東京商品取引所との統合を焦る日本取引所グループは東証上場企業にガバナンスを説諭する資格なし
日本取引所が東京商品取引所との統合を目指す
東証と大証の統合で作られた持株会社である日本取引所は、現在、商品先物取引の東京商品取引所との統合を目指しています。
これにより、株式、債券から指数オプション、商品先物を扱う総合取引所になることを日本取引所は目指すとしています。
東京商品取引所は赤字垂れ流し~実質的に日本取引所による救済合併
株式、債券、指数から商品まで揃う総合取引所・・・
響きとしてはとても良く聞こえますが、実態はそう簡単ではありません。
東京商品取引所は長年薄利なビジネスを繰り返しており、近年では4期連続の赤字転落。
製造業、工業の中心が中国・アセアン地域に移っているなか、日本の商品先物取引市場は本格的に斜陽産業となっていて、
実質的にみれば
「経営に余裕のある日本取引所による東京商品取引所の救済」
といった体を示しているようにみえます。
もちろん、その背後には日本政府の意向が働いていることは間違いないでしょう。
日本政府は縦割り行政を見直して東京商品取引所、日本取引所の合併を後押し
日本取引所の株主にとっては何のメリットもなさそうな、この東京商品取引所との統合案
この背景には、間違いなく日本政府の意向が働いていると思われます。
日本政府・官邸は、これまでの縦割り行政をただすとして、
農水省の実質的な天下り先だった東京穀物商品取引所を解散し東京商品取引所に吸収
経済産業省の実質的な天下り先である東京商品取引所を
財務省・金融庁のツバがついている日本取引所に纏めてきました。
もちろん、これを政府が推し進めることは悪くありません。
政府としては真面目に仕事をしています。
しかし、日本取引所は上場企業です。
上場企業である日本取引所が、政府の意向を呑む形で、自社の株主に不利なディールを行うなら、それは株主軽視、ガバナンス軽視のクソ経営ということになるのではないでしょうか。
日本取引所による東京商品取引所買収は株主軽視・ガバナンス軽視~いっそ身売りした方が株主のため
何度も言いますが、日本取引所による東京商品取引所の買収は、百害あって一利なしだと思います。
日本取引所グループは、世界的な取引所再編の流れから見れば中堅クラスです。
ハッキリ言って、日本取引所が東京商品取引所を買収したところで、趨勢はほとんど変わりません。
むしろ日本取引所が本気で株主価値を考えているのなら、独自に生き残るよりも、さっさと日本取引所自体が海外の取引所に買収されてしまった方が良いと思います。
それが、日本取引所が東証上場企業に対して口うるさく言っている「株主価値を最大化するための経営」であるはずです。
東証上場企業にガバナンスの何たるかを説くなら、まずは日本取引所自体が範を示すべき
東証はことあるごとに、上場企業に対してガバナンス重視の経営やら、取締役の意思決定プロセスの明示などを求めています。
しかし、そういう高邁なことをおっしゃる東証(の持ち株会社である日本取引所)自体が、まったくもって意思決定プロセスを明らかにしておらず、ガバナンスを無視しています。
そんなに意思決定プロセスの開示が必要なら、日本政府とのやり取りも全部録音録画して株主に公開したらよろしいのです。
自分達は模範を示さず、偉そうに上から目線で説諭するだけ・・・親子上場も認めちゃうし、不祥事企業の上場廃止基準もグダグダ状態。
日本の証券市場をダメにしたのは、東証自身だと思うのですが、気のせいでしょうか。
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