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【中国/政策】劉鶴副首相、株式市場下支え策を発表~国有化の意図なしをアピール

【中国/政策】劉鶴副首相が株式相場の安定に向け民間企業重視の姿勢を示す~一部で囁かれていた国有化の意図がないことをアピール

 

中国国務院金融安定発展委員会の主任である劉鶴副首相が、ジリ下げ中の中国株式市場下支えのために必死にいろいろ繰り出してます。

劉鶴副首相はいうまでもなく、習近平国家主席の竹馬の友で、かつブレーンとされる人物です。

劉鶴副首相は、中国政府(中国国務院)では李克強首相に次ぐNo.2ですが、習近平国家主席との間柄でいえば、王岐山と同レベルのべったり度の高い人物です。

というわけで、国務院の力関係でも李克強首相より強い発言力を持つことのある劉鶴副首相、この方はいま、中国国務院金融安定発展委員会という、やたら長ったらしい名前の組織のトップを務めています。

この中国国務院金融安定発展委員会、何をするところかというと、名前のとおり、金融を安定発展させるところ・・・ぶっちゃけていえば、株価を上げるためのところです。

この中国国務院安定発展委員会を代表する形で、劉鶴副首相が19日にメディア取材に応じました。

 

劉鶴副首相による中国株下支え策

  1. 銀行の理財子会社に株式市場への投資を認める
  2. 金融機関に株式担保融資に向け圧力をかける(「科学的、合理的に株式担保融資を研究しろ」とか言ってますが、それはつまるところ、株式担保融資しろということです)
  3. 保険資金による上場企業への投資を増やし、機関投資家を育成。
  4. 証券先物経営機構私募資産管理業務管理弁法を制定(これ、よくわかりません)
  5. 上場企業の自社株買いを推進
  6. 新三板の改革をしてベンチャー企業の上場を支援
  7. 国有企業の混合所有制改革を推進
  8. 民営企業の発展を促進(民営大企業による同業界内のM&Aを支持)
  9. M&Aのための民営企業の増資、借入を支援
  10. 銀行、証券、保険分野の開放を促進

 

このなかではとくに、7~9が重要です。

ここもと、「中国政府は民間企業を国有化するのではないか?」

といった風説がやたら流れていました。

出どころはいつものように大紀元などなのですが(笑)

こういった相場環境の時には多くの人が疑心暗鬼になるもので、まことしやかに語られていました。

 

「米中貿易戦争の舵取りを思うようにするために、中国政府は民間企業を国有化する」

「安邦保険や海航集団が干されたのは中国政府が民間事業者を潰すのが目的」

「アリババのジャックマーが引退した日に、アリペイが銀聯に吸収された」

「民間企業国有化を主張する意見を野放しにしておいたのは、中国政府が意図的に観測気球をあげたからだ」

こういった報道が相次いでおり、とくに中国の人たちは本気にしている人が多いような印象でした(外国人の方がこの点、かなり冷静にみているように思います。)

ちなみに自分は、これらは全部根も葉もないデマだと思います。

センセーショナルなことを書いて注目を浴びたい、メディアによるPV稼ぎじゃないかと思います。

とくにアリペイが銀聯に吸収云々って、どこからどうみても嘘ですよ、これは。

信じちゃいけません。

 

 

なお、上海A株、深圳A株市場の取引高の9割は中国の個人投資家と言われていますから、中国人のセンチメントの悪化は即、株価下落に反映しやすいのが現実です。

何度も書くようですが、上記はフェイクニュースなんです。

でも多くの個人投資家は信じているようでした。

習近平ならやりかねない、と。

 

 

 

劉鶴副首相の今回の発言は、こうした国有化を懸念する声を受けてのものだと思われます。

「政府は国有企業の混合所有制改革※1を進めていくよ」

「国有企業の混合所有制改革が進んだ結果、業界トップの民間企業がM&Aで吸収してもいいよ」

「そういったことのために金融機関がM&A資金を用意すべきだよ」

といった具合のことを言っているわけです。

 

※1混合所有制改革・・・国有企業が民営企業の資本を導入し、ガバナンス向上と効率化を目指すというもの。とりあえず、このためにまずは国有企業の株式会社化をすすめている。

現在までのところ、混合所有制は国有企業の出資比率がやや低下した程度でしかない。これを必要に応じて、民間企業の過半出資を受け入れるなどしていくことが混合所有制改革の方針なわけです。

 

なお、劉鶴副首相は株価下支えの実弾を撃ったわけでないことには注意が必要です。

今回、劉鶴副首相が語ったことは、各金融機関に指導するだとか、国有化する意図はないだとか、そういった内容です。

株価を国有ファンドで買い上がるぞ、などといった発言は一切ありません。

というわけで、2015年のチャイナショック後のような期待は尚早。

中国株はヒストリカルにみて非常にバリュエーションの低い水準に達しているためリバウンド的な買いは入っていますが、いったんの上昇ののち、また下落に転じるか、横ばい圏にはいるのではないか?と個人的には見ています。

 

とりあえず、市場の懸念を解消することに専念した今回の劉鶴副首相のコメント。

これでどれだけの下支えができるか、当局としては様子をみて、実弾は実体経済の悪化を待ってから行うつもりなのではないか、とみています。

以上です。