パトリック・シャナハン国防長官代行には軍の経歴無し~ボーイングの上級幹部出身
ジェームズ・マティス前国防長官のあとを継いで、パトリック・シャナハン国防副長官が2019年年始より国防長官代行へ
トランプ大統領との方針の違いによりジェームズ・マティス前国防長官は辞任。
当初は2月末まで職につき、後任人事を探るはずでしたが、トランプ大統領がマティス前長官の提出した辞表の内容に激怒。
さっさと消えろ、とばかりに1月1日付でパトリック・シャナハン前国防副長官を国防長官代理に任命する人事を行いました。
パトリック・シャナハン国防長官代行の経歴に軍隊経験はなし
パトリック・シャナハン国防長官代行ですが、これまで軍事や外交の経験は一切ありません。
内部での調整役を務めてきた人物とされており、その手腕は未知数です。
なお、過去にもアシュトン・カーターなど軍歴のない国防長官はいましたが、少なくとも外交経験に近い手柄は持っており、ある程度の安定感はありました。
まったく軍歴も外交的成果もない国防長官というとウィリアムコーエンあたりまで遡ることになりますが、かれとて上院議員として活動してきた経験があります。
その点、パトリック・シャナハン国防長官代行は完全に民間人出身。
どれだけの期間、彼が国防長官代理を務めるのかわかりませんが、非常に不安定感のある人事と言えると思います。
パトリック・シャナハン国防長官代行はボーイング社出身
パトリック・シャナハン国防長官代行はMITで機械工学専攻、理学修士を取得後、スローンマネジメントスクールでMBAを取得。
その後、パトリック・シャナハン氏はボーイング入社、おもに商用機部門で副社長を務めたほか、ボーイング・ロータークラフト・システムズで副社長を務め、V-22オスプレイ、CH-47チヌーク、AH-64Dアパッチなどのプロジェクトを担当したとのこと。
さらにGBIやレーザー搭載機YAL-1によるミサイル迎撃システム開発などにも従事。
2008年からはボーイングの商用航空機部門で上級副社長を務めたのち、2016年からはサプライチェーン運用に関する上級副社長にも就任。
ボーイングの評議会メンバーにも名を連ねる、根っからのボーイング育ちの方です。
パトリック・シャナハン国防長官代行が長期間長官になる可能性も?
パトリック・シャナハン国防長官代行が長期間国防長官を務める可能性を指摘する声もあり、この点には注意が必要です。
もし彼が長期にわたり国防長官を務めるようであれば、さまざまな部分で「ボーイング出身・民間ビジネスマンあがり」という部分が影響してくる可能性があります。
パトリック・シャナハン国防長官代行が長期化すれば同盟国のボーイング社からの調達増加?
パトリック・シャナハン国防長官代行の就任が長期化すれば、日本や台湾などを中心に、アメリカからの兵器購入を活発化させるような忖度が増える可能性があります。
積極的な圧力を加えるわけでなくとも、同盟国の側が勝手にボーイングからの調達を慮る可能性は高いと思われます。
しかもそれは、トランプ大統領の政策でもありますから。
とりあえず、パトリック・シャナハン国防長官代行はかなり異色の経歴の持ち主です。
亡くなったマケイン上院議員はこの人物の国防副長官就任に懸念を示していたとされますが、まさかマティス長官が辞めて国防長官職を担うことになろうと思っていたでしょうか・・・。
今後、シリアからの撤兵、アフガンからの撤兵などはパトリック・シャナハン国防長官代行が行っていく可能性が高まっています。
動向には注視が必要です。
以上。