ミャンマー軍事クーデターに対する日本政府の初期対応は禍根を残しかねない件

ミャンマー軍事クーデターに対する日本政府の初期対応は禍根を残しかねない件

 

2021年のミャンマー軍事クーデターに対し、日本は非常に手緩い初期対応をとった

2021年2月1日、ミャンマーで軍事クーデターが発生しました。

前政権の実質的リーダーであったアウンサンスー・チーはふたたび軟禁され、その後にいくつかの微罪をもとに訴追されています。

 

このクーデターに対し、日本政府は手緩い初期対応をとりました。

理由としては主にふたつ

 

・経済的な利害得失を意識

・ミャンマーが中国に靡くことを恐れて

 

日本の各種メディアもこうした日本政府の姿勢を概ね支持。

日経新聞のお偉いさんも、

「人権外交は正義の衣をまといながらも、偽善や二重基準(ダブルスタンダード)と無縁ではないということだ。」

と、ミャンマー軍事クーデターに対する日本政府の初期対応を評価しています。

ミャンマー軍事クーデター問題に対する秋田浩之・日経新聞論説委員の提言について

 

しかし自分は、この対応は非常に問題だったと考えています。

 

ミャンマー軍事クーデターは民衆に支持されていないのでは?

そもそもにおいて、今回の軍事クーデターの引き金になったのは連邦議会選挙です。

選挙で国軍系USDPがゴッソリ落選し、逆にNLDが大躍進をすることになりました。

不正があった可能性はもちろんありますが、それにしても異常なまでの差です。

ミャンマー国民は、足元の経済成長にほぼ満足しており、国軍支配時代に戻りたくないと考えているのは明らかでした。

 

そんななかで起きた軍事クーデターです。

民衆が支持をするはずがありません。

さっそくデモ行進が始まりました。

公務員も含めたゼネストが展開されています。

完全に、国軍支配にNOをつきつけています。

 

それでも、日本政府はミャンマー軍事政権に対して温和な態度しか見せていません。

 

 

ミャンマー軍事クーデター後、軍事政権は行動をエスカレートさせていくはず

ミャンマー軍事政権側も国際社会の動向をしっかり眺めているはずです。

「きびしい経済制裁はない」

とみるなら、妥協するつもりもないでしょう。

 

それどころか、行動をエスカレートさせていくはずです。

反対派に対して、本気で弾圧をしていく可能性がある。

それをやっても許されるなら、そうしていくだろうことが目に見えます。

 

ある国と経済的結びつきの強い国が、当該国の独裁政権に温和な態度を示したことで問題の深刻化を招く・・・それは今まで様々な国でおきてきました。

イラクのサダム、イランのパーレビ、サウジのMBS、キューバのバティスタだってそう。

細かいものは含めれば、挙げきれないほどあります。

 

さて問題は、その後に民衆側が勝った場合にどうなったのか?という話です。

イランの例などをみるなら、独裁政権のケツ持ちしていた米国への反感が高まりました。

今回のミャンマー軍事クーデターはどうでしょうか?

 

日本政府はミャンマー軍事政権のケツ持ちをしています。

あきらかに軟弱な態度を示しています。

これで多数の死者が出た場合、日本政府への反感・憎悪が形成される可能性もある。

そうなる前に、民衆に支持されていない政権への支援はストップした方が、短期的には失うものは大きいでしょうが、将来的には得だと思います。

 

たぶん、いずれ困った方向に流れていくと思います。

以上。