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コラム:米国、日本に対しイランからの原油輸入停止とアザデガン入札停止を要求

アメリカが日本など同盟各国に対し、イランからの原油輸入をやめるよう迫っています。INPEXによるアザデガン入札も不可能な情勢です。

 

米国がイラン産原油の輸入停止を要求 日本含む世界各国に(日経新聞)

アメリカが日本など同盟国に対し、

「イランからの原油輸入を停止しろ」

と要求しているようです。

 

当然、その分は他の国から輸入しないわけですから、これはつまり

「アメリカ(もしくはサウジアラビア)から買うようにしろ」

と要求しているのに等しいです。

 

まったくひどい話だ(笑)

 

でも、これが本質だと思います。

過去の武力を用いた戦争だって、アメリカのどこかの企業が儲かるようになっていました。

たとえばそれはノースロップグラマンやロッキードマーチンなどの軍需企業だったり、傭兵サービスを請け負ったハリバートンだったりしたわけですが、まぁ、今回も同じようなことになっているわけです。

なんだかんだで、トランプ政権になってから石油業界は潤ってます。

思えば、パリ協定離脱を決めたのも石油業界のためでした。(石炭業界のためにもなったけど)

ダコタ・アクセス・パイプラインやキーストンXLパイプラインの承認だって、もちろん石油業界のためでした。

再生可能燃料基準RFSを見直そうとしたのだって、石油業界のためでした。(結局、農業票への気遣いから、基準変更の話は先延ばしされましたけど。)

そして今回です。同盟国に対し、イランの原油を買わずにアメリカの原油を買え、LNGを買えと言っています。

 

 

たぶん、今後もこういった動きがつづきます。

これが最後ではないでしょう。

なぜこんなあからさまな利益誘導を行うのか?

レックス・ティラーソン元国務長官がエクソンモービル出身だからでしょうか?

・・・あんまり関係ないように思います。

むしろ、エネルギー産業とのコネがあったから、ティラーソンが呼ばれた、という方が正しそう。誰がその橋渡しをしたのかは、俺たちのような下々の者にはまったく見えません。

 


 

とりあえず今回の件で潤うのは、当然ですがアメリカの石油会社。それも独立系石油会社です。売り先に困っているパーミアン盆地でシェール掘ってる連中です。きっとそのうちのどこかの企業とトランプ政権とのつながりが、メチャメチャ深いんだと思います。

 

で、損をするのは、当然、まずイランです。

そして、同盟国です。

日本です。

日本は原油のほぼ全量を輸入に頼っています。安い原油がほしいです。

昨年来、INPEX(国際石油開発帝石)、JAPEX(石油資源開発)、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事がイランのアザデガン油田の入札に参加する準備をしていました。

この計画がご破算になります。

アザデガン油田は、推定埋蔵量260億バレルの世界有数の油田です。オフショアではありませんから開発コストも相当に低いとみられ、日本企業は期待をしていました。

アザデガン油田は、かつて国際石油開発を中心とする日本側企業組織が75%出資して開発を主導する油田でした。

それが、米国による対イラン制裁措置によって破綻します。最終的には完全に撤退します。

今回、ふたたび参入しようとしましたが、その入札の矢先にこの横やりが入りました。

事前に日本企業への釘差しはあったらしく、先月の時点でINPEXの社長などは「アザデガン入札は難しそう」と語っていました。よほどアメリカからの圧力があったとみえます。

 


 

日本は結局、冷戦構造によるソビエトの核への脅威がなくなったあとも、アメリカの言いなりになって貢ぎ続けるしかないようです。

まるでそれは、古代ギリシアのデロス同盟のようです。

ペルシアへの脅威がなくなったあとも、延々とアテネのデロス島に貢ぎ続けなければならなかった同盟国と、日本の姿はよく似ています。

そして、アテネにクレオンのようなデマゴゴス(扇動政治家)が出現したことと、現代のアテネであるアメリカ合衆国にドナルド・トランプが出現したこともまた、よく似ています。

さて、アテネを中心としたデロス同盟は、そのワガママなやり方が祟って多くの離反を生み、次第に力を失いました。

その後、スパルタを盟主としたペロポネソス同盟にとって代わられるのですが・・・さて、現代でいえばスパルタはどこの国でしょうか?

 

もうおわかりですね。

G7の裏でSCOの会合を開いたあの国です。


 

人間は、往々にして同じことを繰り返します。

放っておくと同じ間違い、同じ悲劇を繰り返してしまいます。

そうさせないように、良心的な政府は国民に歴史を学ばせます。

「このままだと、過去と同じ間違いを繰り返しちゃうよ。今から引き返そうよ。」

そういうふうに言える国民を増やすのが歴史教育の一番の目的・・・だと思います。

 

 

でも、人間は怠けます。

一世代すぎ、二世代すぎ、時代がかわると学ばない人たちが増えていきます。

学ぶことをカッコ悪いととらえる風潮すら生まれます。

政府からも良心が薄れてきます。国民にあんま知識つけさせない方が得なんじゃね?ってなってきます。

人間は結局、やっぱり、同じ間違いを繰り返すことになっちゃうんですね。

 

 

歴史は、同じことを繰り返します。

どうせ同じことを繰り返します。

だから、歴史を学びましょう。

同じ間違いを繰り返さないためにではなく

同じ間違いから最大限の利益をあげるために。