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中国の官民パートナーシッププロジェクト(PPP)、今後は中央政府も積極利用か?

以下は単なるコラムです。

長くなりそうなのでニュースまとめではなく、こちらに書きました。

書いていたら、案の定ながくなりましたw

というわけで、よまなくていいですw

自分で書いていてなんですが、とりとめがない文章ですから読みにくいです。


 

中国の官民パートナーシッププロジェクト(PPP)、中央政府も積極利用?

 

中国の官民パートナーシッププロジェクト(官民連携/Public Private Partnerships/PPP)が7月末で11.8兆人民元(約190兆円)に到達したそうです。

China investment in public-private projects reaches 11.8 … – Reuters

 

この官民パートナーシッププロジェクト(官民連携/PPP ※1)ですが、これまでは地方政府が主体として行っており、地方政府債務の増大を招いている原因と言われてきました。

 

※1 官民連携/PPP/Public Private Partnerships・・・おもに水道、ガス、道路などのインフラを行政ではなく民間事業者が行う仕組み。地方政府などと民間企業が共同でJV(ジョイントベンチャー/特別目的の事業体)などを設立し、そのJVに行政側が債務保証などをつけることで金融機関から低利の融資を引っ張ります。事業体は、そのインフラの提供から上がる収益を債務返済や配当として配り、使用期間がおわったあとは解散してインフラを公的機関に譲り渡す・・・細かい契約条件はいろいろですが、大まかにいうとそんな感じのシステムです。日本でも水道事業などで最近流行りです。

 

 

もともと中国の官民連携(PPP)自体は1980年代からある制度なのですが、使い勝手が悪くあまり利用はされてきませんでした。

それが変更されたのが2015年。

チャイナショックを克服するために地方政府の支出を促したかった中国共産党は、国務院通達で官民パートナーシッププロジェクト(PPP/官民連携)推進へと舵を切ります。

その後、順調に拡大を続けてきたこの官民パートナーシッププロジェクト(PPP/官民連携)なのですが、ここにきて地方政府の債務増大という問題にぶち当たっています。

 

 

もとより、中国の歳入は政府と地方政府が半々なのに、歳出は地方政府に偏りがちであり(歳出ベースでは年にもよりますが、おおむね8割超が地方)、この点から地方政府の財政は痛みがちになる構造です。

地方政府は債券発行が許されていませんでしたから、「地方融資平台」という地方政府直轄の投資目的会社を設立して債券発行や銀行融資などで資金調達をし、事業を行って、本体の赤字を助けようとしてきました。

すでに2014年あたりにはこうした地方融資平台を中心とした地方政府の債務問題は明らかになっていましたが、これをカバーするために2015年には中央政府は借換債の発行を許可しています。

 

このとき、景気対策として官民パートナーシッププロジェクト(PPP/官民連携)の推進を目的とした専項債を中心とした新規債発行も許されています。

ただ、こうした規制緩和は中央政府が危惧していたとおりの結果を招くことになります。

地方政府は、このPPPという仕組みを地方融資平台と同様に財テク目的に利用し始めたのです。

案の定、債務の増大を招き、地方政府系組織による債務返済が滞る事態が発生しています。今年になって数件、デフォルトも起きています。

China local govt firm fails to repay $629 mln loans in rare … – Reuters

地方政府はちょっと政府が蛇口を緩めると、途端に借り入れを増やして財テクに走る悪い癖があります。

シャドーバンキング問題や理財商品の問題も、突き詰めれば地方政府のガバナンスがガバガバなことが原因です。

これはどうにかしなければならない・・・と中央政府も考えているわけで、

2017年の冬頃から、特に地方政府におけるデレバレッジ(債務整理)が叫ばれてきました。

 

しかし、その後に米中貿易戦争が激化。

デレバレッジの影響で顕著に景気が悪化してきていることも判明し、ここにきて中央政府はまた蛇口を緩めようとしています。

しかし、ただ蛇口を緩めるだけではまた地方政府が水を無駄遣いするのが目に見えている・・・

 

こうした中、中国は地方政府だけではなく中央政府主導でPPP(官民パートナーシッププロジェクト/官民連携)を推進していく方向を明確にし始めているようです。

More than 7000 PPP projects registered in MOF Xinhua.net(新華社)

要点としては

  • 7867件、11.8兆人民元(約190兆円)のPPPが財務省直轄のChina Public Private Partnerships Centerに登録された
  • プロジェクト全体3812件6.1兆人民元のうち1762件2.5兆人民元の分はすでに建設フェーズに入っている。
  • 2148件、2.5兆人民元ぶんのゾンビ化したPPPプロジェクトは廃止した

 

というもの。

 

なお、地方債の発行も加速させているそうなので、地方政府を締め付け過ぎて景気悪化を招くことも恐れているようにみえます。

中国、公共投資拡大で地方債発行を加速 3カ月で約19.5兆円調達

この記事によると、先ほども書いた専項債だけで約1.2兆人民元(約2兆円)もの額がこの8~10月に発行される見通しとのこと。

 


 

中国は、なりふり構わぬ姿勢で政府債務拡大にひた走っています。

デレバレッジにかんしては、かなりあきらめに近い感じがみてとれます。

これと同じ風景は、90年代の日本の不動産バブル崩壊時にもありました。

バブル崩壊に対処するために、政府債務をガンガン増やして、地方政府に一億円ずつばらまいたり、第三セクターを設立させてむだ遣いさせました。

 

 

ただあの当時と違うのは、今回の中国はまだ不動産バブルが弾けていないことです。

不動産バブルがはじける前から蛇口を緩めているのは、当時の日本の問題を参考にしているようにみえます。

また、当時の日本と違って金融緩和姿勢にいち早く転じていることでしょうか。

 

なお、中国は一人当たりのGDPが当時の日本と比べてまだまだ低いです。

アメリカ比較でみると、当時の日本は最大消費地のアメリカと一人当たりGDPが並んでいましたが、今の中国は6分の1以下です。日本と比較しても1/4以下です。ドイツと比べて1/5以下です。

そういう意味では、貿易戦争の問題については、実は中国の方が当時の日本よりはずっとやりやすいように思います。

中国はちょっと人民元が安くなれば、貿易主導で復活できる余地はありますから、当時の2本より舵取りはやりやすい感じがあります。

内需だけでなく、外需を期待することもできる。

この時には、実質的な人民元安を通じて行う可能性が高いと自分は見ています。この政策は、日本の安倍政権がやっている手法に近いものです。

 

 

当時の日本と今の中国、似ているところと似てないところがいろいろあります。

とりあえず、今後下期に向けてかなり大規模に中国は官民パートナーシッププロジェクト(官民連携/Public Private Partnerships/PPP)を拡大してきます。

これが具体化してきたとき、短期的には景色は変わってくると思います。

その潮目の変化は、注意して見ていくと良いと思います。(コマツのKOMTRAXには要注目です。)

 

ただ、長期的にみると、それらは問題の先送りでしかないのも事実。

きっといろいろなところで無理が出てくるように思います。

それが本格的にみえるのは、2020年代に入ってからかもしれません。

以上です。