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エリザベス・ライン(クロスレール)が2019年秋に開通へ~ロンドン地下鉄~

ロンドン地下鉄エリザベス・ライン(クロスレール/Crossrail/Elizabeth line )が2019年秋に開通~総コスト2.2兆円強~

・・・副題:日本のインフラプロジェクトと比較してみよう

いよいよ、ロンドン地下鉄の新規路線クロスレール(エリザベスライン)が開通します。

 

ロンドン地下鉄の新規路線であるクロスレール(エリザベスライン)は、バークシャー・レディングからロンドン市街地を経由しシェンフィールドまでを結ぶ総延長118㎞、トンネル区間42㎞の都市近郊(速達型)地下鉄路線です。

2016年にエリザベス女王がじきじきに工事現場を訪問したことでエリザベスラインとも呼ばれるようになったこのクロスレールですが、前評判通り、かなりの経済効果をロンドン市にもたらすことになりそうです。

このクロスレール(エリザベスライン)ですが、東側区間はホワイトチャペルでシェンフィールド方向とアビーウッド方向に分岐。西側区間は、途中ウェスト・ドライトンとヘイズ・アンド・ハリントンのあいだでヒースロー空港からの路線と合流。

クロスレールはヒースロー空港と中心市街地を結ぶバイパスとなるとともに、アビーウッド、シェンフィールド方面と空港間の移動の不自由解消にもつながることが期待されています。

なお、このクロスレール(エリザベスライン)が開業すれば、カナリーワーフからヒースロー空港までこれまで1時間弱かかっていたものが、40分程度で済むとのことです。

また、シェンフィールド方面からヒースロー空港への移動は色々大変だったそうですが(自分はロンドン行ったことないのでわかりませんが)、クロスレールが開通すれば乗り換えなし一本でヒースロー空港に行けるということで、住民たちが非常に喜んでいるそうです。

なお、カスタムハウス駅はエクセル展覧会センター(ExCel Exhibition centre)のすぐそばであり、ヒースロー空港からの移動は格段に改善されることになります。

これらのことから、クロスレール(エリザベスライン)の沿線では2010年代を通じて地価が大幅に上昇してきました。

 

 

なお、このクロスレール計画が最初に持ち上がったのは1940年代と言われており、3四半世紀たってようやく完成する、まさに待望の新規路線ということになります。

このクロスレール(エリザベスライン)ですが、かかった費用は2.2兆円程度と言われています。

When will the Elizabeth Line open and how much will it cost?

当初開業予定は2017年でしたが、その後遅れに遅れ、2018年冬に開業することになりました。

なお上記記事にもありますとおり、クロスレール(エリザベスライン)の開業は先日もまた延期が発表されました。

なにしろロンドンは地下鉄発祥の街ではありますが、最後に都市部で地下鉄工事が行われたのは数四半世紀前とのことです。

ロンドンはローマ時代から開発されてきた街ですから、多くの考古学的価値の高い埋蔵品(※1)も見つかっており、時間がかかる工事となったようです。

 

※1 クロスレール(エリザベスライン)の掘削で見つかったもの一覧

これ、Crossrailのサイトなんですが、なかなかに面白いです。

チューダー朝時代のボウリングのボール、8000年前の火打石、マンモスの骨、マーマレードのジャー、琥珀、食器、ペストで亡くなった人の亡骸などなど・・・

これらの調査をいちいちやりながらだったので、遅れるのもしかたないかな、という気がします。

 

 

とりあえず、めちゃめちゃ期待されている(らしい)このクロスレール(エリザベスライン)ですが、経済効果は軽く3倍を超えるだろうと言われています。

また、先日はヒースロー空港の拡張が決議されましたが(※2)、もしヒースローが拡張されると1億2000万人くらいの年間搭乗客数をさばく国際空港になるとのことですから、そのときにクロスレールが存在することの意味はとてつもなく大きなものになります。

要するに、このプロジェクトは正解、だと思います。

※2・・・かつてヒースロー拡張に強硬に反対していたはずのボリス・ジョンソンは外遊中で決議欠席。旗色を見せないズルい奴です。こいつは信用ならんです。

 

 

 

 

 

さて、翻って日本です。

日本でも、おなじくらいの金額を投入している計画中プロジェクトがあります。

北海道新幹線です。

約2.6~2.8兆円?くらいといわれています。

なお、この金額には青函トンネルの費用は含まれていません。

とにかく、アホみたいにカネのかかるプロジェクトですが・・・果たして、クロスレール(エリザベスライン)ほどの経済効果をもたらすでしょうか?

 

 

また、経済的メリットが限りなく薄そうなプロジェクトも現在進行中です。

東京の日本橋周辺で予定されている首都高速地下化は3200億円もの費用をかけながら(それすら膨らむ可能性が大ですが)、その結果得られるのは高架がなくなって空がみえる景観だけといわれています。

首都高地下化 複雑工事 難航の兆し 事業費膨張の懸念も 毎日

大型車が通れない 日本橋の首都高地下化に新たな難題 日経

経済効果ゼロの「首都高速日本橋地下化」景観回復のためにそれでもやるの? SPA

 

個人的に、この首都高地下化には猛反対です。

なぜ地下化する必要があるのか、まったく理解に苦しみます。

人間が生み出した構造物を汚いという感性が理解できない。

そんなに汚いものだったら、押井守監督やタルコフスキー監督はなぜ首都高を使ったのでしょう。

クールジャパンだとか言っている役人たちは、パトレイバー2や惑星ソラリスをみていないのでしょうか。わざわざそれら作品の舞台を壊そうとするのでしょうか。クールジャパンなんてカネを引っ張るだけの道具としかみていないんじゃないですか。

現在の江戸前寿司文化だって、首都高を含めた高速道路網の発展のおかげで出来上がったものなんですよ。(※3)

 

※3・・・昔ながらの江戸前寿司は、もっと処理がきつかったと言われています。たとえば今でも穴子やハマグリは煮ますし、小肌は酢で締める、クルマエビは茹でる、マグロは漬けにするなど処理をしますが、もともとはすべてのネタがそんな感じだったということです。

現在のようなレア感が残るものを提供できるようになったのは、高速道路網が発達して新鮮な食材が日本全国から運ばれるようになってからと言われています。

高速道路を汚いという人は、そういった日本の近現代の歩みを否定的に見過ぎていると思います。

 

 

とりあえず、英国ロンドンのクロスレール(エリザベスライン)とはまったく異なる理屈で大規模プロジェクトが行われる日本は、中国のインフラ投資の無駄を嗤えないと思います。

 

以上。