改正通信傍受法(盗聴法)が施行へ~児童ポルノや詐欺などに対象拡大~警察施設内での通信傍受が可能に~
改正通信傍受法(盗聴法)がいよいよ施行へ
警察施設内での通信傍受を可能にする改正通信傍受法(盗聴法)がいよいよ6月1日から施行されます。
これは、刑事司法改革関連法の一部として2016年5月に成立したもの。
これまで警察は、NTTなど通信会社の基地局内で、通信会社側従業員の立ち合いのもとでしか通信傍受(盗聴)を行えませんでしたが、
今後は警察の関係施設内で、立会人無しで傍受を行うことが可能になります。
警察は各種犯罪を摘発するため、また未然に防ぐために通信の傍受が認められていますが(2012年通信傍受法)、
この運用がしやすくなる、というのが今回の改正通信傍受法のひとつの特徴となっています。
改正通信傍受法(盗聴法)で児童ポルノなどに傍受対象拡大
また今回の改正通信傍受法(盗聴法)では、対象となる犯罪行為の類型も拡大されることになります。
改正通信傍受法以前、12年成立の通信傍受法の段階で通信傍受対象とされてきたのは、
薬物、銃器、集団密航、組織的殺人
の4類型でしたが、16年成立の改正通信傍受法(盗聴法)ではあらたに
組織的爆発物使用、傷害、殺人、放火、窃盗、逮捕監禁、誘拐、詐欺、児童ポルノ
の9類型が新たに追加されることになりました。
(2016.9.28 09:10 産経ニュース)
改正通信傍受法(盗聴法)で児童ポルノ犯罪の摘発増加か
今回の改正通信傍受法(盗聴法)ですが、上記の通りかなり変更点の多いものとなります。
この通信傍受法改正でどのような変化が起きるかは、実際に運用が開始してみないことにはわからないのですが、とりあえず、今まで野放しだったものの幾つかが、摘発の対象になる可能性はあります。
個人的に、その代表的なものとなりうるのは、児童ポルノ関連ではないだろうか?という気がしています。
新たに加わった9類型の犯罪のなかで、傷害や殺人や放火などといったものは滅多におこるようなものではありません。
日常的に起こる事案としては、詐欺と児童ポルノですが、このうち詐欺は立件がむずかしい。
その点、児童ポルノ関連ならデータさえ押さえれば有罪に持ち込みやすい。
警察も点数を稼ぎやすいですし、児童ポルノの摘発を中心に据えてくる可能性は高いのではないか?と思われます。
通信傍受法改正で各国並みの児童ポルノ摘発が達成されるか
英国やフランス、アメリカなどでは、すでに通信傍受によって児童ポルノの頒布、収集の摘発をおこなっています。
また、国境をこえてフィリピンなどの遠隔地とのあいだで行われている猥褻なライブストリーミングなども摘発されているそうです。
日本ではこういったものを摘発する手段がなく、処罰することも今までほぼ不可能でした。
国際的にも日本の態度が批判されており、今後は児童ポルノ犯罪に関しては、諸外国並みに厳しくなっていく可能性が高いと思われます。
とりあえず、改正通信傍受法(盗聴法)でどういった運用上の変化があらわれるかは、実際に運用が開始してみないことには何とも言えない部分はあります。
もし上記4+9の累計犯罪に関与している方は、これを機に足を洗った方がいいのではないでしょうか。
思わぬことで足をすくわれることもありえますので。
以上です。