックのナヨナヨした感じがどうも好きになれません。
アップルのいま置かれた環境を打ち破れるだけのパワーを感じません。
とりあえず、アップルショック後の同社には注目です。