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監視カメラ世界シェア1位ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)

杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン/HIKVISION)は監視カメラ世界シェア1位 中国政府の天網工程にも繋がる国策企業

 

今回は、監視カメラ世界最大手のハイクビジョン(杭州海康威視数字技術/HIKVISION)についてみていきます。

まずはハイクビジョンの企業紹介から始めます。


ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術/HIKVISION)は監視カメラ世界シェア1位

 

2018年5月1日付日経新聞によると、ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)は監視カメラ業界で世界シェア31.3%で1位、2位は同じく中国のダーファ・テクノロジー(浙江大華技術/Dahua Technology)が前年より2ポイント上昇のシェア11.8%、3位は日本のキヤノンが3300億円で買収したスウェーデンのアクシス・コミュニケーションズですが、こちらはシェアが3.9%どまり。さらに下にはパナソニックの監視カメラ部門がありますが、こちらは身売りを検討しているとのこと。

ハイクビジョンおよびダーファテクノロジーなどの中国勢ネットワークカメラに完全に価格競争力で負けており、日本勢は青息吐息の状態となっています。

 

 

 

 

ハイクビジョン株は、中国政府が42%を間接的に保有

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ハイクビジョン株式の42%は中国政府が間接的に保有しているのだそうです。なお、中国電子科技集団(CETC)と、エンジェル投資家で大富豪のGong Hongjia(Kung Hung Ka/龚虹嘉/龔虹嘉)が上位株主となっています。(中国製の監視カメラ、米国の至る所に「目」 – WSJ)

それで問題は、そんな感じで政府の後ろ盾が大きいハイクビジョン製の格安監視カメラが、アメリカの家庭や企業、そしてあろうことか米軍の軍事施設にまで設置されていたのだとか。(中西部ミズーリ州のフォート・レナード・ウッド陸軍基地)

「セキュリティホールを意図的に作って外部から遠隔操作することが可能になっているのではないか?」

と疑念を持った米軍は、先ほどのフォート・レナード・ウッド陸軍基地から監視カメラを撤去。米国土安全保障省が同社製カメラが外部ハッカーに利用される可能性について懸念表明したり、米下院公聴会で同社カメラのセキュリティ問題が取り上げられたりと、大きな問題になりました。これらの結果、GSA(一般物資調達局)による政府調達リストから外されています。(なお、セキュリティホールは見つかっていませんが。念のためといったところでしょうか。)

こういったアメリカの動きは今に始まったものではなく、例えばZTE(中興通訊)やファーウェイ(Huawei/華為技術)の通信機器を政府調達から外したり、友好国に対して使わないように圧力をかけたりしてきた流れと同じだといえます。

また、ロシアのセキュリティソフト企業カスペルスキーのソフトについても、「バックドアが仕込まれているんじゃないか?」「アメリカの技術をスパイして送っていたのではないか?」と米議会や国土安全保障省、米国家安全保障局(NSA)などが疑っており、ハイクビジョンへの疑いの目は、こういった陰謀論とも近いものがあります。

とりあえず、今のところはハイクビジョン製の監視カメラは民間企業、家庭向けなどの小売りはアメリカ国内でされているようです。しかし、こういった流れからすると、今後はそういった小売市場向けも取り締まられるようになるかもしれません。

 

 

 

 

 

ハイクビジョンは中国政府の天網工程に接続

中国には「天網工程」という市民監視データベースシステムがあるそうです。

顔写真とパスポートや身分証、電話番号など個人情報を天網工程データベースにアップロードして紐づけすると、まるでオーウェルの1984の世界のような国民監視システムができあがり。街中を歩いていても、だれがどこで何をしているか、わかってしまうのだそう。

たとえば、中国の複数都市では実証実験として交通違反の取り締まりに使われており、信号無視をした歩行者の顔が名前とともに交差点近くの電光掲示板にデカデカと表示されたりするのだとか。また、2017年8月に山東省青島市で行われたイベントでは顔認証システムが導入され、犯罪容疑者25人を割り出して逮捕したのだとか。(日経新聞2017年12月13日付習1強注がれる視線(2)監視社会が生む忠誠(迫真))

