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アンゲラ・メルケル首相が党首辞任の意向~後任はアンネグレート・クランプカレンバウアー幹事長か~

アンゲラ・メルケル首相が地方選連敗の責任をとりキリスト教民主同盟CDU党首辞任の意向~後任にアンネグレート・クランプ=カレンバウアー幹事長を推す声

 

アンゲラ・メルケル首相がバイエルン州議会選挙、ヘッセン州議会選挙での大敗の責任をとりキリスト教民主同盟(CDU)の党首を辞任すると報じられています。

German Chancellor Angela Merkel ready to step down from party …

バイエルン州はドイツで二番目に大きな州であり、州都ミュンヘンにはBMWやMAN、シーメンス、リンデなどが本拠地を構える極めて重要な州です。

消費の拠点としても極めて重要で、国際的な大企業の欧州拠点にも選ばれるグローバル都市です。

そのバイエルン州で、メルケル政権の連立相手であるキリスト教社会同盟(CSU)が大敗しました。

産業界の中心的都市を抱えるバイエルン州で敗戦するということは、非常にショックな出来事でした。

 

そして今度は、金融都市フランクフルトを抱えるヘッセン州でキリスト教民主同盟(CDU)がCSU同様に大敗します。

もはや産業界、金融界から落伍者の烙印を押されたも同然です。

アンゲラ・メルケル首相が党首を降りるのは時間の問題とみられていました。

 

 

後任には、元ザールラント州首相で現在、キリスト教民主同盟(CDU)幹事長を務めるアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏を推す声があります。

 

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏はキリスト教民主同盟(CDU)幹事長に抜擢された時からメルケル首相の後任として扱われてきましたから、この展開には驚きはありません。

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏は2017年のザールラント州議会選挙で中道左派のドイツ社会民主党(SPD)を大差で破ったことで一躍注目を浴びます。

当時、ドイツ社会民主党SPDはマルチン・シュルツ氏が党首就任したばかりで、勢いがある時期でしたから、これを破ったことはシュルツ氏およびSPDの勢いを削ぐことに繋がりました。

この選挙の強さを買われて次期首相候補であるCDU幹事長ポスト(メルケルももともと幹事長ポストからの成り上がり)に就任。

CDU内部からアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏を推す声は強く、平穏無事ならほぼ確実に首相になれただろう・・・と思われます。

 

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏の難民問題政策は?

現在、ドイツの世論を二分するシリア難民などの受け入れ問題ですが、これにたいしてアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏は独自の見解をみせていません。

メルケル首相がシリア難民受け入れを表明した時にはこれを支持しましたが、逆に受け入れをこれ以上できないと方針を変えた後も、特段抗議の声を上げていません。

このアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏という人は、争いの種になるようなことには徹底的に黙秘する癖がある・・・そんなふうにみえます。(個人的な見解です。)

 

難民問題は極めてセンシティブです。

アンゲラ・メルケル首相は、人道的な観点からシリア難民などの受け入れに積極的かつ寛容的な立場を示してきました。

これに対して連立相手であるCSUなどは猛反対。

このままでは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD/アーエフデー)」の台頭を許してしまうとしてCSUのホルスト・ゼーホーファー党首は連立解消も辞さずとして抗議をします。

実際、ドイツのための選択肢(AfD)は今回のヘッセン州議会選挙で得票率12.8%を確保、ヘッセン州に議席を得ることになりました。

 

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏はいつまでも難民問題に黙っているわけにはいかない。

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏は、難民問題のようなセンシティブな問題に直接的な言及をせずに今までやり過ごしてきましたが、今後はどうしても方針を明確化せざるを得なくなるでしょう。

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏が選挙で勝ったのはあくまでも州議会選挙です。

連邦レベルの問題である難民問題などは争点にならない、そういう環境で勝利してきただけです。

今後はここら辺の白黒をつけながら、まず連立相手を中心に丁寧に説明する必要が出てきます。

また、ドイツ社会民主党SPDのアンドレア・ナーレス党首は今のCDUの状態が続くなら離脱すると表明しています。

姉妹政党のCSUは難民問題に厳しく対処しないなら離脱すると表明しています。

アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏は、こういった関係のこじれた先と改善をする必要が出てきています。

CDU内部からは支持率の高いアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏ですが、このあたりの交渉能力はいまだ未知数なところがあります。

 

 

とりあえず、アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏のほかにもイェンス・シュパーンやユリア・クレックナーを推す声もあるようです。

とくに若手のホープであるイェンス・シュパーンはメルケル首相の難民問題への対処を強く非難してきた強硬派として、CSUとの関係構築はやりやすい可能性があります。ただSPDからは距離を置かれる可能性もあり、ここら辺は難しいところとなっています。

 

とりあえず、アンゲラ・メルケル首相の後任ポストを巡って今後しばらくはゴタゴタが続きそうです。

ドイツの政権の動向は、逐次追っていきたいと思います。

以上です。