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衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/ZhongAn)~中国のネット保険大手だが、かなり過大評価か?~

中国ネット保険大手・衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/Zhong An)についてみてみよう~保険FintechだInsuretechだなどと持て囃されてきたが、かなり過大評価だったか?~

 

今回は中国のネット保険大手で、保険と金融の融合だの、保険フィンテック(Fintech/Insuretech)だのと騒がれた割りに株価がダダ下がりで市場にガッカリ感を与えている衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/Zhong An Online P & C Insurance/ジョンアン・インシュランス)についてみていきます。

 

とりあえず、まずは衆安保険/衆安科技についてみていきましょう。

 

 


 

衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/Zhong An Online P & C Insurance/ジョンアン・インシュアランス)とは?

 

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)とは、中国のネット保険大手です。

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)は2013年に設立されたばかりの企業で、その出資母体は金融と情報技術の融合に積極的な平安保険(Ping An Insurance)です。

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)には平安保険の他にも、テンセントやアリババが出資しており、また上場時にはソフトバンクグループのビジョンファンドなども出資しました。

同社の立ち上げには

ジャック・マー/馬雲(アリババCEO)

ポニー・マー馬化騰(テンセントCEO)

マー・ミンジェ/馬明哲(平安保険CEO)

という、いわゆる中国ネット業界の「三人の馬(三馬)」がそろい踏みしており、非常に注目度の高い企業となっていました。

 


 

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)はどのような保険会社か?

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)はネット保険会社と書きましたが、日本のソニー損保やライフネット生命などとは趣きが異なります。

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)はもともとニッチ分野の保険を大量に扱って、とりあえず何か当たるだろうみたいな・・・みたいな感じの保険設計をしてくる保険会社でした。

そんな衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)の数百とある保険商品のなかで、とくに好調だったのがアリババとの提携により投入した金融商品群。

アリババの展開するタオバオ(淘宝網/Taobao)での配送トラブルや故障、不良品、偽物品だった場合の返送送料を衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)が負担する保険が大ヒットしました。

また衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)は淘宝網の他にもTmallにおける保証料関連の保険なども扱っており、こうしたアリババ向けの売上比率が2015年当時は8割近くを占めていました。

しかし、これらアリババ向け保険は実は儲からない構造になっています。ほんと、全然儲からない・・・たんに客寄せパンダみたいなものです。

 

 

とりあえず、アリババなどのプラットフォームで客を集めるだけ集めて、あとは稼ぐための保険を売っていくのが衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)の戦略なのでしょう。

最近は航空チケットの遅延などを保証する保険や、親会社の平安保険と組んで、じみちにネット自動車保険などを売るようになってきています・・・

 

・・・が、当然、ネット自動車保険やネット生命保険などというのは世界的に見れば他の会社でもやっていることですし、なにもフィンテックらしさがないと個人的には思います。(衆安在線財産保険の株価の推移をみると、市場の評価もそんな感じでみていると思います。)

また、衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)がこれら新しい保険分野に乗り出すにあたっては、販売提携先への委託費用や人件費、管理費などが増加、コンバインドレシオも近年悪化傾向にありました。

 

 


衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/Zhong An Online P & C Insurance/ジョンアン・インシュランス)の業績

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)の業績をみてみましょう。

 

なんだか一気に赤字拡大しましたね。

 

これは、事業拡大に伴う仕方のないことです。保険会社っていうのはそういう会計のしかたになってます。自分もあまり保険会社の会計は詳しくないですが。

 

 

各事業セグメントを分野別にみたものです。

Lifestyle consumptionってのが、さきほど書いたアリババ関連の保険です。この分野はながらく衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)の中心的な事業となってきましたが、ここにきて伸びは鈍化、他の事業の伸びの方が多くなっています。

 

経営指標はこんな感じ。

いや、あっぱれなほどのコンバインドレシオですね。

コンバインドレシオは保険事業の健全性を示します。損害率+事業費率で表します。損害率は「受け取った保険料収入」と「支払った保険料支払い&調査費用など」の比率です。

もちろん、コンバインドレシオは低ければ低いほどいいし(まぁ低すぎても、そんな保険誰も買わないでしょうがw)、ぶっちゃけ100を超えているということは持ち出し状態になっているということ・・・衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)はそういう状態にあります。

 

 

 

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)は保険のスタートアップだからしかたない・・・という人もいるでしょうが、この雰囲気からすると短くともあと3年、経営方針次第では5年以上コンバインドレシオは高止まりすると思います。

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)はアリババ、テンセント、平安保険の息がかかっており、これらのネットベンチャーなどへの投資をしています。

それらのベンチャー投資はカネ余りの時期には未実現利益をどんどん寄こしてくれますが、逆に金融引き締め環境に入ってきたら逆回転すると思います。

はたしてその環境に衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)は耐えられるか?

 


衆安在線財産保険(衆安保険/衆安科技/Zhong An Online P & C Insurance/ジョンアン・インシュランス)の株価

 

とりあえず、最後に衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)の株価をみてみましょう。

衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)は香港市場に上場しております。証券コードは6060です。

 

いやー、衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)のチャートはすばらしい暴落っぷりですねw

一年で1/3ですか。なかなかすがすがしいw

中国株バブル崩壊とかそういう話とは全く別で、この会社が独自に抱えている問題に皆が気づいた・・・ということでしょう。

とりあえず、まだまだあく抜けしたようなチャートにはみえませんが・・・どうなるでしょうか。

高値覚えは非常に危ないですね。

 

 

というわけで、今回は衆安在線財産保険(Zhong An/衆安保険)をみてみました。

なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたってはあくまでも自己責任でお願いいたします。