中国が『中国製造2025』を棚上げへ~米中貿易戦争解決のため市場開放へ転換か~
中国が『中国製造2025』を棚上げへ
中国が2015年年に策定し、2017年全人代で方針が決定している『中国製造2025』を棚上げすると伝えられています。
これはウォールストリートジャーナル紙が伝えたもので、かなり信ぴょう性が高いと思われます。
China Prepares Policy to Increase Access for Foreign Companies WSJ
米中貿易戦争を解決するために『中国製造2025』を停止へ
中国が『中国製造2025』をやめるのは、米中貿易戦争の解決を望んでいるから、とWSJは伝えています。
中国側はこの決断を来春初旬にも発表する模様とのことです。
『中国製造2025』の代わりに外国企業からの投資を歓迎へ
『中国製造2025』に代わって、外国企業による中国市場へのアクセスがしやすくなるように環境を整備し、より開放的で協調的な方向に産業政策を転換させていくもよう、とWSJは伝えています。
そもそも『中国製造2025』ってなに?
『中国製造2025』は中国の習近平指導部が推し進めている産業政策です。
簡単に言ってしまうと、国家や地方政府による補助金を使った産業育成です。
9大戦略目標、5大プロジェクト、10大重点産業分野に分かれています。
10大重点産業分野としては
- 工作機械、ロボット
- 次世代通信技術5G
- 鉄道技術
- 新エネルギー車(NEV)、省エネ自動車
- 航空・宇宙
- 海洋エンジニアリング・船舶
- バイオ医薬、医療機械
- 新素材(超電導、ナノ、電池技術)
- 農業機材(大型トラクターや自動管理技術、スマート農場など)
- 電力(原子力、再生エネルギー、巨大水力、エナジーグリッド)
が挙げられており、国家や地方政府からの補助金だけでなく、融資保証や各種の産業優遇税制、国の研究所からの技術移転なども受けられるようになっていると言われています。
『中国製造2025』は目標が設定されている
『中国製造2025』には様々な数値目標が設定されています。
具体的には、
新エネルギー車の販売目標(年1600万台だったかな?記憶曖昧)
半導体は2020年に内製化率50%、30年で75%(現在はまだ20%程度)
産業ロボットの内製化率も2020年で50%、2025年で70%の内製化率を達成するという目標になっています。
(記憶があいまいです。また今度調べて書き直します。)
『中国製造2025』が実現したら、アメリカの半導体メーカーに打撃が大きい
中国は半導体や電子部品の多くをアメリカや日本、台湾、韓国などから輸入しており、それを組み立てて他国に販売しています。
現状、中国の半導体自給率は20%程度です。
あとはほとんど海外からの輸入に頼っています。
中国は、この状況を打破するために半導体の内製化に向けて動き始めています。
もし中国が半導体の自給自足を実現したならば、これで大きく影響を受けるのは、Intelであり、Nvidiaでありクアルコムなどハイテク企業です。
それは米国としては受け入れられないわけです。
『中国製造2025』によって、2010年の鉄鋼生産と同じことが半導体産業で起きる可能性
中国は国家レベルでの支援により、2010年頃からは世界の中で有力な鉄鋼企業がいくつも誕生します。
それとともに、周りの鉄鋼メーカーは青息吐息になりました。
今回の『中国製造2025』が実現したならば、おなじような展開が半導体などの分野でも起きる可能性があります。
アメリカが懸念しているのはそこです。
『中国製造2025』の代わりに外資導入する意図
中国は『中国製造2025』をやめて、代わりに外資導入を促すために環境整備をするそうです。
最近の例だと、かつては50%以上の出資を禁じていた自動車生産分野で、海外からのメジャー出資の生産子会社設立を認める動きがでています。
とりあえず、こういう美味しい話には裏があります。
おもうに、中国はいざというときの人質として利用するために、外資導入を急ぐのではないか、という気がします。
また、まだまだ外資から学ぶべきこともあるのでは、、と思ったのかもしれません。
とりあえずは歓迎されるでしょう。
でも根底にあるものが解決したわけでない。
そこには注意が必要でしょう。
以上。