「島精機 暴落」タグアーカイブ

横編み機大手・島精機製作所の業績と株価~ホールガーメントが戦略商品

横編み機世界シェアトップ・島精機製作所の業績と株価~ホールガーメントでアパレル各社と提携

今回は、横編み機で世界シェアトップ、ホールガーメント(無縫製)技術でユニクロ(ファーストリテイリング)やZOZOと提携している島精機製作所についてみていきます。

 

まずは、島精機製作所の会社説明から。


島精機製作所とは?

 

島精機製作所とは、和歌山県和歌山市のニット機械・編み機の製造・販売メーカー。

創業者の島正博が1961年に軍手の編機を製造する目的で、島精機製作所の前身となる三伸精機株式会社を作ったのが始まり。

1967年、島精機製作所は全自動衿編機を開発、さらにテーラーカラー編みなどを実現。

1970年、島精機製作所は全自動横編機を発明。さらに万能特殊柄編機、中山ラーベン編み、蝶山ラーベン編み、全自動セミジャカード成型横編機、全自動ジャカードシームレス手袋編機など多様なジャガード方式編み機、二段ラーベン横編機で有数の企業となった。

その後、島精機製作所はジャガード編みとパイル編みの組み合わせによる全自動シンカーパイル手袋編機を開発。手袋の量産技術を飛躍的に向上させることに成功。

1980年ころには、島精機製作所は日本の横編み機市場の過半のシェアとなりトップに。

島精機製作所は1982年に左右同一のニットの成型編みをするツインキャリッジ・コンピュータ制御横編機を発売。

1987年には編み糸を送り出すためのステッチコントローラも完全にコンピュータで制御した横編機を発売。

1995年には島精機製作所はデジタルステッチコントロールシステムによる、ホールガーメント技術の原点である完全無縫製横編機を開発。

これをさらに進化させる形で、現在のホールガーメント(無縫製横編み)となっています。

 

島精機製作所の開発したホールガーメントとは?

島精機製作所が開発したホールガーメント・ニットウェアとは、簡単にいってしまえば無縫製(縫い目がない)、立体成形、シームレスなニットウェアということ。

ホールガーメントニットウェアは、編機がまるごと立体的に編み上げますから、縫い目がなく着心地が良い。縫う必要がないので熟練した職人が必要ない(立体的に縫うためにはかなりの技術が必要)。または縫製ではできないものを作ることもできるようになっています。

また最近では、レース柄や透明糸を使ったデザインなどにも対応し、今までのニットの作り方では縫製跡が目立つような素材でも、ファッション性を損なわない方法として島精機製作所のホールガーメントは利用価値が高まっています。

 

ホールガーメントの開発によりユニクロ、ゾゾスーツなどと提携する島精機製作所

こうしたホールガーメントの利点を生かし、ファッション性の高い製品を安価に大量生産したいユニクロやゾゾスーツなどが島精機製作所と提携。

大量の設備を島精機製作所から購入し、大量に自社ブランドのホールガーメント製品を市場で流通させる、そういう状況になっています。


島精機製作所の業績

 

(以下は2018年10月25日に書かれています。)

 

島精機製作所の業績は、ホールガーメントの好調な展開でここもと非常に高い伸びを示してきました。

(島精機製作所中期経営計画より)

 

 

 

ですが、ここにきて大きく減速してきています。

(島精機製作所 業績下方修正 2018年10月24日より)

 

島精機製作所の上期営業利益は6300→4300、下期営業利益は16000→8000と下方修正されました。

 

今回の島精機製作所の業績下方修正ですが、理由としては先進国アパレル向けOEM製造拠点のバングラデシュにおいて、政情不安でコンピュータ横編機の設備投資が低調だったことが影響しているとのことです。

また、アジア市場でここもと拡大してきていた靴生産向けコンピュータ横編機も競争環境激化で売上激減。

下期はトルコなどにおける通貨安の影響を懸念しているとのことです。

これを受けて島精機製作所は配当金を上半期35→30円、下期は45→未定へ改定しています。

配当金を弄るくらいですから、資金繰りなども含めて、島精機製作所にとってはかなり想定外な事態となっていることが伺われます。

 

島精機製作所の株価

 

これを受けて、島精機製作所の株価はストップ安売り気配となっています。(2018年10月25日)

 

営業利益8000というと、2016年3月期の業績よりやや良い程度です。

島精機製作所の2016年3月期EPSは95.6円ですから、これよりやや良いとしてみても120円程度。

島精機製作所の現状の株価はPER30倍程度にあたり、株価は下げていますがまだまだバリュエーション調整が終わっていません。

また、今後さらに島精機製作所の業績が一段と悪化した場合はEPS二桁、PER10倍台もありうるわけで、そうなると1000円割れもありえる・・・そういう状況になっています。

とりあえず、まだまだ業績の底が見えない状況であり、足の長い資金が入ってくる状況ではありませんので、島精機製作所の株はどうしても売られやすい展開となっています。

世界は設備投資主導の景気後退入りを示しており、島精機製作所のような資本財銘柄の株価は売られやすい状況となっています。

 

以上です。

なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたってはあくまでも自己責任で行うようお願いいたします。