TATERUで融資申請書類偽造が発覚~下手をすると投資用不動産マーケットが死ぬ可能性~
アパート経営プラットフォーム「TATERU」、および不動産クラウドファンディング「TATERU Funding」を展開するTATERUに、不動産融資資料偽装問題が発覚しました。
これは、不動産関連コラムを掲載するブログサイト「楽待」が最初に報じたもの。
「第二のスルガ問題」か…急成長「TATERU」書類改ざん 楽待
追って日経新聞なども記事にしており、関係先に衝撃が広がっています。
アパート融資資料改ざん、TATERUでも 日経新聞
なお今回のTATERUによる融資資料改竄問題では、融資銀行として非上場銀行の西京銀行が使われたとのことです。
この西京銀行ですが、楽待によると「2018年3月期連結決算の当期純利益は前期比2.8%増の42億4700万円で7期連続の増益。賃貸不動産向け融資で成長を続けており過去最高益。貸出金残高は1兆1015億円。」とのことです。
なお、西京銀行は2000年代からいろいろと積極的であり、ライブドアとも提携しようとしたりなど、その道では冒険的な地銀として知られています。他の地銀が不動産向け融資を減らす中でもスルガや西京銀行は増やしており、なかなかのヤリ手として知られています。どんな手段をとってきたかはわかりませんが。。。
果たして今回の件に西京銀行がどれだけ絡んでいたのかはわかりませんが、
「かぼちゃの馬車」問題が融資側であるスルガ銀行の管理問題に発展したように、
今回のTATERUの問題が西京銀行の管理問題に発展する可能性も意識される展開となっています。
そして、スルガ銀行、西京銀行と二行続けておきたとすると、同じような構図は少なからず他の銀行でもあったのではないか?という印象を受けます。
与信状況がよくて融資をホワイトにつけられる奴は既に刈り取られたあとで、今は融資申請書類を偽造しないと営業成績を出せない状況だったんじゃないか?という気がしてきます。
本格的に金融庁がこの件に介入した場合、果たしてどれだけの地銀が火の粉を浴びずに済むのか・・・と思います。
TATERUや「かぼちゃの馬車」のスマートデイズで行われていたことは、投資用不動産業界においては決して珍しいことではなく、みんなやっていたことなんじゃないのか?という疑問が出てきます。
思えば13年前、姉歯の構造計算書偽造問題が叫ばれたころに似ています。
あの当時も、他にもやっちゃっていた連中が炙り出されて、それ以上炙り出すとマズイってことで姉歯とヒューザー小島の個人的な犯罪として処理されたわけですが、今回のTATERU問題はそれと似たような構図になってきたんじゃないか?と個人的には見ています。
本格的にこれを金融庁がホジくりかえすと、とてもじゃないけど耐えられないところが出てくるんじゃないか、、、そんな感じがぷんぷんしています。
また、今回の件は融資がおりていないので問題にはなっていませんが、もし融資がおりていれば、その債権は証券化されていたはずです。その証券を原資産とした金融商品も作られていたかもしれません。そしてそれらが小口Fundとして某ネット証券(察してください)の金融商品などに化けていた可能性があるわけです。
さらにいうと、建設コストが融資額に見合ってないだとか、ボッタくっていただとか、そもそもの建築の問題にまで波及する可能性があるわけで、まさに、
この道はいつか来た道
・・・になりつつあります。
なお、今回のTATERU事件は(報じられている内容が正しいなら)有印私文書偽造であり、立派な刑事事件です。
ただ、姉歯のときもそうでしたが、日本では誰がどう見ても刑事事件であることを政治権力でもみ消してきた経緯があります。
今回のTATERUの問題もどう転ぶかは今のところわかりません。
個人的にはガシガシやって欲しいとは思いますが、本気で警察や金融庁が動けばいろいろ終わるだろうな、という気がします。
今回のTATERUおよびかぼちゃの馬車の問題が大人の対応で終わるのか、それとも金融庁の本気が示されるのか・・・
それはまだわかりませんが、仮に金融庁が本気になれば、芋づる式にズルズルと問題点が発覚することが予想され、他の金融商品にも波及し、日本の投資用不動産マーケット全体が死にかねません。
それはつまり、住宅建設会社の死でもあり、
建設資材や内装材メーカーの死でもあり、
証券化ビジネスで食っていた連中の死でもあり、
かなり大規模な問題になりかねません。
とりあえず、TATERUの広告塔になってきたケイスケホンダさん、おつかれさまでした。
なお、こちらに実際にTATERU仲介、西京銀行融資で建てた方のブログがあります。とてもおもしろい。おすすめです。