インド政府、デフォルト発生のノンバンクIL&FS経営陣を総入れ替え
先日もお伝えしたIL&FS( Infrastructure Leasing and Financial Services Ltd/インフラストラクチャー・リーシング・アンド・フィナンシャル・サービシス・リミテッド)の債務不履行問題。
インド政府がIL&FSの旧経営陣を総入れ替えし、経営に介入したとのことです。
インド政府、IL&FSの経営権掌握-混乱拡大阻止で異例の動き Bloomberg
インド政府は取締役の交代を会社法審判所(NCLT / National Company Law Tribunal
)に申請し、承認されたとのこと。
IL&FSの新経営陣には、富豪のウダイ・コタック氏やICICI銀行のG・C・チャタベディ会長などが参画する見通しとのことです。
また、重大不正捜査局(SFIO / Serious Fraud Investigation Office )がIL&FSの経営陣の捜査に乗り出しているとの情報もあります。
なお、IL&FSは債務総額9100億ルピー(124.8億ドル)で、そのうち61%は金融機関からの融資に頼っているとのこと。
このIL&FSの債務不履行問題が他の金融ユニットに飛び火した場合、深刻な問題に発展することはみえており、インド政府としては早めに火消しに動いた形となりました。
ちなみに、IL&FSの大株主はインド保険最大手ライフ・インシュアランス(LIC)、第二位株主として日本のオリックスが23.54%出資しているほか、アブダビ投資庁も12.56%出資、住宅金融最大手ハウジング・デベロップメント・ファイナンス(HDFC)も株主として連なっているとのこと。
IL&FSはこれら株主から事業継続資金として、非転換社債発行を通じて最大1500億ルピー(2360億円)ぶんの資金を調達するとのことです。
事業再生にあたり、再建計画はアルバレス・アンド・マーサルに任せるとのこと。
経営難の印IL&FS、資金確保-オリックスなど株主が資金調達承認 Bloomberg
ここからは個人的見解:
非常に早い対応。
IL&FSはノンバンクではあるけれど、インドのどこにでもある金融問題を体現しているような存在でもある、ということだと思います。
もしこれを放っておいたり、厳しく対処したりしたなら、金融不安が連鎖しかねない・・・ということなのでしょう。
今回のIL&FSの再建策は、ようするに政府が追加出資して事業継続資金は融資してもらうという形、だと思います。
それはつまり、政府の出資比率が拡大し、よりガバナンスは崩れやすくなる・・・
これをちゃんと防ぐ強い意志が必要になってきます。
はたして、インドにそれができるでしょうか?
個人的には、それはかなり期待薄かな、と思います。
とりあえず、ひとまず息継ぎはできましたが、今後はわかりません。
今回、下手に延命したことがかえって大きな問題につながる可能性すらあります。
関連:インド株指数が急落中~BSE SENSEX指数、NSE指数~背景にIL&FSやDHFLを中心としたノンバンクNBFC問題か?
インドは、民間企業の不良債権比率と公営銀行の不良債権比率に大きな違いがあります。
ですから、公営、国営になればIL&FSの問題が解決する、というものではありません。
重要なのは、きちんとしたチェック機能。
ガバナンスの問題であり、一朝一夕に代わるものではありません。
インドはそろそろ金融機関の丸抱えをやめたらいいと思います。
以上。