GEのジョン・フラナリーCEOが解任される。後任はダナハー元CEOのラリー・カルプ氏(ローレンス・カルプ氏)~トライアン・ファンド主導か?
GE・ゼネラルエレクトリックのジョン・フラナリーCEOが退任、後任にダナハー元CEOのラリー・カルプ氏(ローレンス・カルプ氏)が就くことになりました。
フラナリーCEOは会長職も兼務していましたが、それも辞してカルプ氏が会長職を兼務します。
またジョン・フラナリー氏の退任にあわせて、火力発電事業において230億ドル規模ののれんを減損するとのことです。
このジョン・フラナリーCEOの退任は、ネルソン・ペルツ氏率いるトライアン・ファンド・マネジメントなどアクティビストファンド主導の、事実上の解任であると思われます。
日経新聞はジョン・フラナリーCEOの退任を「業績悪化で引責」と伝えています。
GEのフラナリーCEOが退任 業績悪化で引責 日本経済新聞
が、GEの業績はジョン・フラナリー氏が就任するずっと以前から悪化し続けていたのであり、業績悪化の要因をフラナリー氏に求めるのはお門違いです。
しかも、直近の株価下落の要因は火力発電事業におけるHAガスタービンのブレードの酸化問題です。
エクセロンほか多数の電力会社に納入した(50超?)このHAガスタービンが、GEの命脈を断ちそうだ、とのことがGE株下落の背景にあったと思います。
このブレードはフラナリー氏よりずっと以前のCEO時代に開発されたもの。
フラナリー氏に業績悪化の責任はないはずです。
今回のジョン・フラナリー氏解任の件は、より一層のMA&Dを推進してほしいトライアン・ファンド・マネジメントなどアクティビストファンドたちからの圧力によるものだと思います。
ジョン・フラナリーCEOは、今年6月25日にヘルスケア事業、石油サービス事業、産業用エンジン事業、照明事業などを売却する方針を発表しました。
コラム:米GE、生き残り賭け主力事業に「本気の大なた」 ロイター
またその後も電力変換事業を売却する用意とも伝えられていました。
GE、電力変換事業を1660億円で売却する用意-関係者 – Bloomberg
すでに鉄道事業などは売却済みであり、これらジョン・フラナリー氏の方針が実現した場合、残る事業は火力発電・風力発電・航空機エンジン事業のみということになるはずでした。
かなり積極的なDivestitures/会社分割です。
が、この方針ですらネルソン・ペルツ氏率いるトライアン・ファンド・マネジメントなどは満足していない模様。
トライアンファンドはエド・ガーデン氏を取締役としてGEに送っており、この影響が出ていると思われます。
取締役会はより一層のMA&Dを求めているようです。
今回、フラナリー氏の退任およびラリー・カルプ氏のGE会長兼CEOへの就任にあわせて、GEは火力発電事業ののれんをほぼ全部減損しています。
つまり、もうこの火力発電事業を売り払う気まんまんというわけです。厄介払いしたい・・・ということでもあるでしょう。
祖業の照明事業と発電事業を売却しようというわけです。
残るは航空機エンジンと風力発電?
個人的には、風力発電事業もGEにとっては小さな事業ですし、売却される可能性が高いとみています。
たぶんラリー・カルプ氏は、航空機エンジンだけに絞って立て直すつもりなんじゃないかと思います。
市場の一部には、ヘルスケア事業をしばらく売らずにとっておく可能性を語る人たちもいます。
たしかに、ダナハーにおいてラリー・カルプ氏は医療用診断機器のベックマン・コールターを買収しています。
だからGEヘルスケアもしばらく売らないだろうということですが、個人的にはこの見方には反対です。
たぶん、売れるだけ売る、それがラリーカルプ氏に与えられたミッションです。
ラリー・カルプCEOに求められているのは、トライアン・ファンド・マネジメントなどのアクティビストの利益であり、投資銀行など助言する連中の利益であり、その裏側にいるお利口さんぶったバークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェットの利益です。
ぶっちゃけた話、自分はトライアン・ファンド・マネジメントのネルソン・ペルツというのは、ウォーレン・バフェットの影の実働隊みたいなもんだと思っています。
今回のGEの事業売却で、いずれバフェットが絡んでくる機会もあるのではないか、とみていますが、さてどうなるでしょうか。
たのしみにみていきましょう。