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ウイグル問題めぐりHikvision製監視カメラの輸入禁止か

中国・ウイグルでの人権問題を受け、監視カメラ世界シェア最大手Hikvisionを米国が制裁か?

 

中国によるウイグル族への人権弾圧を受け、アメリカが広範な制裁措置を検討しているとニューヨークタイムズが伝えています。

U.S. Voices Concern on China’s Muslim Crackdown, Sanctions Weighed

まだ制裁措置の検討は初期段階とのことですが、今回の検討においては以下の点が重要になってくると思われます。

Also under consideration are sanctions the lawmakers sought against several Chinese companies involved in building detention camps and creating surveillance systems used to track and monitor Uighurs, according to one of the congressional sources.

 

つまり、ウイグル族の監視のために協力している企業も制裁対象に加えよう・・・ということです。

 

ウイグル族への監視を手助けしている企業と指摘された当該企業は、Hikvision(杭州海康威視数字技術)のことだと思われます。

 

このHikvision(杭州海康威視数字技術)ですが、以前もこちらの記事で紹介させていただきました。

関連記事:監視カメラ世界シェア1位ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)

Hikvision(杭州海康威視数字技術)の製品は他社に比べて低価格で、しかも性能がいいという評判から世界的に売り上げを伸ばしており、監視カメラの世界市場シェアは1位となっています。

当然、Hikvision(杭州海康威視数字技術)の製品はアメリカ市場でも多く売られており、アメリカ国内のシェアも2位ということです。

米中の覇権争いが過熱化するなか、覇権を争っている相手方である中国企業の作った監視カメラが街中いたるところに設置されているのは問題ではないか?ということで、このHikvision(杭州海康威視数字技術)の監視カメラを禁止しようという動きが昨年暮れあたりから活発になってきています。

すでに公共機関においてはHikvision(杭州海康威視数字技術)製を含む中国企業の作った監視カメラの設置は禁止されていますが、アメリカ政府はこの規制を一般家庭にまで広げられないか?と考えているようです。

もちろん、自国の安全保障だけを盾にしてHikvision(杭州海康威視数字技術)の製品を市場から排除することは可能なのでしょうが、とりあえず大義名分を確保するために、アメリカ政府はウイグル問題を監視カメラ輸入規制の口実に使おうと考えているようです。

ここで、ウイグル族について軽く説明いたします。


ウイグル族(Uyghur)とは?

 

ウイグル族とは、中央アジア地域に住むウイグル語を話すテュルク系ムスリムの一団です。

民族系統上、ウイグル族が果たして過去のウイグル族と一致するのかは議論の分かれれるところなので今回は深くは書きませんが、とりあえず、本人たちが「自分たちはウイグル族だよ」と思っている一団とお考え下さい。

(ぶっちゃけていうとこれも正しくない。自分たちをウイグル族と思っているかどうかも怪しい。オアシス単位で部族を作るのが遊牧民の特徴なので・・・とりあえず、そういう話はここではおいておきます。)

このようなウイグル族ですが、Wikipediaによりますと総人口は1184万2000人もいるそうです。ちょうど東京都の人口くらいでしょうか。

このウイグル族の大半1147万8000人が中国国内に住んでおり、おもに「新疆ウイグル自治区」という場所に住んでいます。

 

この新疆ウイグル自治区というのは、かつては東トルキスタンと呼ばれていた場所です。

トルキスタンとは、「テュルク人の土地」を意味しています。東トルキスタンは新疆ウイグル自治区、西トルキスタンは現在のカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンなどにあたります。

もともとテュルク系民族は遊牧民ですから、基本的に領土の範囲などは不明確ですが、とりあえずこのあたりです。

東トルキスタンは清朝に入ってから中国(清)の領土になりました。その後は中華民国が支配し、さらに短い独立期間を経て、中華人民共和国、つまり現在の中国政府が支配するようになり、ここに新疆ウイグル自治区が作られるようになりました。

 

この新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)ですが、清朝の時代から今に至るまで、独立心の強い地域となっています。

このウイグル族の独立闘争について書くと長くなりますし、本題から離れすぎるのでやめておきますが、

とりあえず、中国共産党政府としては天然資源の宝庫である新疆ウイグル自治区を手放したくはないのです。

そこでテュルク系ウイグル族に対して中国人としての教育を行う一方で、大量の漢民族を現地に移住させるなどの手段をとっており、ゆうなれば、21世紀になっても植民活動が現在進行形で行われている地域となっています。

 

当然、こうした中国共産党政府による民族浄化もどきの植民行為に対してはウイグル族から抵抗する動きもあり、新疆ウイグル自治区は非常に警戒体制の厳しい地域とされています。(外国人の自由な取材活動は制限されていると言われています。)

この厳重な警戒態勢が人権侵害にあたると、アメリカ政府はいっているわけです。

そして、その人権侵害を手助けしている企業への制裁も検討されている・・・というわけです。

 

 

先にも書いた通り、この制裁がどのくらいの規模で行われるかはわかりませんが、とりあえずHikvision(杭州海康威視数字技術)にとってはネガティブなインパクトを与える事案ではあります。

とりあえず最後にHikvision(杭州海康威視数字技術)の株価を見てみましょう。

Hikvision (深圳:002415)週足

 

Hikvision 日足

 

いやはや、すごい下落っぷりですね。

Hikvision(杭州海康威視数字技術)は中国のハイテク企業の一群としてファンドの所有も多い銘柄でしたから、これは大きな影響が出ているはずです。

中国企業各社は、中国政府にしたがって行動するか、欧米政府の意向を踏まえて行動するか、その板挟みになって苦しんでいます。

いろいろとお疲れさまですね。