【6501】日立がABBから電力設備部門買収へ
日立、スイスの重電大手ABBからエナジーグリッド部門(送配電設備部門)を買収へ
日立がスイスの重電大手アセア・ブラウン・ボベリ(ABB)からエナジーグリッド部門を1兆円規模の価格で買収するとのことです。
ABB confirms Hitachi talks over power grids division Financial Times
ABBとは?
ABBはスイスの重電大手で、パワーグリッド事業の他、エレクトリフィケーション・プロダクト事業、インダストリアル・オートメーション事業、ロボティクス&モーション事業などを行っている会社です。
横文字だらけでよくわからないですね。
簡単に言えば、発電、送配電、産業向け情報・技術サービス、ロボット事業といった感じの事業をしている会社です。
非常に大きな会社であり、スイスを代表する工業企業です。
ABBのパワーグリッド部門とは?
ABBのパワーグリッド部門は、簡単に言ってしまうと送電線、碍子、変圧器、制御システムなど送配電設備全般を販売する事業です。
ABBのスマートグリッド、スマートメーターへの取り組み
ABBはスマートグリッドに積極的に取り組んでいます。
スマートグリッドというのは、簡単にいってしまえば、電力をより効率よく、無駄なく融通しあう方法をスマートに解決する送電網のようなものです。
具体的に言うと、天候や風向きに応じてインバーターを制御したり、需要の偏りを先んじて予測して蓄電池への充放電をしたりなど、いろいろな方法があります。
(いずれ纏めて、なるべくわかりやすく書いてみます。)
なぜABBはパワーグリッド事業を売却するのか?
なぜABBはパワーグリッド事業を売却するかですが、どうやらこの事業の利益率が低すぎることが原因ということです。
ABBにとってパワーグリッド事業は全体の売上の3割程度を占める主力事業のひとつです。
しかし、この事業はたくさんの企業がひしめいており、利益率は低い。
ABBはこの事業を売って、ロボット事業などのより利益率を稼ぎやすいビジネスに特化していく模様です。
なぜ日立はABBのパワーグリッド事業を買収するのか?
日立がABBのパワーグリッド事業を買収する意味は何でしょうか。
日立はABBの事業を買収することで、送配電事業では世界一のシェアになるとのことです。
ただ、市場占有度はさほど高くないため、しばらくは利益率を高めることは難しいかもしれません。
ただ近年では、送配電設備の納入と同時にサービスも請け負うような契約形態も広がりはじめており、日立としてはそういった、「サービスで稼ぐ」ビジネスモデルへの転換を狙っているのかもしれません。
中国企業もABBの送配電部門を狙っていた?
今回、中国の企業などもABBのパワーグリッド事業の買収を狙っていたといわれています。
中国で送配電といえば、国家電網(State Grid Corporation of China)でしょう。
世界で最大規模の売り上げを誇る非上場国有企業です。
ただ、昨今の状況から中国への技術移転が進む可能性を懸念する声は必ず上がったでしょうし、各国の監督官庁の承認を得られるとは思えません。
ある意味、敵失で手に入れた事業という気がします。
もし本格的に買収を争っていたら、かなり高額になったことでしょう。
とりあえず、日立が今後この事業をどのようなシナジーを発揮できるか、どのようなサービスを提供していけるか、そこが重要だろうと思われます。
この業界は技術的には伸びしろがありますし、上手くいけば化けます。
なかなか面白い展開になってきたな、と思います。
以上。