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ファンボロー国際航空ショー開幕 実質的にボーイングとエアバスの二強対決へ

ファーンボロー国際航空ショー2018 ボンバルディアとエンブラエルなき今、実質的にはボーイングとエアバスの寡占化状態

 

毎偶数年に行われる世界的な航空宇宙、防衛産業の見本市、ファーンボロー国際航空ショー( FIA2018 / Farnborough International Airshow )が2018年7月16日より開幕しています。

大型の商談が相次ぎ、その後の需要の流れを決定づけるこの航空イベント初日の動きですが、今回はエアバス、ボーイング両社あわせて過去最高水準の550億ドル(約6兆2000億円)もの受注成立となったそうです。なお、

ファンボロー国際航空ショー2016ではボーイング、エアバスを中心に1240億ドルもの商談が成立した

とのことで、とりあえず、とてつもない規模の取引現場だということが言えます。同様のイベントであるパリの航空ショーと同様に、これら企業の関係者にとっては非常に重要な商談の場となっており、また投資家にとっても注目のイベントとなっています。

 

ちなみに今回、初日2日の動向でみると、エアバスは主にナローボディのA320 neoシリーズがリース会社やインドのビスタラなどに好評、A350も台湾星宇航空(Starlux)や中国四川航空からの発注を受け、総額290億ドルの受注を獲得したそうです。

一方のボーイングは737MaxがJet Air、ブラジルのGol Air、Jackson Squareなどに好評なほか、DHLやカタール航空のフリート向けに777 Freighterを受注しており総額266億ドルを受注している模様です。

Boeing, Airbus Duel Over Billions in Orders: Farnborough Update

Farnborough 2018: Boeing, Airbus rack up orders as giant airshow opens

Boeing’s order book takes off at airshow

Airbus Poised For Massive Asian Order At Farnborough; Boeing

Airbus, Boeing kick off Farnborough Airshow with more than $10 …

 

なお、今回のファンボロー国際航空ショーでは、初日から2日間の商談を経て現在530機、総計955億ドルの航空機が発注されているとのことで、これは前回2016年よりも230億ドル上回っているとのことです。

Phenomenal First Day for the Farnborough International Airshow

Day Two at the Farnborough International Airshow and the Figures Keep Rising

 

いやはや、世界の航空機需要は凄まじい状態です。

特に中国などのアジアの国々では旅客需要、貨物需要が前年比で一桁半ば程度の伸びを続けています。

各空港の離発着データなどを眺めてみてもわかりますが、この動きに陰りは(今のところ)みえていません。

この調子でいくと、今回のファーンボロー国際航空ショーにおける商談は、間違いなく過去最高水準の受注になると見込まれています。

 

なお、ブラジルの航空大手エンブラエルの小型機商用部門はすでにボーイングの傘下に入ることが決定していますし、カナダのボンバルディアの小型旅客機Cシリーズ製造部門はエアバスの傘下に入っています。

つまり、実質的に今回のファンボロー国際航空ショーはエアバスとボーイングの一騎打ちということになります。

ここらへんが前回2016年のFIAとは大きく異なるところです。

特にリージョナルジェット市場までもが寡占化されたのは非常に大きな問題だと思います。

このことは航空会社の路線選択にも影響してくるでしょう。ボーイングとエアバスにとっては非常に美味しいビジネス環境になったと思います。

中国はCOMACをロシアの技術をもとに作っていますが、型式とって世界中の空を飛ぶまでには相当な時間がかかります。まだまだ何十年も先。それまで、ボーイングとエアバスは寡占化された市場で我が世の春を謳歌することでしょう。

以下はボーイングの週足の株価です。ティッカーはBAです。

 

こちらはエアバスの週足です。ティッカーはAIRです。

 

凄まじいですね。

両社ともに10年せずに安値から10倍になっています。

寡占化はかくも美味しいリターンを返してきます。

そして、誰も文句言えません。

世界のルールはアメリカと欧州で決めていますから、両社とも損しないことは幾ら理不尽な寡占化状態であっても許されてしまいます。

これで損をするのは、欧米以外の国々。日本も含めて。

それがしっかりみえるのが、エンブラエル商用機部門をボーイングが傘下におさめたあと最初の航空ショーとなる、ファーンボロー国際航空ショー2018だと思います。

大口割引がこれまで通り行われるのか、それとも言い値で売買される比率が高くなるのか、そこらへん要注目です。