コンタクトレンズのカルテル問題がかなり悪質~違法性を認識して文書化を避けていた可能性~日本アルコン、シード、クーパービジョン・ジャパン
古くて新しい、コンタクトレンズのカルテル問題
公正取引委員会は6月、コンタクトレンズメーカー大手3社(日本アルコン、シード、クーパービジョン・ジャパン)に対し、独禁法違反容疑で立ち入り調査を行いました。
容疑内容は不公正な取引方法を販売店に対して強いていた、というもの。
コンタクトレンズのオンライン販売を制限したり、価格表示を制限することで価格変動を不当に制限したりしていた可能性が疑われています。
2010年、コンタクトレンズのカルテルでジョンソン・エンド・ジョンソンを摘発
じつは、この手のコンタクトレンズのカルテル問題は今に始まった話ではありません。
2010年にはコンタクトレンズ最大手のジョンソン・エンド・ジョンソンが
「店頭以外で価格表示しないように」
と書いた書類を販売各社に配っていたことが価格拘束にあたるとして、
公正取引委員会より独占禁止法違反で排除措置命令を受けています。
それから9年・・・いまだにこの業界では価格拘束が行われていたということになります。
今回のコンタクトレンズのカルテルでは、書類を意図的に残さなかった?
なお、今回摘発された3社は、販売店にコンタクトレンズを卸す際、口頭で価格表示しないよう伝えており、あえて書類での提示を行っていなかったとのことです。
つまり、違法性の認識が十分にありながら、こうした不公正取引を行っていたことになります。
かなり悪質な行為であり、これら3社にはこれまでよりも重たい処分が下ることも予想されます。
この10年で、コンタクトレンズの販売はネット販売が無視できない規模に膨らみました。
価格は店売りに比べて概ね2/3~半値近くになっており、こうした価格下落圧力を避けることが各社の狙いだったと思われます。
コンタクトレンズのカルテル問題で摘発された各社の株価~アルコン、クーパーカンパニー、シード
なお、今回カルテル問題で摘発されたコンタクトレンズメーカー各社ですが、アメリカと日本市場で上場をしています。
日本アルコンの親会社のアルコン社は製薬大手ノバルティスの子会社でしたが、つい先ごろ米国市場とスイス市場に上場しています。(ALC)
また、クーパービジョンの親会社クーパーカンパニーも米国市場に上場しています。(COO)
シードは日本市場にて上場しています。(7743)
しかし、違法性を認識していながらカルテルをしていたというのは非常に汚いですね。
日本のコンタクトレンズ業界は年間2000億円市場とのこと。
仮にカルテルによって価格が1割高止まっていたのなら、200億円の負担を消費者がしていたということになります。
無視できない金額でしょう。
厳正に処分されることが望まれます。
以上。