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昭和電工 トリプトファン事件について

昭和電工 トリプトファン事件

昭和電工は1988年から89年にかけて、トリプトファン事件という経営上の大問題に見舞われます。

アメリカでは一時期、トリプトファンサプリが大量に売られた時期がありました。

トリプトファンはセロトニン、メラトニンに代謝され、睡眠のリズムをつかさどる物質・・・それならトリプトファンを大量に摂取すれば快適に眠れるだろうというアメリカ人らしい発想です。

このトリプトファン事件は、そんな最中に起きた事件(事故?)です。

 

昭和電工のL-トリプトファン事業

昭和電工はL-トリプトファンを遺伝子操作した細菌を用いて大量に安価に製造する技術を開発します。

具体的なやり方は専門外ですしよくわかりませんが、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)にL-トリプトファンの生産性を高める酵素遺伝子を追加し、さらに枯草菌の遺伝子(セリン合成遺伝子)を追加してL-トリプトファンの生産性を高めた遺伝子を使用・・・となんのこっちゃかわからない解説されています。

http://www.bioethics.jp/naox_trypto-j.html

ごめん、まったく理解不能です。

(赤い血液とキモい系生物が極端に苦手なもんで、じつは生物はほとんど勉強しておらず、知識がないんです。)

 

 

昭和電工のトリプトファン事件

しかしこうやって製造したL-トリプトファンのサプリメントには不純物が含まれていました。

そして昭和電工はこの不純物を取り除かずにトリプトファンサプリメントを販売。

このサプリメントを飲んだ1500人以上(一説には5000人とも?)の被害者を出し、うち38名の死亡者をだしたと、当時は言われました。

この症状はのちに好酸球増加筋肉痛症候群(EMS)と名付けられます。

このトリプトファン事件により昭和電工に対して2000件以上の訴訟が起こされ、賠償請求額も2000億円を突破したといわれます。

 

昭和電工トリプトファン事件 その後の顛末

しかし、その後の研究結果によると、このトリプトファン事件は単に利用者側が過剰に摂取したことが理由だったとのこと。

結果として昭和電工は製造物責任PLを問われ多額の賠償金(2100億くらい?)を支払うことになりましたが、これが同社のその後の成長の妨げになりました。

いまでこそ黒鉛電極でぼろ儲けしている昭和電工ですが、2000年代の同社は経営が傾いたボロ株だったのです。

その原因は、トリプトファン事件にあります・・・

 

 

P.S.

ちなみに、アメリカのトリプトファン被害者は、ある程度の自己責任のもとで被害にあったわけですが、おなじ昭和電工の被害者でも第二水俣病(新潟水俣病)の患者にはそんな数千億レベルの賠償金なんて払われていません。

というか、いまだに新潟水俣病は責任の所在を巡って裁判で係争中です。

アメリカにはすんなり払うのに、日本の被害者にはシブちんな昭和電工・・・なんかモヤモヤします。

 

なお、この記事はサブ記事になります。

昭和電工の記事を書いてほしいという要望がきていたので書き始めたのですが、

一つの項目を書くだけでやたら長くなってしまったので、昭和電工トリプトファン事件だけのページにわけました・・・少しは見やすくする努力をしています・・・。