【質問箱】世界が金融緩和競争に突入したなら

【質問箱】世界が金融緩和競争に突入したなら

 

質問箱に以下のような質問をいただきました。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1112403553379729409

 

「世界が金融緩和競争に突入したら、どのような結末が来ると思いますか?」

 

というものです。

いつも質問箱のご利用ありがとうございます。

 

回答としては、上記にも書いたとおり

「万年投資フェーズで赤字垂れ流しのスタートアップに毛の生えたような企業が暴騰すると思います。」

 

ごめんなさい。

tweetでは運用フェーズと投資フェーズを逆に書いてしまいました。

というか、投資フェーズの赤字なのか、運用フェーズの赤字なのかよくわからんような状態が維持される、みたいなことを書きたかったのですが、言葉が少なくてわかりにくかったように思います。

とりあえず、自分は、現在の相場環境はアジア通貨危機後の金融緩和局面などにどことなく似ている、と感じています。

あの頃も、超絶金融緩和に向かったことでIPOがラッシュになり、赤字上場も増えました。

投資フェーズなのか運用フェーズなのかよくわからん状態で赤字だらだら垂れ流し、株価が上がればそれでいいや、という空気がありました。

今のアメリカのIPO環境、また小型株の環境はあれにかなり似ているように感じます。

 

 

自分は現在、米小型株の何割が赤字企業なのかしっかりした数字を持ち合わせていませんが、ざっくり決算をとしてみる限り相当高い数字になっているんじゃないかと思います。

肌感覚として、相当に割高感が漂っています。

皆が、新しい技術に投資したがっていて、技術系のスタートアップ企業・・・とくにバイオやクラウド技術関連の銘柄は大きく上昇しています。

そういった銘柄に大企業が「財テク」のようにしてスタートアップ投資をしています。

(ソフトバンクはまさにその中心ですし、楽天はリフトでうまいこと稼ぎました。)

政府系ファンドもそうした列に加わっています。

多くの人々が、既存のビジネスが非常に儲けが薄くなっているので、スタートアップに投資して稼ごうとしています。

しかし、スタートアップ投資で稼ぐといっても、スタートアップ企業が上場して、うまいこと経営が軌道に乗って運営フェーズで稼ぐまで待つというわけではなく、上場時にうまいことExitするか、投資フェーズで高い売上高成長しているうちにキャッシュ化しておく・・・それが目的化しています。

ある意味、これは財テクと同じです。

 

 

 

新興国・中国にも頼れなくなって、金融緩和をテコにスタートアップ投資を活発化

先進国の潜在成長率はなだらかに低下していっています。

この環境で、新興国の成長に頼ったのが2000年代

その最後の花火を打ち上げたのが、サブプライムローンバブル崩壊後に世界を救った2008年の中国の「保八」4兆元景気対策と、その後のなりふり構わぬ固定資産投資の拡大でした。

いま、その中国の勢いが落ちています。

中国・新興国の成長にも頼れない。

この環境で世界各国は金利を以前ほどの高さまで引き上げられなくなっています。

じゃぶじゃぶの金融環境のなか、投機マネーが向かう先を探っています。

投機マネーはいつだって、人々の夢や願望にとりつきます。

本当にそれが稼げるかどうかじゃありません。

ただ何か夢があればいいだけです。

それが仮想通貨であったり、スタートアップ企業であったり、なんだっていいわけです。

 

 

 

金融緩和環境でスタートアップの赤字上場増加、ITバブルふたたび

もう既に現在進行形ですが、世界的なカネ余り相場の影響は、IPO市場にもろに出ています。

先日日経が報道していた通り、IPO市場は空前の赤字上場ブームです。

フロリダ大のジェイ・リッター教授の調査によると、1999年と2000年にIT系のIPOで利益計上していたのはそれぞれ14%。

それが現在では17年が17%、18年が16%。

バイオ系に関しては99年と00年にはそれぞれ黒字上場が27%、11%ありましたが、17年は3%、18年は0%でした。

ただ、今のところ絶対的なIPOの数自体が少ないという面はあります。

当時は数百社が毎年上場しましたが、今は数十社です。

ただ、逆に一社当たりのIPO価格は高くなってますし、当然赤字額もデカくなっている。

まぁ、かなり過熱感はありますが、この傾向は金融緩和が進めばどんどん後押しされるんじゃないかとみています。

今年2019年は赤字大型IPOラッシュになるんじゃないかなと。

そして、緩和マネーがガンガンそこに流れ込むんじゃないかと。

 

もし、金融緩和が続くようであれば、そうなる可能性が高まると思います。

ただし、当然そんなふうに膨らんだ相場はいずれ弾けますし、

もっというと、金融当局も自分が気づく程度のことは気づいているでしょうから、いずれかの時点で歯止めをかけさせるための行動に出る可能性があるんじゃないか、という気もします。

ここらへんは何とも言えません。

さすがにITバブルの二の舞をやったら馬鹿ですから、そうなる前に手を打つんじゃないかなと。

その時には、金融政策の目標から雇用や物価だけじゃなくて、他の指標もみるような、なにか包括的な文言が追加される可能性すら考えておいた方がいいのかもしれません。

そうでもしないと、金利を引き上げる根拠がありませんから。(逆に言うと、もしそうした理由で金利が上がれば、世界的にいろいろ不都合が出ると思います。)

とりあえず、いま自分が感じているのは、90年代末との既視感です。

行ってほしいところに資金が向かわず、全然別のところに行ってしまう状況です。

以上です。