【統計】レアアース(希土類元素)の生産量と埋蔵量 国別シェア【グラフ】
今回は産業分野、工業分野で幅広く利用されているレアアース(希土類元素)の国別シェアの統計をみていきます。
レアアース(希土類)とは?
まず最初に、レアアースについて説明。
レアアースは元素番号57~71のランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムと、元素番号21スカンジウム、39イットリウムを指します。
つまるところ、周期表において第4周期から第6周期の第3族のうちアクチノイド以外の元素ということになります。
レアアースの用途
レアアースの主な用途としては、
磁性体材料(ネオジム、ジスプロシウム、サマリウムなど)
レーザー(イットリウム・ネオジムなど)
ガラス基板研磨剤(セリウムなど)
光学ガラス(ランタンなど)
レアアース生産量、埋蔵量 各国別シェア
レアアース生産量 2017
China | 105 |
Australia | 17.3 |
Russian Federation | 3.3 |
Brazil | 2 |
Thailand | 1.6 |
India | 1 |
Malaysia | 0.3 |
Rest of World | 0.1 |
World | 130.5 |
レアアース埋蔵量 2017
China | 44000 |
Brazil | 22000 |
Russian Federation | 18000 |
India | 6900 |
Australia | 3400 |
US | 1400 |
Malaysia | 30 |
Thailand | 3 |
Rest of World | 3 |
World | 120000 |
上記の通り、レアアースの埋蔵量、生産量ともに中国が圧倒的となっています。
もちろん、中国やブラジル以外にも埋蔵されている量はたくさんあるはずなのですが、埋蔵量としてカウントされていない。
その理由は、レアアースの精錬の面倒くささ(というか、環境負荷の大きさ)が理由のひとつです。
基本的にレアアースは分離しにくい。
アメリカなどでは、求められる環境規制をクリアするためのコストに見合う埋蔵量はほとんどないわけです。
中国でも近年、環境規制が非常に厳しくなり、レアアースの違法採掘への取り締まりも強化されています。
EVなどの生産には大量のレアアースが必要となりますが(とくにモーターのために磁性材料)、こういった需要のふくらみに対して、供給側はタイトになっています。
米中貿易戦争は激化しますが、中国を完全には孤立化させることができない理由の一つとして、このレアアースの問題があることは間違いないでしょう。