西側向け5Gモデムチップメーカーはクアルコムとサムスンによって寡占化される?
クアルコムとアップルが全面和解~5Gモデムはクアルコム製を採用
思った通りの展開になっています。
アップルがクアルコムと続けていた特許訴訟を終結させ、全面和解することになりました。
これまでの経緯については以下に書きましたが
⇒特許紛争はクアルコムの勝利で終了~アップルは5G展開を急ぐためQualcommに泣きつくしかなかった~
とりあえず、Appleが一方的にクアルコムに喧嘩を吹っ掛けてみたものの、技術開発の面で遅れが目立ち始めており、クアルコムに泣きつく形で和解に至るしかなかった・・・というのが実情かと思われます。
今回の和解で、アップルはクアルコムから6年間のパーツ調達とライセンスの使用許可などを受けることになるとのこと。
つまり、5G期間中はほぼずっとアップルはクアルコムにお世話になることが決定したということです。
クアルコムとアップルの全面和解でインテルが5Gモデム開発から撤退
このクアルコムとアップルの全面和解を受け、インテルが5Gモデム開発から撤退することになりました。
やはり、今回の案件の負け組はアップルとインテルです。
アップルはクアルコムと喧嘩をするにあたり、自社で開発できないモデムをインテルから調達することにしました。
インテルは、4Gモデムは供給できました。
しかし、5Gモデムの開発に手間取ります。
当初インテルは、2018年中には開発が完了するとしていたのですが、これが2020年にまで遅れるとなり、さらには2021年・・・挙句の果てには、Appleが独自に5Gモデムを開発するとすら言い出しました。
ようするに、インテルが開発をしくじったせいで、Appleはクアルコムに頭を下げる羽目になったということだと思います。
とりあえず、そんなこんなでインテルのモデム事業というのはアップルがあってのもの。
アップルが今後クアルコムから調達することになった以上、これ以上モデム開発を続けるメリットもないとのことで、インテルはモデム開発から撤退することになりました。
5Gモデムチップメーカーはファーウェイとクアルコム、サムスン、メディアテックに絞られた
というわけで、インテルがいなくなった5Gモデム市場
残る企業はファーウェイとメディアテック、クアルコム、サムスンのみです。
なお、このうち量産を開始しているのはファーウェイとサムスン、クアルコムのみ。
そして、ここで問題があります。
ファーウェイはあまり他社にシステムを供給したがらない企業だということです。
例外として、ファーウェイはアップルに対して
「5Gモデムを売ってもいいよ」
といったことはあります。
しかしこれは、あくまでも例外です。
米中貿易戦争でハブられているファーウェイが、米国に橋頭保を築くために言ってみただけ。
というか、ブラフかましたともいえると思います。
もろに通信機器ですし、米国がファーウェイ製品を外そうとしているなかで、受け入れられるはずもありませんからね。
5Gモデムチップメーカーはクアルコムとサムスンのみ?
つまり、5Gモデムの外販メーカーは、現状ではクアルコムとサムスンの二社寡占のような形になってしまっています。
そして台湾のMediatekですが、こちらはまだ量産を開始していませんし、さらに問題なことに、チャイナモバイルやファーウェイなどが開発に参加しているとも言われています。
アメリカが果たしてメディアテックの製品をすんなり受け入れるのかどうか。
こうやってみていくと、現状で5Gモデムチップを安定供給できるメーカーというと、クアルコムとサムスンだけ。
なかなか価格が下がらない可能性があり、そこが懸念されるところです。
5Gモデムチップメーカーの勝ち組はクアルコム?
結局こうやってみると、5Gモデムチップの勝ち組は結局クアルコムなんじゃないかと思います。
とくに今回、Appleがなぜサムスンではなくクアルコムと組んだのか。
和解条件が開示されていないのでよくわかりませんが、そのあたりの事情がみえてくると、クアルコムが非常に魅力的なポジションについているのが更にみえてくるのではないか、と考えています。
以上です。