エヌビディア(Nvidia)がメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)を買収へ
GPU大手エヌビディアが、高速ネットワーク用アダプタ大手メラノックス・テクノロジーズを買収するとのことです。
ブルームバーグなどの報道によると、まだ金額などは決定されていないとのことながら、メラノックス・テクノロジーズの市場価値は59億ドルを下回らないだろうとのこと。
11日にも結果は判明するだろうとのことです。
なお、ブルームバーグの報道ではメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)のことを
「イスラエルの半導体メーカー」
としか紹介していません。
間違っちゃいないんですが、それではあまりにも不親切な報道すぎます。
というわけで、今回はこのメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)について書いていこうと思います。
なお、エヌビディアについてはこちらで紹介しています。
⇒【NVDA】GPU大手エヌビディア/Nvidiaの業績と株価
メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)とInfiniBand
メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)はもともとHPC、High Performance Computing向けのネットワーキング用インターフェース規格InfiniBandの製品を供給してきたトップメーカーです。
なお、HPCというとイマイチぴんと来ないと思いますが、日本でいうところのスーパーコンピュータの(うちの一部の名称)みたいなものです。
スパコンの一つ一つを繋ぐネットワーキングを担ってきた企業、という捉え方をしてもらえればOK。
とりあえず、そんなニッチな世界で生きてきたメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)なのですが、近年、InfiniBandの枠から飛びだし、高速イーサネット向け、とりわけ25Gbps以上などの分野に特化して製品群を拡大してきました。
25G、50G、100Gなどの、他の企業(※1)があまりやらない分野に特化して製品を供給してきました。
そして、これがヒットしていたんです。
(※1 他の企業というと、インテルがあります。10G程度までだと、たぶんトップシェアはインテルでしょう。)
メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)の商品はなぜヒットしたのか?
個人的に、メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)の商品がヒットした理由は何となくわかる気がします。
近年、データセンター向け、とくにストレージ向けに高速イーサネットの需要は急拡大しています。
こうしたストレージ向けの場合、バスと同じ速度を求めることになります。
かといって、商用に使うものですから、InfiniBandほどの信頼性などは必要ありません。
あくまでも汎用規格であり、高速だけど、安くて、信頼感があればいい。
そして、これはある意味汎用規格であることと矛盾するのですが、NICからケーブルから何から何まで纏めて提供してくれる安心感のある企業が求められていたんじゃないかと思います。
大体の場合、ハイエンドになればなるほど、他のメーカーの製品をごちゃごちゃ混ぜるとトラブルだらけで困ることになります。
その点、一社で全部そろえてしまえば問題はまず起きないし、おきたとしてもサポートを受けやすい。
メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)のサイトをみてもらえばわかるんですが、この会社はNICからケーブルまでほぼすべて、必要なものが揃っちゃうんですね。
とりあえず、メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)の言うとおりのシステムで組んじゃえばどうにかなる、というズボラエンジニアなら間違いなく飛びつくソリューションがここにはあるように思います。
メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)とBlueField SmartNIC
去年あたりからだと思いますが、BlueField SmartNICなんてものが流行り始めました。
NIC上にネットワーク処理のためのプロセッサを用意しようというものです。
つまり、ネットワークの仮想化でプロセッサの負担が大きくなりすぎて他の処理がおちてきたことの解決策みたいなものでしょう。
ここらへんは、仮想化の流れに逆行するような動きですが、高い性能を求められる分野では必要とされる考え方だと思います。
パソコンでも、GPUを内蔵したり、サウンド機能やネットワーク機能を内蔵する動きがあったかと思いきや、逆に切り分けて独自に処理させることもありましたが、それと同じようなことがデータセンター分野でも起きている。
そうした需要を取り込んだのが、メラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)です。
真っ先にこの分野の製品群を拡充しており、ニッチトップとして非常に高い伸びを示しています。
で、なんでエヌビディアがメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)を買収するの?
個人的には、インテルがメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)を買収するのが一番強みを発揮できるだろうな、とみていました。
実際に、インテルも接触はしていたようです。
しかし、インテルがメラノックス・テクノロジーズ(Mellanox Technologies)を買収しようとした場合、特に25Gbpsあたりの製品群でシェアが高まりすぎる可能性が高く、独禁法上の問題にかかってくる可能性が高い。
とりあえず、そういう意味ではデータセンター向けの開発を急ぐエヌビディアが買収するというのは、ある意味で理にかなっていたのかなという気がします。
とりあえず、そんな感じです。
エヌビディアにとってこの投資は、筋は悪くないと思います。
以上です。