【統計】IPO銘柄に占める黒字企業の比率~フロリダ大学ジェイ・リッター教授調べ
フロリダ大学でIPOを研究しているジェイ・リッター教授によると、2018年のIPO市場はITバブル時以来の高バリュエーションだったようです。
以下はUniversity of Florida Warrington College of Business – Jay R. Ritter教授の研究データをもとにしたグラフです。
これによると、IPO市場に占める黒字企業比率は2000年のITバブル時がボトム
そこから2008年~2010年のリーマンショック後にかけて黒字企業比率はやや改善したものの
近年は再度、赤字企業の上場が増えてきている
・・・ということがみてとれます。
なお、2017、2018のテック系企業の黒字比率の低さはITバブル前後の水準に次ぐ低さであり、
バイオ銘柄やその他産業区分の銘柄群に至っては、黒字企業比率が17、18年の方が低い状況だということがわかります。
ITバブル時のテクノロジー系企業は小粒、現在は巨大化したユニコーンがIPO~ジェイ・リッター教授調べ
なお、ITバブル崩壊の00年は上場企業数が年間260、その前年99年は370ものテック系銘柄が上場していましたから、
それと比較すると現在の上場企業数は17年30社、18年38社と桁が一つ少ないという違いはあります。
ただ逆に、テック系銘柄一社当たりの上場規模は、99年が17.2百万ドル、2000年が16.6百万ドルでしたから
17年181.5百万ドル、18年167.3百万ドルと比較すると、かなり当時は小粒だったと言えると思います。
ようするに現在は上場企業数は10分の1、上場時の調達額は10倍程度になっている。
それでいて、赤字の企業の比率は当時と同じくらい多い・・・
つまりそういうことが言えると思います。
ジェイ・リッター教授の調査結果からわかること
つまり、上記のジェイ・リッター教授の調査結果からわかることというのは、
- カネ余りの時にバリュエーションが上昇しやすい
- そして今がそのバリュエーションの上昇したとき
- 現在はITバブル時に匹敵するほどのスタートアップバブル
だということです。
もちろん、バブルだから今すぐ弾けてオシマイになる、といいたいわけではありませんが、少なくともバブルであるという認識は持ちつつ相場を張りたいものです。
以下の記事でも書きましたが
現在の世界的金融緩和局面は、ITバブル前の98年頃を髣髴とさせます。
ジェイ・リッター教授は「ひとつのFacebookの裏に、今では誰も聞いたことのないような100の失敗企業がある」みたいなことを仰っているそうですが、まさにその通りだと思います。
自分は当時から市場をみてきましたが、自分の記憶的にも
「そんな企業あったよなぁ」
という感じの銘柄がごろごろあります。
まだ記憶に残っていればいい方なもんで
「そんな企業あったっけ・・・」
というレベルの企業すらたくさんあります。
とりあえず、現在ユニコーンと持て囃されている企業も、たぶん数年以内にどんどん淘汰されていきます。
ライバルとの競争に負ける企業、大手と競合して事業が立ちいかなくなる企業、色々あると思います。
それらを含めて、ハイテク系の銘柄は今の高バリュエーションが許容されるのか、という点はよくよく考えてみるべきじゃないかと思います。
以上です。