中国の1-3月期経常収支が約17年ぶりに赤字転落 海外旅行需要拡大でサービス収支が急激に悪化
中国国家外貨管理局によると、中国の1-3月期経常収支が2001年4-6月期以来、約17年ぶりに赤字転落しました。
(ごめんなさい、横軸がどうしても数字の羅列になってしまいます。エクセルの使い方が下手糞ですみません・・・元データは1998年Q1~2018年Q1までを四半期ベースでとったものです。なんとなく雰囲気で読み取ってください。。。)
なお、前回2001年の時には少しだけ赤字になっただけですが、今回はかなり大幅な赤字転落です。
これは、ひとつには貿易収支の季節要因的な下落が影響しているのですが、もう一つの要因として、中国人の海外旅行需要拡大によるサービス収支の悪化があげられます。
上記の濃い紫色のところが旅行によるサービス収支の赤字部分です。
急激に旅行の赤字が増えていっていることがわかります。
なお、中国人のパスポート取得率はいまだに7%そこらですので、日本並みに35%程度になった際にはさらに旅行による収支が悪化することになるはずです。
海外旅行需要の急拡大によるサービス収支の恒常的な悪化傾向は2013年あたりから続いていましたが、今までは潤沢な貿易黒字拡大によって中国の経常収支は長いこと黒字をキープしていました。
それが今年1Qに貿易収支が急減速したことで、サービス収支の赤字に引きずられる形で一気に中国の経常収支は赤字になってきています。
今後、米中貿易戦争で中国から米国への輸出が滞った場合、中国は経常赤字転落が恒常化する可能性があります。
べつに、経常収支が赤字になっても理屈的には何てことはないはずです。
ただこれが中国の政府高官にどうみえるか、は注意が必要です。
彼らはトランプと同様に「赤字は何が何でも良くない」的なものの見方をする可能性があります。これがもとで人民元安への動きに繋がったり、旅行需要が減少するようなことになれば、いろいろと面倒なことに繋がります。
現在、日本の消費のさまざまな部分がインバウンド需要に支えられています。
化粧品や高額消費、百貨店での免税販売などは海外からの需要に依存しています。
また、航空各社の旅客需要も中国人をアテにしている部分があります。
ホテルや旅館などの宿泊業も中国を中心にしたインバウンド需要を当て込んだものが多いです。
都心部の不動産は、旧来のデベロッパーではなくホテル事業者が高値で買い漁っていってしまっていますが、これが成り立つのもホテル需要が増大しているからです。つまり、インバウンド需要がなければ不動産価格にも影響してきます。
また、ホテル建設のおかげで外壁材や鉄骨などがよく売れていますが、これが落ち込めば建設不況にもなりかねません。
これ以外にもいろいろあるでしょうが、中卒の俺の頭で考えても、以上のようなリスクにつながりそうなことがわかります。
とりあえず、今後も中国の経常収支には要注目です。
と同時に、政府高官による発言にも要注意です。ある日いきなり旅行などに規制がかかるかもわりませんから。
個人的には、中国の経常収支の推移からみて、インバウンド関連はそろそろ警戒感が必要なのではないか、と思っています。
以上です。