【6166】中村超硬の業績と株価~債務超過で倒産の危機か?
今回は、マザーズ上場で債務超過に転落したダイヤモンドワイヤメーカーの中村超硬の業績と株価についてみていきます。
まずは中村超硬の会社説明からはじめましょう。
中村超硬とは?
中村超硬とは、おもにダイヤモンドワイヤを作っているメーカーです。
いろいろな逆風が重なったことで2018年第二四半期に巨額損失が発生。
中村超硬は債務超過に陥ってしまいました。
中村超硬のダイヤモンドワイヤ
中村超硬の作るダイヤモンドワイヤというのは、ピアノ線のような硬くて細い線に、ダイヤモンドの粉をくっつけたものです。
この中村超硬のつくるダイヤモンドワイヤは、主に太陽光発電パネルに用いられる多結晶シリコンを切り出すために使われます。
太陽光発電パネルに使われるシリコンは、おもに多結晶シリコンと単結晶シリコンの二種類がありますが、同社はおもに多結晶シリコン向けの製品を多く作ってきました。
シリコンのインゴットをなるべく薄く切り分けることがダイヤモンドワイヤの目的であり、同社の製品は非常に薄く切れることから人気ということです。
中村超硬のダイヤモンドワイヤの大口顧客GCL
中村超硬はダイヤモンドワイヤを中国のGCLに販売しているとのことで、ダイヤモンドワイヤ事業のうちの2割程度はGCL向けだったそうです。
GCLは多結晶シリコン分野の最大手で、こことの中村超硬の業績も2017年を通じて非常に好調に推移しました。
ところがこのGCL、2018年2月ころから業績にかげりがみえてきました。
単結晶シリコンが追い上げてきたのです。
基本的に、単結晶シリコンはインゴット価格が高い、加工時に無駄ができやすい、その代わりに発電効率が高いとされています。
逆に多結晶シリコンはインゴット価格が安い、加工時に無駄が少ない(インゴットを四角に成形することも可能なので)、その代わりに発電効率がやや低いです。
今年春あたりから、単結晶シリコンのメーカーがかなり思い切って価格を引き下げてきました。
それにより、単結晶シリコンの価格と出荷量が落ち、GCLの業績も落ちます。
このあおりを受けたのが、中村超硬というわけです。
多結晶シリコンメーカーGCLへの出荷が落ちたことで単結晶メーカーにも販路を求める中村超硬
しかたがないので中村超硬は多結晶シリコンメーカーだけでなく、単結晶シリコンメーカーにもダイヤモンドワイヤを提供することにしました。
中村超硬のダイヤモンドワイヤは非常に評判がよく、もとより多結晶より加工しやすい単結晶シリコンでは非常に薄くスライスすることもできるため、顧客には喜ばれたといいます。
ところが、ここで中村超硬の未来が暗転します。
5.31新政と中村超硬
中国では太陽光発電がここ数年非常に速いペースで導入が進んでいました。
このため、太陽光発電むけの補助金が枯渇。
これを受け中国政府は今年の新規太陽光発電を一部地域を除き認めないことを発表。これが5.31新政です。
中村超硬も当然この波をかぶることになります。
納入先企業が軒並みダイヤモンドワイヤの新規調達をカットします。
当然ですね、太陽光パネルを大量に作っても売れませんし。
これにより、中村超硬の業績が急速に悪化しました。
中村超硬が債務超過へ
多結晶シリコン価格の暴落と、5.31新政による太陽光パネル市場の悪化を受け、中村超硬の業績は急降下。
あっというまに中村超硬は債務超過になってしまいました。
中村超硬はいま、めちゃめちゃヤバい状態にある、、、と思います。
中村超硬の動画IR
なお、中村超硬は動画によるIRを行っています。
社長の顔の引きつり方がなんだか可哀そうになってきます。
中村超硬の業績
ここからは中村超硬の業績を会社側説明資料、決算資料などをもとにみていきます。
(この記事は2018年11月15日に書きました。)
中村超硬の2019年3月期第2四半期決算は売上58.7%減、営業利益赤字転落、経常利益赤字転落、四半期純利益赤字転落、1株当たり四半期純利益1665.75円のマイナス、自己資本比率4.6%の債務超過
となりました。
おつかれさまです。
すごいですね。売上が6割近く減少とか、なかなかない世界です。
技術関連の世界は暗転するスピードがすごいですね。
とりあえず、多結晶シリコンのスライスに一本足打法をとってきた中村超硬は、傾くのも早かった。
リスク管理ができていなかったのだと思います。
中村超硬に倒産の可能性は?
ここまで巨額の赤字、そして債務超過、事業が安定しない状況をみて、一般的な感覚で行けば中村超硬の倒産の可能性が頭をよぎると思います。
ただ、もし生き残れれば残存者利益を得られそうな気もいないでもありませんが・・・
うーん・・・
中村超硬の株価
中村超硬の株価はすごいジェットコースターですね。
なかなか・・・ここまですごい株価推移は見られないと思いますw
とりあえず、触るな危険といったところでしょうか。
というわけで、今回はダイヤモンドワイヤの製造販売を手掛ける中村超硬についてみてきました。
なお、上記はあくまでも個人的見解をかいたものであり、特定の投資スタンスをおすすめするものではありません。投資にあたっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。