世界初、中国でゲノム編集ベビー誕生~人類における大転換がやってきた~
中国でゲノム編集されたヒト受精卵から育った女児が誕生か?
中国の南方科技大学の研究者が、ゲノム編集技術をヒト受精卵に用いて遺伝子操作していたとのこと。
これはエイズウイルス(HIV)に感染した男性とのカップルが子供を持てるように試みられたもので、ヒト受精卵の遺伝子の一部を遺伝子操作することで、エイズ感染を防ぐことが目的とのこと。
この実験に7組のエイズ感染カップルが参加、うち1組が双子の女児LuluとNanaを妊娠し、このたび出産。
実際に女児がHIV耐性を持っているかは不明、今後の追跡調査が必要とのこと。
受精卵のゲノム編集~人類の新たな時代が始まる~
この研究に対しては国内外から強い非難の声が上がっています。
人のゲノム編集は安全性が確立されておらず、何が起きるかわからない、やめておくべきという声が多数を占めているのが現状です。
個人的には、今回の件に賛成も反対もしません。
いよいよ人類もそういう段階にきたか・・・という感じです。
人類はいずれ、こういうことを始めるはずでした。
それが今起きた、というだけの話だと思います。
受精卵のゲノム編集~ヒトとは何か?という根本的な問い~
今回のヒト受精卵のゲノム編集ですが、
「ヒトとは何か?」
「ヒトは遺伝的にどう定義されるのか?」
といった問題を問いかけると思います。
ゲノム編集はとても便利なものですから、必ずや今回のようなことを始める人が出てくるだろうとは思っていました。
そして、ゲノム編集の有用性が広まれば広まるほど、野放図な利用のされ方がされるだろうとも、予想していました。
たとえば、生まれてくる赤ちゃんの肌の色を変えたり、背を高くしたり、目をぱっちりにしたり、鼻を高くしたり、髪の毛をさらさらにしたり・・・そんなことは普通に行われるでしょう。
それだけではなく、そのうち手を4本追加してみようとか、羽を生えさせてみようとか、そういうことをし始める人も出てくるかもしれません。
そうしたときに、
「遺伝子をどこまで編集しても人間として認められるのか」
という問題が発生すると思います。
ヒト受精卵のゲノム編集で、人間と他の種との垣根があいまいに
現在、トウモロコシや大豆、菜種、綿、ジャガイモ、甜菜、パパイヤ、アルファルファなどでGMO(Genetically Modified Orgasnisms/遺伝子組み換え作物)が作られています。
(これ以外にもあるかもですが、日本に輸入できるのは確かこの8種だったと思います。)
これらは、既存の大豆の遺伝子などの一部を改変し、昆虫の遺伝子などを混ぜ込んで薬剤や病気に耐性を持たせたものです。
つまり、形は大豆やトウモロコシですが、実際は昆虫の遺伝子の一部も食べている・・・けれどそれはを大豆やトウモロコシと定義して利用している、というややこしい状態です。
今後、人間に昆虫や植物の遺伝子が組み込まれるとするなら、そのとき、人間は他の種との垣根がわかりにくくなります。
何を以て人間というのか、見た目なのだとしたら、その見た目を定量化する技術はあるのか、そこらへんが問題になるはずです。
ヒト受精卵ゲノム編集で生まれた個体が繁殖した場合を想定しておくべき
大豆やトウモロコシでもそうですが、一度GMされた個体が野に放たれたなら、その個体がセックスして受精して子供を作って、またその子供がセックスして受精して子供を作って、またその子供が・・・と繰り返すことで、ゲノム編集された種がどんどん増えることになります。
そうした時にどのような問題が発生するか、そこのところを想定しておくべきと思います。
社会的な差別に繋がらないように、社会が受け入れる体制をとっておくべきでしょう。
ヒト受精卵ゲノム編集を受け入れる準備が必要
先にも書きましたが、個人的には今回の件はいつかは起きるだろうと思っていたことでした。
人は必ず便利なもの、楽しいもの、好奇心の対象になるものをやってみます。
もし今回の件がエイズ対策に有益だったなら猶更、利用が急拡大するはずです。
社会の側は、これをどうやって受け入れていくか、考えておく必要があります。
なんでもかんでも封じればいい、というものではありません。
封じることができないものは、封じようとしても無理なんです。
上手い具合に利用することが必要です。
とりあえず、以上です。