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またもやブラジルの鉱滓ダム(鉱山ダム)が決壊し200人以上死亡~資源大手ヴァーレ

ブラジルのヴァーレ(Vale)の鉱山ダム(鉱滓ダム)が決壊

 

ヴァーレの鉱滓ダム(鉱山ダム)が決壊し死者多数

ブラジル・ミナスジェライス州で鉱滓ダム(鉱山ダム)の決壊事故が発生しました。

200 Missing as Vale Dam Breaks, Echoing 2015 Brazil Tragedy (1)

ブラジルの鉱山会社であり、世界的にも巨大な資源メジャ―のひとつであるヴァーレ社(Vale/旧ヴァレ・ド・リオ・ドセ)の管理する鉱滓ダム(鉱山ダム)が決壊。

200人以上が行方不明になっているということです。

 

2015年にもヴァーレとBHPの子会社サマルコ鉱山でフンダン・ダム決壊事故

じつはヴァーレによる鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊事故はこれが初めてではありません。

2015年にもBHPビリトンとの共同子会社であるサマルコ鉱山のフンダン・ダムが決壊する事故をおこしており、これが二回目の大事故となります。

しかも4年ぶりという、非常に短い期間におきた事故であり、同社への糾弾の声が高まっています。

 

 

ヴァーレのダム決壊事故を語る前に~鉱滓ダム(鉱山ダム)とはそもそも何か?

さて、ここで鉱滓ダム(鉱山ダム)について解説しておきます。

鉱滓ダム(鉱山ダム)というのは、一般的な治水目的のダムや、発電目的のダムではありません。

目的は、鉱山開発に伴って発生する鉱滓(スラグ)を貯蔵するためのものです。

鉱山を掘るときには大量の水が出ます。

とくにブラジルのような熱帯地帯では降水量も多いですから水が多く発生します。

採掘方法によっては、土砂を水に溶かして運ぶ方法などもあり、この場合にはさらに水が発生します。

こういった水をそのまま下流に流しますと、深刻な環境汚染を招きます。

足尾銅山鉱毒事件やイタイイタイ病などがいい例ですが、こういった公害を招かないように、鉱山から出た汚い水は、ちゃんと鉱滓ダム(鉱山ダム)に貯蔵して、上澄みの水と、土砂をしっかり分ける必要があるわけです。

つまり、鉱滓ダム(鉱山ダム)が決壊するとその固形物のスラグまでもが下流域に放たれることになります。

大規模な環境汚染が広がることで、下流域では飲料水として利用できない、灌漑にも利用できない、漁業もできないという深刻な事態になるわけです。

一般的に、こういったダムの決壊事故がおきると直接土砂に流された人数が何人か?というところばかりに注目が集まると思います。

ですが、鉱滓ダム(鉱山ダム)の決壊に関しては、直接的な被害だけでなく、むしろその後に発生する問題こそが重大なのです。

まずそこで生活していた人たちの生活基盤がズタズタになってしまう。

たとえダムの水害を生き残っても、ちゃんと補償を受けられなければ路頭に迷うことになるわけです。

これが重大な問題になるわけです。

 

 

 

 

2015年のヴァーレ子会社サマルコの鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊事故では少なくとも約6000億円の賠償~さらに4.5兆円規模の訴訟も~

上に書いた通り、鉱滓ダム(鉱山ダム)の経済活動・生活基盤に与える影響は甚大です。

2015年にヴァーレとBHPビリトンの子会社サマルコ鉱山で発生した鉱滓ダム(鉱山ダム)では、この生活基盤の回復の問題も含め、数兆円単位の賠償訴訟が起こされました。

とりあえず両社は6000億円の賠償はすることで合意しましたが、まだ4.5兆円規模の訴訟が続いています。

この規模になりますと、サマルコという子会社レベルでは対応できない額になります。

じつは、ブラジルには特徴的な法律があり、これにより親会社の責任が重くなっています。

 

 

 

2015年のサマルコ鉱山鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊事故では、親会社BHPとヴァーレの責任が追及される

じつはブラジルには、子会社がなにかしでかして賠償額を賄えない場合には親会社が保証しなくてはならないという規定があるそうです。

ブラジル民事法50条の法理というらしいですが、とりあえず自分はブラジルの法律は専門外ですので詳しくはブラジルの法律家の方に譲るとして、

このサマルコ社の鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊事故ではこの法理を利用して、BHPとヴァーレの責任が問われることになったそうです。

まぁ、道義的にも一体的であり賠償は当然ではあるのですが。

 

 

とりあえず、今回の鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊事故などでもそうですが、こういう大規模な事故が起きると生産コストは跳ね上がります。

さすがに4年で2回の大規模事故は酷いです。

写真をみると、鉄鉱石採掘時に出るスラグ特有の赤茶けた色の土砂が広がっています。

こりゃもう駄目でしょう。

今後、鉄鉱石の価格は上昇する可能性があり、そのことにも注意が必要かなと思います。

 

なお、鉱滓ダム(鉱山ダム)決壊ではありませんが、インドネシアやフィリピンでも鉱山開発への反発は広がっています。

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以上。