中国ビッグ5のひとつ重慶長安汽車の業績をみてみよう~マツダ、フォードとも合弁生産~スズキとの合弁は解消
今回は、中国五大自動車メーカーの一角で、フォード、マツダと合弁生産を行っている
重慶長安汽車(Chongqing Changan Automobile)の業績についてみていきます。
先に書いておきますと、フォードとの合弁がボロボロになってきています。
さらに自社開発分も売れ行きが不振。
かなりまずいんじゃないか?という気がします。
とりあえず、みていきましょう。
重慶長安汽車とは?
重慶長安汽車とは、中国5大自動車メーカーのうちの一社で、重慶を本拠地としている企業です。
重慶長安汽車は中国南方工業集団に属しており、フォード、マツダ、PSAプジョーシトロエンなど複数の外資系自動車メーカーと提携しています。
(なお、先ごろスズキとの提携は解消しました。スズキは中国市場から撤退するとのことです。)
スズキ、長安鈴木を長安汽車へ譲渡。生産・販売ライセンスは継続 CarWatch
重慶長安汽車は歴史が長く、清朝末期の洋務運動推進で知られる李鴻章によって設立されたと言われています。
1957年、重慶長安汽車は外資と提携してジープ製造を開始。
その後、1984年に重慶長安汽車はスズキと提携して長安鈴木汽車を設立。
江沢民時代の2001年にはフォードと提携して長安フォード汽車(長安福特汽車有限公司)を設立しました。
2004年には中国系メーカー江鈴汽車と重慶長安汽車は合弁でSUV専門メーカー陸風汽車(Landwind)を設立、中国自動車メーカーとして初めて欧州市場で販売を開始します。
2006年には、フォードとマツダの関係強化を受け、重慶長安汽車とフォードとの合弁企業:長安フォード汽車を長安フォードマツダ汽車(長安福特馬自達汽車有限公司、CFMA)に再編。
2009年に重慶長安汽車は中国航空工業集団公司傘下の昌河汽車、哈飛汽車を買収。
2010年には重慶長安汽車とフランスのPSAプジョーシトロエンは合弁で、長安PSAを設立
2012年にはマツダとフォードの資本関係解消を受け、長安フォードマツダ汽車(長安福特馬自達汽車有限公司、CFMA)を長安マツダ汽車と長安フォード汽車の2社に分割
2018年、重慶長安汽車とスズキとの合弁である長安鈴木汽車の全株を買い取ることで合弁解消
2018年、中国第一汽車集団、東風汽車集団、重慶長安汽車は新エネルギー車NEVや自動運転技術の開発に向け、戦略提携していくことを発表
中国車3社が戦略提携 日本経済新聞
また、重慶長安汽車は2025年までにガソリン車の販売を停止する意欲的な目標を発表。研究開発には1兆7000億円をつぎ込むとのことです。
重慶長安汽車の業績をみてみよう。
(以下の記事は2018年9月18日2時ころに書かれています。)
とりあえず、重慶長安汽車の直近の決算である2018年第1四半期決算についてみてみます。
重慶長安汽車は营业总收入(売上)は伸びていますが、营业总成本(費用)も伸びており、本業では利益が出ない体質になっているようにみえます。
注目すべきは財務費用の記述なぜかマイナスになっているところ。財務「費用」がマイナスなので、プラスの流れがあるってことです。
これはたぶん政府、地方公共団体の補助金かなにか?
また、重慶長安汽車の決算に限りませんが、外資JVとの生産が行われている企業では、投資収益も馬鹿になりませんが・・・
こちらは前年よりも半分程度に減少しています。
これは、提携先のフォードなどが売上低迷に悩んでいるからだと思われます。
なお、そんな感じで長安重慶汽車の純利益/净利润(净亏损以“-”号填列) は前年に比べて半分近くに落ちこんでいます。
なお、直近の販売データなどをみても酷い状態です。
フォードなどとの提携だけでなく、長安汽車本体の自社ブランドの落ち込みが激しく、8月の重慶長安汽車の販売台数は前年同期比48.5%減です。
長安汽車グループ全体でみても、34.6%減でした。
なお、年始からの累積ですと重慶長安汽車は前年比11.2%減
長安汽車グループトータルで18.1%減でした。
Changan Automobile sees bounce-back with Aug sales growing 4.3% MoM
重慶長安汽車の業績はかなり深刻な下落傾向となっており、19年初めからのNEV規制強化を乗り越えていけるのか不安がよぎる展開となっています。
なお、こういった傾向はここもと中国の自動車メーカー全般でいえることでして、これは鉱工業生産指数などにも反映されてきています。
中国経済の消費に、黄色信号がともっていると思います。
とりあえず、重慶長安汽車の株価も見てみましょう。
重慶長安汽車は深圳市場に上場しています。コードは000625です。
まぁ、重慶長安汽車の株価はひどいものですね。
業績の悪化傾向に歯止めがきかないのですから当然ですね。
とりあえず、先ほどの鉱工業生産を見ていただいてもわかるとおり、中国の自動車販売が急減速してきています。
これは、かなり要注意だと思います。
以上です。