ドイツのショルツ財務相が500億ユーロの財政支出可能と言っているけれど・・・
ドイツのショルツ財務相、緊急財政支出が可能と発言
ドイツの連立政権で財務大臣をつとめるオーラフ・ショルツ氏が非常に大きな発言をして注目を浴びています。
曰く、「経済危機に陥った場合は、500億ユーロの追加財政支出が可能」というもの。
いつもシブチンなドイツですが、本当に景気悪化しそうならちゃんと財政支出するよ、というアピールです。
市場の一部ではこれを好感する向きもあるようです。
しかし、本当に可能なんでしょうか?
イタリアに財政規律を守るように言ってきたドイツ
ここで問題になるのはイタリアだと思います。
イタリアは、かねてより財政規律が悪化。
同じEU圏なのに、ドイツ国債とイタリア国債の利回りスプレッドは非常に開いています。
イタリアはかねてより、景気刺激のために拡張的な財政政策をしようとしてきました。
これに対してドイツを含むEU各国は、それはEUで決めた財政ルールに違反しているからやめるように、と諭してきました。
そうした手前があるのに、ドイツ経済が傾いた時にはドイツだけ規律を破って財政出動していいのか?という問題があります。
案の定、このショルツの発言があってから間もなく、イタリアの(連立与党が崩壊した)同盟サルビーニ党首も500億ユーロの財政出動をしようと言い出しました。
この発言を真面目に受け取ってはいけません。
これはドイツに対するアテツケです。
ユーロ圏はブレグジット問題などもあって色々と困ったことになっていますが、
ユーロ圏の財政規律問題を巡るごたごたがあったため、そう簡単に財政出動できる状態ではないと思われます。
景気は悪化傾向ですが、得てしてこういう時は財政出動を巡る議論は空転しがちです。
今後市場は、そのあたりの影響も受けることになるのではないかとみています。
以上です。