この分野で中国は世界の最前線を走っており、2020年には6億2600万台の監視カメラが街中いたるところに設置されるようになるのだそうです。そういった政府、地方政府からの監視カメラ需要を背景にして、中国の監視カメラ大手二社ハイクビジョンとダーファ・テクノロジーは伸びているのだそうです。(また、画像認識ソフトの最大手センスタイムも同様の理由で伸びていると思われます。)

なお、雪亮工程によって国民の多くはすでに位置情報や決済情報がアリババやテンセントのクラウドで把握されていますから、政府と民間のデータが接続されると、とてつもない国民管理システムが出来上がることになります。

 

 

雪亮工程と天網工程、金盾工程を用いた情報統制社会は、完全にディストピア小説の世界

上記内容とも被るのですが

  • 雪亮工程・・・白い雪のように綺麗な社会を実現するためにスマホ、位置情報、決済情報などを監視。犯罪の兆候があったら事前に抑止。
  • 天網工程・・・AIとネットワーク監視カメラによって国民の動向を常に監視。データベースと照合して犯罪摘発。
  • 金盾工程・・・インターネットを徹底的に検閲。外部からの都合の悪い情報は排除。ネットワークを流れる情報を統制することにより、不満分子を生まないようにする。

これらによって国民を管理するのが中国共産党のやりかたです。怖いですね。その片棒を担いている企業が、ハイクビジョンということになります。

 

 

 

ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術/HIKVISION)はドローンやロボット開発にも積極的に展開

ハイクビジョンは監視カメラメーカーとして世界最大手ですが、監視カメラやそのソフトウェア技術を応用して、スカイウィングス社と組んでセキュリティドローンや駐車場自動管理などの分野も開発を進めています。

スカイウィングス、ハイクビジョンのロボティクス部門と提携。セキュリティドローン、ドローン対策製品、無人搬送機群を拡販

駐車も無人でスイスイ、ロボットに将来を託す中国

 

 

日本でも売っているハイクビジョン製品

日本でも普通にハイクビジョン製品は売っています。

Amazon.comなどでも取り扱いがあり、5年保証がつくのに値段は非常に安くなっています。これではパナソニックなどは太刀打ちできないでしょう。


HIKVISION(ハイクビジョン) 防犯カメラセット 5年保証

 

また、最上位モデル?のDarkFighter機能がついたスターライトカメラならば夜間でもカラーの映像が撮れるとのことです。とにかく進化がすごいですね。

 


 

ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術/HIKVISION)の業績もみてみよう

ハイクビジョンの2018年上期決算をみてみましょう。

(なお、以下は2018年8月6日15時35分に書きました。数字などはその時点で入手できる範囲のものを利用しています。また、資料などはハイクビジョンホームページで公開されているものを利用しています。もし投資をされるようでしたら、かならず同社ホームページで最新情報を確認の上でされるようお願いいたします。)

 

 

ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術/HIKVISION)の2018年上期業績は、売上26.92%増、営業利益23.3%増、純利益25.4%増、半期EPS0.449人民元

 

となっています。またハイクビジョンのキャッシュフロー計算書は、

となっています。

現金は潤沢です。販売商品を積み増ししまくってます。売れる自信がある、ということでしょう。アメリカが突然販売禁止にしてくるリスクとか考えていない?ようです。

 

とりあえず、ハイクビジョンの株価チャートも見てみましょう。

ハイクビジョン株は深圳市場のA株市場に上場しています。ティッカーは002415です。

 

ハイクビジョン 日足

 

ハイクビジョン 週足

ハイクビジョン株はすごい値上がりをしていました。そして、中国経済の失速と、中国株式市場からの資金流出の流れを受けて、非常に強い値下がりとなっています。

 

現状の株価は2019年通期コンセンサスベースでみるとPER18.1倍くらい。EV/EBITDAで15.1倍くらいです。まだまだ期待を集めていますね、割高感はあります。

 

とりあえず、自分はこのタイミングで買う必要はないと思います。非常に下がりそうなチャートをしているようにみえます。あくまでも、感覚ですが。

 

というわけで、ざっとハイクビジョンについてみてきました。同社の動向は今後もチェックしていきたいと思っています。決算が発表されたら記事を追加していくつもりです。

以上です。

 

なお、上記はあくまでも中卒くんの個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たってはご自分の判断、自己責任でお願いいたします。