ウィルバー・ロス商務長官解任との報道~背景にファーウェイ問題か?対中関税引き下げもありうる?

ウィルバー・ロス商務長官解任との報道~背景にファーウェイ問題か?対中関税引き下げもありうる?

 

トランプ大統領がウィルバー・ロス商務長官を解任か?

トランプ大統領がウィルバー・ロス商務長官を解任するのでは?と報じられています。

今まで解任が報じられた人々は総じて解任されていますので、多分、今回もそうなるのでしょう。

この件に関して、各種報道は「国勢調査問題が原因」と報じています。

 

 

ウィルバー・ロス商務長官の解任は国勢調査問題???

トランプ政権は、2020年の国勢調査から米国籍の有無を問う質問項目を増やすように要求しています。

しかしこれをすると、不法移民などが答えにくくなることが想定されます。

リアルなアメリカの姿を映さない統計になる可能性があるとして、反対する声があります。

また、移民擁護の観点からも反対する声があり(これは主に野党民主党)、

先日でてきた最高裁の判断でも、質問項目導入における意思決定プロセスについて問題を示して実施を差し止めました。

これを受けて、トランプ大統領は国勢調査局を担当するウィルバー・ロス商務長官に責任を取らせて辞めさせるのではないか、というわけです。

 

 

ウィルバー・ロス商務長官の本当の解任理由はファーウェイ問題の可能性

しかし、トランプ大統領がこんなイデオロギー問題ひとつで閣僚を解任するというのもちょっと解せません。

個人的には、この件よりもファーウェイ問題が影響しているのではないかとみています。

 

先日のトランプ・習近平会談で、トランプ大統領はファーウェイへの輸出規制をほぼ撤廃する方向で口約束しました。

実はこの前段階として、中国はアメリカからの穀物の輸入拡大姿勢を示しています。

個人的には、トランプ大統領はこれに気を良くして、リップサービスしすぎたのではないか、とみています。

 

ところが、トランプ大統領がこんなふうにリップサービスしたのに、当の規制監督を行う商務省がファーウェイ制裁の撤廃に難色を示しました。

ウィルバー・ロス商務長官は商務省のトップとして、ファーウェイ制裁の解除に消極的な態度を示しています。

「ファーウェイへの輸出規制解除は安全保障に影響しない範囲だけ」

とかなんとか言って、具体的な規制の緩和がどのあたりに落ち着くのか、ボカしています。

 

そうした態度をみて、中国側は穀物輸入拡大の約束を取りやめています。

 

それをみてトランプ大統領は

「中国は穀物輸入の拡大を約束したのに実行していない!」

と中国側を急かすような発言を繰り返しています。

 

しかし、トランプ大統領もこの穀物輸入拡大とファーウェイ問題がリンクしていることは、交渉の当事者なのでわかっています。

誰がこのディールを邪魔しているのかわかっています。

そう、商務省の連中。

 

トランプ大統領にとっては大豆生産州は大事な票田ですから、それを落とすわけにはいきません。

さっさとケリをつけてディールしたいところ。

でも、商務省が反対している。(他にも反対している連中はいますけど)

商務省は長期的な展望でみて、ファーウェイを利することがアメリカの商業に影響することを懸念しています。

 

もともとファーウェイ規制は対イラン制裁問題を受けた安保問題であったはずなのに、最近は完全にカネの話にすり替わっています。

トランプ大統領としては、カネの話ならカネの話としてディールしたいところです。

トランプ大統領としては短期的に景気浮揚に繋がって、票に繋がればそれでいいのですから、ファーウェイ規制解除でディールを得られればそれに越したことはありません。

しかし、商務省の連中は長期的視野で国益を眺めますから、それじゃ困る・・・

 

つまりそういう、短期的戦略と長期的戦略の衝突がここに発生しているとみています。

 

 

ウィルバー・ロス商務長官の辞任で今後はどうなる?

もしウィルバー・ロス商務長官が解任され、次の商務長官がトランプ大統領の言いなりになったらどうなるでしょうか?

個人的には、大統領選前に対中関税の引き下げが行われる可能性もあるのではないかとみています。

確率的には30%程度でしょうか。

周囲の反対を押し切ってでも、株価を浮揚できればいいや、という判断に傾く可能性は十分にあります。

そして、最大の問題はトランプ大統領2期目以降に持ち越される、というシナリオも考えています。

以上。