日米欧「データ流通圏構想」は現代版ブロック経済
日米欧が「データ流通圏構想」を推進へ
日本、米国、欧州EUが、国境をまたぐデータ流通に関するルール作りを進めるとのことです。
これは、個人や産業のデータ移動を同地域内で自由化し、「データ流通圏」を作ることで活発な経済活動をできる素地を作ることが目的となっています。
「日米欧データ流通圏構想」の裏の目的~新規参加者に市場開放を求める手段
良いことばかりに見える「データ流通圏構想」ですが、いろいろと裏の目的もみえてきます。
漏れ伝わってきている素案によりますと、日米欧以外の国々への開放にはかなり慎重になっているようです。
経済規模の大きなこれらの地域でまとまり、参加したいなら
「経済活動のおいしいところをよこせよ」
という態度のようにみえます。
「日米欧データ流通圏構想」の裏の目的~そもそも米国は中国はオミットしたい~
この「データ流通圏構想」を推し進める米国の一番の目的と思われるのが、中国をデータ分野で隔離することにあるようにみえます。
中国は自国内のデータを海外に持ち出すことを禁じていますし、それに対抗する手段として日米欧が組むというのは理屈的にはわかるのですが、あまりにやりすぎるとブロック化が進む可能性があります。
「日米欧データ流通圏構想」における各国の思惑
「データ流通圏構想」をなぜ日米欧で推進しようとしているのか・・・これには、各参加国の思惑の違いがあるように思います。
アメリカは単純に中国を隔離して自国の経済的優位性を保ちたい。
日本や欧州は中国にもデータ面で開放させたい、という感じじゃないでしょうか。
ただ、この日欧の望みは、アメリカの交渉上手さとリーガル面での緻密さに、きっと挫かれると思います。
「データ流通圏構想」を推し進めることはブロック化を招き危険
おもうに、この調子で進めていくときっとアメリカの都合のいいものができあがるはず。
アメリカは巨大なデータ需要と供給量がありますから、ここを外すわけにはいかないでしょう。
非常に強い勢いで、中国などを念頭に新規参加要件の厳格化を盛り込むよう言ってくるはずです。
そして、それを日本や欧州が受け入れたなら、それは新たなブロック経済の実現となります。
「データ流通圏構想」→ブロック化→?
ブロック経済は対立に向かいます。
まず間違いなく、向かいます。
そして、下手をすると戦争に向かいます。
これは歴史的な事実でしょう。
もし今回、この交渉をしくじった場合(アメリカが求めるものになった場合)、長期で見て、中国と西側との関係は非常に悪化すると思います。
それによって被害を大きく受けるのは、経済的結びつきの強い日本などだと思います。
地理的にも日本は中国に近く、もし戦争になればアメリカの最前線基地として中国に対峙しなければならなくなります。
まったく日本にはメリットのないことですが、そういう方向性に向かいかねない分岐点に、いま差し掛かってきていると思います。
日本政府はアメリカの口車に乗せられることなく、慎重に「データ流通圏構想」にあたっていくことが求められています。
常に損をするのは、一番最前線にある地域ですから。
以上です。